JBL Professional: Difference between revisions
JBL Professionalの歴史、事業領域、主要技術、HARMANとの関係を詳説 |
JBL Professionalのパワード・モニター系製品一覧を追加 |
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'''JBL Professional'''(JBLプロフェッショナル)は、[[<tvar name=1>Special:MyLanguage/HARMAN</tvar>|HARMAN]]が展開する業務用オーディオブランドであり、[[<tvar name=2>Special:MyLanguage/PAシステム</tvar>|PAシステム]]、ツアーサウンド、設備音響、映画館音響、レコーディング/放送用モニターなどの分野でラウドスピーカーおよび関連システムを展開している。ブランドの起源は、スピーカー技術者James B. Lansing(ジェームス・B・ランシング)が1946年に設立したLansing Sound, Incorporated(のちJames B. Lansing Sound, Incorporated)に遡る。 | '''JBL Professional'''(JBLプロフェッショナル)は、[[<tvar name=1>Special:MyLanguage/HARMAN</tvar>|HARMAN]]が展開する業務用オーディオブランドであり、[[<tvar name=2>Special:MyLanguage/PAシステム</tvar>|PAシステム]]、ツアーサウンド、設備音響、映画館音響、レコーディング/放送用モニターなどの分野でラウドスピーカーおよび関連システムを展開している。ブランドの起源は、スピーカー技術者James B. Lansing(ジェームス・B・ランシング)が1946年に設立したLansing Sound, Incorporated(のちJames B. Lansing Sound, Incorporated)に遡る。 | ||
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JBLという名称はJames B. Lansingのイニシャルに由来する。現在はコンシューマー向けのJBLブランドと業務用のJBL Professionalが同じブランド系譜を共有しているが、JBL Professionalは録音・放送、ライブ、シネマ、商業設備などの専門用途を対象とした製品群として区別される。HARMANは1969年にJBLを取得し、HARMAN自体は2017年にSamsung Electronicsの傘下となった。 | JBLという名称はJames B. Lansingのイニシャルに由来する。現在はコンシューマー向けのJBLブランドと業務用のJBL Professionalが同じブランド系譜を共有しているが、JBL Professionalは録音・放送、ライブ、シネマ、商業設備などの専門用途を対象とした製品群として区別される。HARMANは1969年にJBLを取得し、HARMAN自体は2017年にSamsung Electronicsの傘下となった。 | ||
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== 概要 == | == 概要 == | ||
JBL | JBL Professionalの中核は[[<tvar name=48>Special:MyLanguage/ラウドスピーカー</tvar>|ラウドスピーカー]]および音響システムである。現行の主要分野には、次のようなものがある。 | ||
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* '''ライブ/ポータブルPA''' - パワード/パッシブPAスピーカー、サブウーファー、コラム型PAなど。 | * '''ライブ/ポータブルPA''' - パワード/パッシブPAスピーカー、サブウーファー、コラム型PAなど。 | ||
* '''ツアーサウンド''' - ラインアレイ、ポイントソース、ステージモニター、サブウーファーなど。 | * '''ツアーサウンド''' - ラインアレイ、ポイントソース、ステージモニター、サブウーファーなど。 | ||
* '''設備音響''' - 天井スピーカー、コラムスピーカー、サーフェスマウント型、商業設備用サブウーファー、大規模施設向けシステムなど。 | * '''設備音響''' - 天井スピーカー、コラムスピーカー、サーフェスマウント型、商業設備用サブウーファー、大規模施設向けシステムなど。 | ||
* '''レコーディング/放送''' - | * '''レコーディング/放送''' - [[<tvar name=49>Special:MyLanguage/スタジオモニター</tvar>|スタジオモニター]]、マスターリファレンスモニター、[[<tvar name=50>Special:MyLanguage/サブウーファー</tvar>|サブウーファー]]、[[<tvar name=51>Special:MyLanguage/モニターコントローラー</tvar>|モニターコントローラー]]など。 | ||
* '''シネマサウンド''' - スクリーンチャンネル、サラウンド、シネマサブウーファーなど。 | * '''シネマサウンド''' - スクリーンチャンネル、サラウンド、シネマサブウーファーなど。 | ||
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製品には単体の[[<tvar name=52>Special:MyLanguage/トランスデューサー</tvar>|トランスデューサー]]から大型設備向けシステムまでが含まれ、用途によって[[<tvar name=3>Special:MyLanguage/パワーアンプ</tvar>|パワーアンプ]]、[[<tvar name=53>Special:MyLanguage/DSP</tvar>|DSP]]、ネットワーク制御、[[<tvar name=4>Special:MyLanguage/クロスオーバー</tvar>|クロスオーバー]]などと組み合わせて使用される。HARMAN Professional Solutionsでは、JBL Professionalを[[<tvar name=5>Special:MyLanguage/Crown</tvar>|Crown]]、[[<tvar name=6>Special:MyLanguage/dbx</tvar>|dbx]]、Lexiconなどのブランドと組み合わせたシステムとして扱う場合もある。 | |||
