三角波

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三角波(triangle wave)は、一定の傾きで上昇し、最大値に達すると一定の傾きで下降する動作を周期的に繰り返す波形である。シンセシスでは、サイン波、矩形波、ノコギリ波と並ぶ代表的な基本波形の一つである。

理想的な対称三角波は奇数次倍音のみを含み、その振幅は次数の2乗に反比例して急速に減衰する。そのため、同じ基本周波数の矩形波より高次倍音が弱く、一般により柔らかい音色として知覚される。

基本形

対称三角波では、1周期の前半で一定速度で上昇し、後半で一定速度で下降する。

時間波形にはノコギリ波や矩形波のような値そのものの不連続はないが、頂点と谷で傾きが不連続に切り替わる。

この差はスペクトルにも現れる。値が瞬時に飛ぶ矩形波やノコギリ波に比べ、三角波では高次倍音の減衰が速い。

周波数成分

理想的な対称三角波は、

  • 基音
  • 3次倍音
  • 5次倍音
  • 7次倍音
  • …

という奇数次倍音だけを含む。

代表的なフーリエ級数は概念的に、

x(t) ∝ sin(ωt) - (1/3²)sin(3ωt) + (1/5²)sin(5ωt) - ...

と表せる。

n次の奇数倍音振幅は概ね1/n²で減衰するため、矩形波の1/n減衰より高次倍音が急速に小さくなる。

Wolfram MathWorldも、対称triangle waveのフーリエ級数を奇数次倍音の1/n²系列として示している。[1]

音色

三角波はサイン波より倍音を持つ一方、矩形波やノコギリ波より高次倍音が少ない。

そのため一般には、

  • 柔らかい
  • 丸い
  • やや中空
  • サイン波より輪郭がある

といった音色として扱われる。

低音域では、サイン波より存在感を持たせつつ高域を過度に増やしたくないベースやサブベースに利用されることがある。

サイン波との関係

三角波のスペクトルには3次、5次、7次などの奇数次倍音が含まれるが、高次成分は急速に減衰する。

そのため、ローパスフィルターで高次倍音を除去すると比較的早くサイン波に近い波形へ近づく。

アナログシンセサイザーでは、この性質を利用して三角波を非線形回路で丸め、サイン波へ近似する設計もある。

矩形波との関係

対称三角波と50% Square waveはいずれも奇数次倍音を中心に持つ。

違いは減衰速度で、

  • Square wave: おおむね1/n
  • Triangle wave: おおむね1/n²

となる。

したがって、三角波の方が高次倍音が弱く、より滑らかな音色になる。

ノコギリ波との関係

ノコギリ波は基本周波数の整数倍音を広く含み、偶数次・奇数次の両方が現れる。

三角波は対称条件では奇数次のみで、高次成分も急速に減衰するため、両者は時間波形だけでなくスペクトルでも大きく異なる。

一方、三角波の上昇時間と下降時間の比を非対称にすると、形状は徐々にノコギリ波へ近づく。

Ableton LiveのAnalogやWavetableでは、Triangle系LFOのWidth/Shapeを変えることで、上昇Sawから対称Triangle、下降Sawへ連続的に変形できる。[2]

シンセサイザーでの利用

オシレーター波形

三角波はVCO、DCO、デジタルオシレーターの基本波形として広く用いられる。

減算合成ではSawやSquareほど高域成分が多くないため、フィルターを大きく閉じなくても比較的柔らかい素材として扱える。

LFO

LFOとして三角波を使うと、変調値が一定速度で上昇・下降する。

代表的な用途は、

  • ビブラート
  • トレモロ
  • フィルターカットオフの往復変調
  • パンニング
  • PWMの変調源

などである。

サインLFOでは速度が頂点付近で滑らかに変化するのに対し、三角LFOは各区間で変化速度が一定である。

波形整形

三角波は波形整形の中間素材としても重要である。

コンパレーターへ入力すれば矩形波やパルス波を生成でき、非線形シェーパーを通せばサイン波へ近似できる。

アナログオシレーターでの生成

アナログシンセサイザーでは、三角波を中心に動作するtriangle-core VCOがある。

代表的にはコンデンサーを一定電流で充放電し、上限・下限に達するたびに電流方向を反転させることで三角波を生成する。

この三角波から比較器を使ってSquare/Pulseを生成したり、波形整形回路によってSineを作ることができる。

一方、saw-core VCOではノコギリ波を基本として、そこから三角波などを派生させる場合がある。

積分との関係

理想的なSquare waveを時間積分すると、各区間で一定の傾きを持つ三角波になる。

逆に、理想三角波を時間微分すると、正負2値を取るSquare waveに対応する。

この関係はアナログ回路やDSPで三角波生成を理解するうえで基本的である。

デジタル生成

デジタルシンセサイザーでは、

  • 数式による直接生成
  • wavetable
  • band-limited additive synthesis
  • Square waveの積分
  • phasorからの波形整形

などによって三角波を生成できる。

理想三角波にも無限個の奇数次倍音は存在するため、厳密にはデジタル生成時の帯域制限が関係する。ただし高次倍音が1/n²で急速に減衰するため、SquareやSawtoothよりaliasingが目立ちにくい場合が多い。

Cycling '74もtriangle、square、sawtoothをband-limited oscillatorとして扱い、デジタル生成ではNyquist frequencyを超える高調波を避ける必要があることを説明している。[3]

非対称三角波

上昇区間と下降区間の長さを変えると、非対称な三角波になる。

中央では対称Triangle、片側へ寄せるほどSawtoothに近づく。

この種のShapeパラメーターはLFOで特に一般的で、変調値が上昇する時間と下降する時間を独立的に偏らせる用途に使われる。

位相

三角波の位相を変えると、周期内の開始位置が移動する。

LFOでは位相設定が変調開始位置へ直接影響し、複数LFOの位相をずらすことでステレオ変調や周期的な位相差を作れる。

他の基本波形との比較

波形 理想的な倍音構成 高次倍音の減衰
サイン波 基本周波数のみ -
矩形波(50% Square) 奇数次 おおむね1/n
三角波 奇数次 おおむね1/n²
ノコギリ波 整数次全体 おおむね1/n

関連項目

参考資料