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== 創業以前 == | == 創業以前 == | ||
James B. Lansingは1920年代からラウドスピーカー設計・製造に携わり、1927年にはロサンゼルスでLansing Manufacturing Companyを設立した。1930年代には映画館用音響の発展に関わり、MGMのShearer Horn系システムなどの時代に、業務用ラウドスピーカー技術者として知られるようになった。 | James B. Lansingは1920年代からラウドスピーカー設計・製造に携わり、1927年にはロサンゼルスでLansing Manufacturing Companyを設立した。1930年代には映画館用音響の発展に関わり、MGMのShearer Horn系システムなどの時代に、業務用ラウドスピーカー技術者として知られるようになった。 | ||
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1941年、Lansing Manufacturing CompanyはAltec Service Corporationに買収され、Altec Lansingとなった。Lansingは同社で技術担当として活動し、1946年に契約満了後、独立して新会社を設立した。 | 1941年、Lansing Manufacturing CompanyはAltec Service Corporationに買収され、Altec Lansingとなった。Lansingは同社で技術担当として活動し、1946年に契約満了後、独立して新会社を設立した。 | ||
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この経緯は、JBLが創業時から家庭用Hi-Fiだけを出発点とした企業ではなく、映画館音響や業務用トランスデューサー技術との強い連続性を持っていたことを示している。 | この経緯は、JBLが創業時から家庭用Hi-Fiだけを出発点とした企業ではなく、映画館音響や業務用トランスデューサー技術との強い連続性を持っていたことを示している。 | ||
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== 創業と初期製品 == | == 創業と初期製品 == | ||
1946年10月、LansingはLansing Sound, Incorporatedを設立した。創業時の主要人物にはJames B. Lansing、Chauncey Snow、Chester L. Nobleがいた。 | 1946年10月、LansingはLansing Sound, Incorporatedを設立した。創業時の主要人物にはJames B. Lansing、Chauncey Snow、Chester L. Nobleがいた。 | ||
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しかし「Lansing」という名称はAltec Lansing側の商標との関係があったため、会社名はほどなく'''James B. Lansing Sound, Incorporated'''へ変更された。後にJames B. Lansingのイニシャルである'''JBL'''がブランド名として定着した。 | しかし「Lansing」という名称はAltec Lansing側の商標との関係があったため、会社名はほどなく'''James B. Lansing Sound, Incorporated'''へ変更された。後にJames B. Lansingのイニシャルである'''JBL'''がブランド名として定着した。 | ||
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初期製品には15インチドライバーD101、高域ドライバーD175などがあり、1947年にはD130が登場した。D130は4インチ径のフラットワイヤー・ボイスコイルとAlnico V磁気回路を特徴とする15インチ・トランスデューサーで、JBLの初期を代表する製品となった。 | 初期製品には15インチドライバーD101、高域ドライバーD175などがあり、1947年にはD130が登場した。D130は4インチ径のフラットワイヤー・ボイスコイルとAlnico V磁気回路を特徴とする15インチ・トランスデューサーで、JBLの初期を代表する製品となった。 | ||
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創業当初のJBLは小規模企業で、業務用映画館市場と高級家庭用市場の双方へ使用できるラウドスピーカーシステムを展開した。Lansingが1949年に死去した後はWilliam H. Thomasが経営を引き継ぎ、1950年代にJBLを高級ラウドスピーカーメーカーとして成長させた。 | 創業当初のJBLは小規模企業で、業務用映画館市場と高級家庭用市場の双方へ使用できるラウドスピーカーシステムを展開した。Lansingが1949年に死去した後はWilliam H. Thomasが経営を引き継ぎ、1950年代にJBLを高級ラウドスピーカーメーカーとして成長させた。 | ||
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== プロフェッショナル市場への展開 == | == プロフェッショナル市場への展開 == | ||
JBLの業務用分野は映画館音響を背景に持つ一方、1960年代以降はレコーディングスタジオ、放送、ライブサウンドへ大きく展開した。 | JBLの業務用分野は映画館音響を背景に持つ一方、1960年代以降はレコーディングスタジオ、放送、ライブサウンドへ大きく展開した。 | ||
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HARMANの企業史では、1962年にJBL 4320スタジオモニターを導入したことを重要な節目としている。JBLのスタジオモニターはその後、4310などの系譜を通じて録音・放送分野で広く使用されるようになった。 | HARMANの企業史では、1962年にJBL 4320スタジオモニターを導入したことを重要な節目としている。JBLのスタジオモニターはその後、4310などの系譜を通じて録音・放送分野で広く使用されるようになった。 | ||
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1969年のWoodstockではJBLのトランスデューサーがPAシステムに使用された。ライブ音響の大規模化とともに、JBLは楽器用スピーカー、サウンドリインフォースメント、ツアー用システムの分野でも存在感を強めた。 | 1969年のWoodstockではJBLのトランスデューサーがPAシステムに使用された。ライブ音響の大規模化とともに、JBLは楽器用スピーカー、サウンドリインフォースメント、ツアー用システムの分野でも存在感を強めた。 | ||
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同じ1969年、JBLはHARMANに取得された。これ以後JBLは、独立創業企業としての系譜を維持しつつ、HARMANのオーディオブランド群の一つとして展開されている。 | 同じ1969年、JBLはHARMANに取得された。これ以後JBLは、独立創業企業としての系譜を維持しつつ、HARMANのオーディオブランド群の一つとして展開されている。 | ||
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== スタジオモニター == | == スタジオモニター == | ||
JBL | JBL Professionalは長期間にわたり[[<tvar name=17>Special:MyLanguage/スタジオモニター</tvar>|スタジオモニター]]を主要分野の一つとしている。大型メインモニターから[[<tvar name=18>Special:MyLanguage/ニアフィールドモニター</tvar>|ニアフィールドモニター]]、ポストプロダクション、放送、中継車向けまで複数の製品群を展開してきた。 | ||
現代の代表例の一つが | <!--T:18--> | ||
現代の代表例の一つが[[<tvar name=19>Special:MyLanguage/JBL M2 Master Reference Monitor</tvar>|M2 Master Reference Monitor]]である。M2は2ウェイの大型リファレンスモニターで、D2デュアルダイアフラム/デュアルボイスコイル・[[<tvar name=20>Special:MyLanguage/コンプレッションドライバー</tvar>|コンプレッションドライバー]]、2216Nd Differential Drive低域ドライバー、[[<tvar name=21>Special:MyLanguage/ウェーブガイド</tvar>|Image Control Waveguide]]などを採用する。JBLはM2について室内周波数特性20 Hz–40 kHz、最大123 dB SPLとしている。 | |||
M2で導入されたImage Control Waveguideの考え方は、3 Seriesや7 | <!--T:19--> | ||
M2で導入されたImage Control Waveguideの考え方は、3 Seriesや7 Seriesなど、より小型のスタジオモニターにも展開された。特に3 Seriesは、比較的小規模な制作環境やホームスタジオでも用いられるJBL Professionalの代表的な[[<tvar name=22>Special:MyLanguage/アクティブモニター</tvar>|アクティブモニター]]群である。 | |||
=== アクティブ/パワード・スタジオモニター === | |||
JBL Professionalは、内蔵[[<tvar name=23>Special:MyLanguage/パワーアンプ</tvar>|パワーアンプ]]を備えるアクティブ/パワード型スタジオモニターを複数世代にわたって展開してきた。現行・近年の代表的な製品には、3 Series MkIIの[[<tvar name=24>Special:MyLanguage/JBL 305P MkII</tvar>|305P MkII]]、[[<tvar name=25>Special:MyLanguage/JBL 306P MkII</tvar>|306P MkII]]、[[<tvar name=26>Special:MyLanguage/JBL 308P MkII</tvar>|308P MkII]]、7 Seriesの[[<tvar name=27>Special:MyLanguage/JBL 705P</tvar>|705P]]、[[<tvar name=28>Special:MyLanguage/JBL 708P</tvar>|708P]]などがある。 | |||
3 Series MkIIはJBLのImage Control Waveguideを採用する2ウェイ・バイアンプ型のパワードモニターで、低域ドライバー径に応じて305P MkII(5インチ)、306P MkII(6.5インチ)、308P MkII(8インチ)が用意される。305P MkIIは低域・高域それぞれ41 WのClass-Dアンプを内蔵し、306P MkIIと308P MkIIはそれぞれ56 W + 56 WのClass-Dアンプを内蔵する。いずれもバランスXLRおよび1/4インチTRS入力を備える。 | |||
3 Series MkIIと組み合わせる低域拡張用製品として、[[<tvar name=29>Special:MyLanguage/JBL LSR310S</tvar>|LSR310S]]がある。LSR310Sは10インチのダウンファイアリングドライバーと200 W Class-Dアンプを内蔵するパワード[[<tvar name=30>Special:MyLanguage/サブウーファー</tvar>|サブウーファー]]で、バランス入出力とクロスオーバー機能を備える。 | |||
7 Seriesの705Pと708Pは、より高い出力、内蔵[[<tvar name=31>Special:MyLanguage/DSP</tvar>|DSP]]、AES/EBUデジタル入力、ルームEQ、ディレイ、ネットワーク制御などを備える。705Pは5インチ、708Pは8インチの2ウェイ・バイアンプ型であり、それぞれ低域・高域用に250 W + 250 Wのアンプを内蔵する。7 Seriesには外部アンプを使用する705i/708iも存在するため、705P/708Pとは区別される。 | |||
JBL Professionalのパワード・スタジオモニターには、現在は生産終了している旧世代製品も含まれる。代表例として、初代3 Seriesの[[<tvar name=32>Special:MyLanguage/JBL LSR305</tvar>|LSR305]]および[[<tvar name=33>Special:MyLanguage/JBL LSR308</tvar>|LSR308]]、LSR2300 Seriesの[[<tvar name=34>Special:MyLanguage/JBL LSR2325P</tvar>|LSR2325P]]および[[<tvar name=35>Special:MyLanguage/JBL LSR2328P</tvar>|LSR2328P]]などがある。これらは後継モデルや現行シリーズを理解する上でも重要な系譜を形成している。 | |||
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! 製品 !! 系列 !! 構成 !! 状態・位置付け | |||
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| [[<tvar name=36>Special:MyLanguage/JBL 305P MkII</tvar>|305P MkII]] || 3 Series MkII || 5インチ、2ウェイ、バイアンプ || 現行・近年の代表的ニアフィールドモデル | |||
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| [[<tvar name=37>Special:MyLanguage/JBL 306P MkII</tvar>|306P MkII]] || 3 Series MkII || 6.5インチ、2ウェイ、バイアンプ || 305P MkIIと308P MkIIの中間モデル | |||
|- | |||
| [[<tvar name=38>Special:MyLanguage/JBL 308P MkII</tvar>|308P MkII]] || 3 Series MkII || 8インチ、2ウェイ、バイアンプ || 3 Series MkIIの大型モデル | |||
|- | |||
| [[<tvar name=39>Special:MyLanguage/JBL LSR310S</tvar>|LSR310S]] || 3 Series系 || 10インチ、パワードサブウーファー || 3 Seriesの低域拡張用 | |||
|- | |||
| [[<tvar name=40>Special:MyLanguage/JBL 705P</tvar>|705P]] || 7 Series || 5インチ、2ウェイ、バイアンプ+DSP || 放送・ポストプロダクション等を含む高精度用途 | |||
|- | |||
| [[<tvar name=41>Special:MyLanguage/JBL 708P</tvar>|708P]] || 7 Series || 8インチ、2ウェイ、バイアンプ+DSP || 705Pより大型・高出力 | |||
|- | |||
| [[<tvar name=42>Special:MyLanguage/JBL 104</tvar>|104]] || 1 Series || 4.5インチ同軸、パワード・ステレオペア || 小型デスクトップ・リファレンス | |||
|- | |||
| [[<tvar name=43>Special:MyLanguage/JBL 104-BT</tvar>|104-BT]] || 1 Series || 4.5インチ同軸、Bluetooth対応パワード・ステレオペア || 小型制作・デスクトップ用途 | |||
|- | |||
| [[<tvar name=44>Special:MyLanguage/JBL LSR305</tvar>|LSR305]] || 初代3 Series || 5インチ、2ウェイ、バイアンプ || 生産終了 | |||
|- | |||
| [[<tvar name=45>Special:MyLanguage/JBL LSR308</tvar>|LSR308]] || 初代3 Series || 8インチ、2ウェイ、バイアンプ || 生産終了 | |||
|- | |||
| [[<tvar name=46>Special:MyLanguage/JBL LSR2325P</tvar>|LSR2325P]] || LSR2300 Series || 5インチ、2ウェイ、バイアンプ || 生産終了 | |||
|- | |||
| [[<tvar name=47>Special:MyLanguage/JBL LSR2328P</tvar>|LSR2328P]] || LSR2300 Series || 8インチ、2ウェイ、バイアンプ || 生産終了 | |||
|} | |||
この一覧はJBL Professionalの全ラウドスピーカーを列挙するものではなく、主として録音・制作・放送用途のアクティブ/パワード・モニター系を示す。ライブ用途のEON、PRX、SRXなどのパワードPA製品は別系統として扱う。 | |||
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== ライブ/ポータブルPA == | == ライブ/ポータブルPA == | ||
JBL Professionalはパッシブ型のPAスピーカーだけでなく、アンプやDSPを内蔵したパワードスピーカーも展開している。 | JBL Professionalはパッシブ型のPAスピーカーだけでなく、アンプやDSPを内蔵したパワードスピーカーも展開している。 | ||
<!--T:21--> | |||
1995年に登場した'''EON'''シリーズは、その代表例である。JBLの技術資料によれば、初代EONは軽量な樹脂エンクロージャー、内蔵アンプ、専用トランスデューサーなどを統合したポータブル・パワードPAとして開発された。EONはその後複数世代へ発展し、現行のEON700シリーズではDSP、Bluetooth、アプリ制御なども統合されている。 | 1995年に登場した'''EON'''シリーズは、その代表例である。JBLの技術資料によれば、初代EONは軽量な樹脂エンクロージャー、内蔵アンプ、専用トランスデューサーなどを統合したポータブル・パワードPAとして開発された。EONはその後複数世代へ発展し、現行のEON700シリーズではDSP、Bluetooth、アプリ制御なども統合されている。 | ||
<!--T:22--> | |||
一方でJRX、PRX、SRXなどには用途や価格帯に応じたパッシブ/パワード製品が存在する。たとえばJRX200シリーズは比較的シンプルなポータブルPA向けパッシブシステムで、[[<tvar name=7>Special:MyLanguage/JBL JRX218S</tvar>|JRX218S]]のようなパッシブサブウーファーも含む。 | 一方でJRX、PRX、SRXなどには用途や価格帯に応じたパッシブ/パワード製品が存在する。たとえばJRX200シリーズは比較的シンプルなポータブルPA向けパッシブシステムで、[[<tvar name=7>Special:MyLanguage/JBL JRX218S</tvar>|JRX218S]]のようなパッシブサブウーファーも含む。 | ||
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== ツアーサウンドと大規模音響 == | == ツアーサウンドと大規模音響 == | ||
大規模コンサートやツアー用途では、JBL Professionalはラインアレイ、ポイントソース、サブウーファー、ステージモニターを展開している。 | 大規模コンサートやツアー用途では、JBL Professionalはラインアレイ、ポイントソース、サブウーファー、ステージモニターを展開している。 | ||
<!--T:24--> | |||
2000年代にはVerTecラインアレイが代表的なツアーサウンド製品群となった。Recording Academyは2005年にJBL ProfessionalへTechnical GRAMMY Awardを授与した際、VerTecラインアレイをJBLの業務用音響技術の一例として挙げている。 | 2000年代にはVerTecラインアレイが代表的なツアーサウンド製品群となった。Recording Academyは2005年にJBL ProfessionalへTechnical GRAMMY Awardを授与した際、VerTecラインアレイをJBLの業務用音響技術の一例として挙げている。 | ||
<!--T:25--> | |||
その後はVTXシリーズなどへ発展し、トランスデューサー、ウェーブガイド、アレイ設計、DSP、アンプ制御を統合した大規模音響システムが展開されている。 | その後はVTXシリーズなどへ発展し、トランスデューサー、ウェーブガイド、アレイ設計、DSP、アンプ制御を統合した大規模音響システムが展開されている。 | ||
<!--T:26--> | |||
== シネマサウンド == | == シネマサウンド == | ||
映画館音響はJBLの創業以前から続く技術的背景の一つであり、JBL Professionalの主要分野として現在まで残っている。 | 映画館音響はJBLの創業以前から続く技術的背景の一つであり、JBL Professionalの主要分野として現在まで残っている。 | ||
<!--T:27--> | |||
JBLのCinema Sound System Manualによれば、1981年にはJBLがAcademy of Motion Picture Arts and Sciencesでフラットなパワーレスポンスを志向した映画館用ラウドスピーカーシステムを実演した。1983年にLucasfilmがTHXスクリーンシステム認証を導入した時期にも、JBLは映画館用システムの開発に関与した。 | JBLのCinema Sound System Manualによれば、1981年にはJBLがAcademy of Motion Picture Arts and Sciencesでフラットなパワーレスポンスを志向した映画館用ラウドスピーカーシステムを実演した。1983年にLucasfilmがTHXスクリーンシステム認証を導入した時期にも、JBLは映画館用システムの開発に関与した。 | ||
<!--T:28--> | |||
2002年のAcademy Scientific and Technical Awardsでは、JBLに関係したJohn Eargle、Don Keele、Mark Engebretsonが、現代的な定指向性・ダイレクトラジエーター低域型映画館ラウドスピーカーシステムの設計・工学への貢献によりScientific and Engineering Awardを受賞している。 | 2002年のAcademy Scientific and Technical Awardsでは、JBLに関係したJohn Eargle、Don Keele、Mark Engebretsonが、現代的な定指向性・ダイレクトラジエーター低域型映画館ラウドスピーカーシステムの設計・工学への貢献によりScientific and Engineering Awardを受賞している。 | ||
<!--T:29--> | |||
現在のJBL Professional Cinema製品にはスクリーンチャンネル、サラウンド、サブウーファーなどがあり、HARMANは2026年のJBL創立80周年発表で、JBL Professionalのシネマシステムが世界の映画館の40%以上で使用されているとしている。 | 現在のJBL Professional Cinema製品にはスクリーンチャンネル、サラウンド、サブウーファーなどがあり、HARMANは2026年のJBL創立80周年発表で、JBL Professionalのシネマシステムが世界の映画館の40%以上で使用されているとしている。 | ||
<!--T:30--> | |||
== 設備音響 == | == 設備音響 == | ||
JBL Professionalはコンサートやスタジオ以外にも、商業施設、教育施設、企業設備、ホスピタリティ、宗教施設、スポーツ施設などの固定設備向け製品を展開する。 | JBL Professionalはコンサートやスタジオ以外にも、商業施設、教育施設、企業設備、ホスピタリティ、宗教施設、スポーツ施設などの固定設備向け製品を展開する。 | ||
<!--T:31--> | |||
設備音響では、天井埋込型、壁面設置型、コラム型、サブウーファー、全天候型、大規模施設用ポイントソースなど、多様な指向性・出力・外形の製品が存在する。Controlシリーズはこの分野で長く展開されてきた代表的な名称の一つである。 | 設備音響では、天井埋込型、壁面設置型、コラム型、サブウーファー、全天候型、大規模施設用ポイントソースなど、多様な指向性・出力・外形の製品が存在する。Controlシリーズはこの分野で長く展開されてきた代表的な名称の一つである。 | ||
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== 技術 == | == 技術 == | ||
JBL Professionalはラウドスピーカーを単なるドライバーと箱の組合せとしてではなく、トランスデューサー、磁気回路、ボイスコイル、ホーン/ウェーブガイド、キャビネット、ネットワーク、DSPを含むシステムとして設計している。 | JBL Professionalはラウドスピーカーを単なるドライバーと箱の組合せとしてではなく、トランスデューサー、磁気回路、ボイスコイル、ホーン/ウェーブガイド、キャビネット、ネットワーク、DSPを含むシステムとして設計している。 | ||
<!--T:33--> | |||
代表的な技術名称には次のようなものがある。 | 代表的な技術名称には次のようなものがある。 | ||
<!--T:34--> | |||
* '''Differential Drive''' - 軽量化と高出力を両立することを目的としたJBLの低域トランスデューサー技術。 | * '''Differential Drive''' - 軽量化と高出力を両立することを目的としたJBLの低域トランスデューサー技術。 | ||
* '''D2 Dual-Diaphragm Dual Voice-Coil Compression Driver''' - 2枚のダイアフラムと2つのボイスコイルを用いる高域コンプレッションドライバー。 | * '''D2 Dual-Diaphragm Dual Voice-Coil Compression Driver''' - 2枚のダイアフラムと2つのボイスコイルを用いる高域コンプレッションドライバー。 | ||
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* '''Radiation Boundary Integrator''' - ドライバー間の音響的統合と指向性制御を目的とする構造。 | * '''Radiation Boundary Integrator''' - ドライバー間の音響的統合と指向性制御を目的とする構造。 | ||
<!--T:35--> | |||
これらの名称は世代や製品カテゴリによって採用状況が異なり、すべてのJBL Professional製品に共通するわけではない。 | これらの名称は世代や製品カテゴリによって採用状況が異なり、すべてのJBL Professional製品に共通するわけではない。 | ||
<!--T:36--> | |||
== JBLとJBL Professional == | == JBLとJBL Professional == | ||
'''JBL'''は現在、ポータブルBluetoothスピーカー、ヘッドホン、ホームオーディオ、カーオーディオなど幅広いコンシューマー製品にも使用されるブランドである。一方、'''JBL Professional'''は業務用オーディオ製品を扱うブランド区分である。 | '''JBL'''は現在、ポータブルBluetoothスピーカー、ヘッドホン、ホームオーディオ、カーオーディオなど幅広いコンシューマー製品にも使用されるブランドである。一方、'''JBL Professional'''は業務用オーディオ製品を扱うブランド区分である。 | ||
<!--T:37--> | |||
両者はJames B. Lansingに始まる歴史と技術的系譜を共有するが、製品の用途、販売経路、システム設計、接続方式、保守要件などは異なる。そのため、JBL Professional製品を単純に「JBLの上位版」とみなすのは適切ではなく、業務用途に合わせて設計された別の製品群として理解する方が正確である。 | 両者はJames B. Lansingに始まる歴史と技術的系譜を共有するが、製品の用途、販売経路、システム設計、接続方式、保守要件などは異なる。そのため、JBL Professional製品を単純に「JBLの上位版」とみなすのは適切ではなく、業務用途に合わせて設計された別の製品群として理解する方が正確である。 | ||
<!--T:38--> | |||
== HARMANおよびSamsungとの関係 == | == HARMANおよびSamsungとの関係 == | ||
HARMANの企業史によれば、HARMANは1969年にJBLを取得した。現在、JBL ProfessionalはHARMAN Professional Solutionsのブランド群の一つとして位置付けられている。 | HARMANの企業史によれば、HARMANは1969年にJBLを取得した。現在、JBL ProfessionalはHARMAN Professional Solutionsのブランド群の一つとして位置付けられている。 | ||
<!--T:39--> | |||
Samsung Electronicsは2016年にHARMAN買収を発表し、2017年3月に約80億米ドルの取引を完了した。HARMANはSamsung傘下で独立した事業体として運営され、JBLを含むコンシューマーおよびプロフェッショナルオーディオブランドを保持している。 | Samsung Electronicsは2016年にHARMAN買収を発表し、2017年3月に約80億米ドルの取引を完了した。HARMANはSamsung傘下で独立した事業体として運営され、JBLを含むコンシューマーおよびプロフェッショナルオーディオブランドを保持している。 | ||
<!--T:40--> | |||
したがって、現在の企業関係を簡略化すると、'''Samsung Electronics → HARMAN → JBL / JBL Professional'''という構造になる。ただし、JBL Professionalの製品開発・販売はHARMANのプロフェッショナルオーディオ事業として行われている。 | したがって、現在の企業関係を簡略化すると、'''Samsung Electronics → HARMAN → JBL / JBL Professional'''という構造になる。ただし、JBL Professionalの製品開発・販売はHARMANのプロフェッショナルオーディオ事業として行われている。 | ||
<!--T:41--> | |||
== 受賞 == | == 受賞 == | ||
2005年、Recording AcademyはJBL Professionalに'''Technical GRAMMY Award'''を授与した。同賞は、録音・音楽産業に長期的かつ重要な技術的貢献を行った個人・企業へ授与される特別功労賞である。 | 2005年、Recording AcademyはJBL Professionalに'''Technical GRAMMY Award'''を授与した。同賞は、録音・音楽産業に長期的かつ重要な技術的貢献を行った個人・企業へ授与される特別功労賞である。 | ||
<!--T:42--> | |||
また、2002年にはJohn Eargle、Don Keele、Mark Engebretsonが映画館用ラウドスピーカー技術への貢献でAcademy of Motion Picture Arts and SciencesのScientific and Engineering Awardを受賞している。これはJBL Professionalという法人・ブランドそのものへの賞ではなく、JBLに関係する技術者の具体的な映画館音響技術に対する受賞であるため、Technical GRAMMYとは区別する必要がある。 | また、2002年にはJohn Eargle、Don Keele、Mark Engebretsonが映画館用ラウドスピーカー技術への貢献でAcademy of Motion Picture Arts and SciencesのScientific and Engineering Awardを受賞している。これはJBL Professionalという法人・ブランドそのものへの賞ではなく、JBLに関係する技術者の具体的な映画館音響技術に対する受賞であるため、Technical GRAMMYとは区別する必要がある。 | ||
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== 主な年表 == | == 主な年表 == | ||
{| class="wikitable" | {| class="wikitable" | ||
| Line 137: | Line 221: | ||
|} | |} | ||
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== 関連項目 == | == 関連項目 == | ||
* [[<tvar name=8>Special:MyLanguage/JBL JRX218S</tvar>|JBL JRX218S]] | * [[<tvar name=8>Special:MyLanguage/JBL JRX218S</tvar>|JBL JRX218S]] | ||
| Line 148: | Line 233: | ||
* [[<tvar name=16>Special:MyLanguage/HARMAN</tvar>|HARMAN]] | * [[<tvar name=16>Special:MyLanguage/HARMAN</tvar>|HARMAN]] | ||
<!--T:45--> | |||
== 参考資料 == | == 参考資料 == | ||
* [https://jblpro.com/ JBL Professional] | * [https://jblpro.com/ JBL Professional] | ||
Latest revision as of 05:33, 30 September 2026
JBL Professional(JBLプロフェッショナル)は、HARMANが展開する業務用オーディオブランドであり、PAシステム、ツアーサウンド、設備音響、映画館音響、レコーディング/放送用モニターなどの分野でラウドスピーカーおよび関連システムを展開している。ブランドの起源は、スピーカー技術者James B. Lansing(ジェームス・B・ランシング)が1946年に設立したLansing Sound, Incorporated(のちJames B. Lansing Sound, Incorporated)に遡る。
JBLという名称はJames B. Lansingのイニシャルに由来する。現在はコンシューマー向けのJBLブランドと業務用のJBL Professionalが同じブランド系譜を共有しているが、JBL Professionalは録音・放送、ライブ、シネマ、商業設備などの専門用途を対象とした製品群として区別される。HARMANは1969年にJBLを取得し、HARMAN自体は2017年にSamsung Electronicsの傘下となった。
概要
JBL Professionalの中核はラウドスピーカーおよび音響システムである。現行の主要分野には、次のようなものがある。
- ライブ/ポータブルPA - パワード/パッシブPAスピーカー、サブウーファー、コラム型PAなど。
- ツアーサウンド - ラインアレイ、ポイントソース、ステージモニター、サブウーファーなど。
- 設備音響 - 天井スピーカー、コラムスピーカー、サーフェスマウント型、商業設備用サブウーファー、大規模施設向けシステムなど。
- レコーディング/放送 - スタジオモニター、マスターリファレンスモニター、サブウーファー、モニターコントローラーなど。
- シネマサウンド - スクリーンチャンネル、サラウンド、シネマサブウーファーなど。
製品には単体のトランスデューサーから大型設備向けシステムまでが含まれ、用途によってパワーアンプ、DSP、ネットワーク制御、クロスオーバーなどと組み合わせて使用される。HARMAN Professional Solutionsでは、JBL ProfessionalをCrown、dbx、Lexiconなどのブランドと組み合わせたシステムとして扱う場合もある。
創業以前
James B. Lansingは1920年代からラウドスピーカー設計・製造に携わり、1927年にはロサンゼルスでLansing Manufacturing Companyを設立した。1930年代には映画館用音響の発展に関わり、MGMのShearer Horn系システムなどの時代に、業務用ラウドスピーカー技術者として知られるようになった。
1941年、Lansing Manufacturing CompanyはAltec Service Corporationに買収され、Altec Lansingとなった。Lansingは同社で技術担当として活動し、1946年に契約満了後、独立して新会社を設立した。
この経緯は、JBLが創業時から家庭用Hi-Fiだけを出発点とした企業ではなく、映画館音響や業務用トランスデューサー技術との強い連続性を持っていたことを示している。
創業と初期製品
1946年10月、LansingはLansing Sound, Incorporatedを設立した。創業時の主要人物にはJames B. Lansing、Chauncey Snow、Chester L. Nobleがいた。
しかし「Lansing」という名称はAltec Lansing側の商標との関係があったため、会社名はほどなくJames B. Lansing Sound, Incorporatedへ変更された。後にJames B. LansingのイニシャルであるJBLがブランド名として定着した。
初期製品には15インチドライバーD101、高域ドライバーD175などがあり、1947年にはD130が登場した。D130は4インチ径のフラットワイヤー・ボイスコイルとAlnico V磁気回路を特徴とする15インチ・トランスデューサーで、JBLの初期を代表する製品となった。
創業当初のJBLは小規模企業で、業務用映画館市場と高級家庭用市場の双方へ使用できるラウドスピーカーシステムを展開した。Lansingが1949年に死去した後はWilliam H. Thomasが経営を引き継ぎ、1950年代にJBLを高級ラウドスピーカーメーカーとして成長させた。
プロフェッショナル市場への展開
JBLの業務用分野は映画館音響を背景に持つ一方、1960年代以降はレコーディングスタジオ、放送、ライブサウンドへ大きく展開した。
HARMANの企業史では、1962年にJBL 4320スタジオモニターを導入したことを重要な節目としている。JBLのスタジオモニターはその後、4310などの系譜を通じて録音・放送分野で広く使用されるようになった。
1969年のWoodstockではJBLのトランスデューサーがPAシステムに使用された。ライブ音響の大規模化とともに、JBLは楽器用スピーカー、サウンドリインフォースメント、ツアー用システムの分野でも存在感を強めた。
同じ1969年、JBLはHARMANに取得された。これ以後JBLは、独立創業企業としての系譜を維持しつつ、HARMANのオーディオブランド群の一つとして展開されている。
スタジオモニター
JBL Professionalは長期間にわたりスタジオモニターを主要分野の一つとしている。大型メインモニターからニアフィールドモニター、ポストプロダクション、放送、中継車向けまで複数の製品群を展開してきた。
現代の代表例の一つがM2 Master Reference Monitorである。M2は2ウェイの大型リファレンスモニターで、D2デュアルダイアフラム/デュアルボイスコイル・コンプレッションドライバー、2216Nd Differential Drive低域ドライバー、Image Control Waveguideなどを採用する。JBLはM2について室内周波数特性20 Hz–40 kHz、最大123 dB SPLとしている。
M2で導入されたImage Control Waveguideの考え方は、3 Seriesや7 Seriesなど、より小型のスタジオモニターにも展開された。特に3 Seriesは、比較的小規模な制作環境やホームスタジオでも用いられるJBL Professionalの代表的なアクティブモニター群である。
アクティブ/パワード・スタジオモニター
JBL Professionalは、内蔵パワーアンプを備えるアクティブ/パワード型スタジオモニターを複数世代にわたって展開してきた。現行・近年の代表的な製品には、3 Series MkIIの305P MkII、306P MkII、308P MkII、7 Seriesの705P、708Pなどがある。
3 Series MkIIはJBLのImage Control Waveguideを採用する2ウェイ・バイアンプ型のパワードモニターで、低域ドライバー径に応じて305P MkII(5インチ)、306P MkII(6.5インチ)、308P MkII(8インチ)が用意される。305P MkIIは低域・高域それぞれ41 WのClass-Dアンプを内蔵し、306P MkIIと308P MkIIはそれぞれ56 W + 56 WのClass-Dアンプを内蔵する。いずれもバランスXLRおよび1/4インチTRS入力を備える。
3 Series MkIIと組み合わせる低域拡張用製品として、LSR310Sがある。LSR310Sは10インチのダウンファイアリングドライバーと200 W Class-Dアンプを内蔵するパワードサブウーファーで、バランス入出力とクロスオーバー機能を備える。
7 Seriesの705Pと708Pは、より高い出力、内蔵DSP、AES/EBUデジタル入力、ルームEQ、ディレイ、ネットワーク制御などを備える。705Pは5インチ、708Pは8インチの2ウェイ・バイアンプ型であり、それぞれ低域・高域用に250 W + 250 Wのアンプを内蔵する。7 Seriesには外部アンプを使用する705i/708iも存在するため、705P/708Pとは区別される。
JBL Professionalのパワード・スタジオモニターには、現在は生産終了している旧世代製品も含まれる。代表例として、初代3 SeriesのLSR305およびLSR308、LSR2300 SeriesのLSR2325PおよびLSR2328Pなどがある。これらは後継モデルや現行シリーズを理解する上でも重要な系譜を形成している。
| 製品 | 系列 | 構成 | 状態・位置付け |
|---|---|---|---|
| 305P MkII | 3 Series MkII | 5インチ、2ウェイ、バイアンプ | 現行・近年の代表的ニアフィールドモデル |
| 306P MkII | 3 Series MkII | 6.5インチ、2ウェイ、バイアンプ | 305P MkIIと308P MkIIの中間モデル |
| 308P MkII | 3 Series MkII | 8インチ、2ウェイ、バイアンプ | 3 Series MkIIの大型モデル |
| LSR310S | 3 Series系 | 10インチ、パワードサブウーファー | 3 Seriesの低域拡張用 |
| 705P | 7 Series | 5インチ、2ウェイ、バイアンプ+DSP | 放送・ポストプロダクション等を含む高精度用途 |
| 708P | 7 Series | 8インチ、2ウェイ、バイアンプ+DSP | 705Pより大型・高出力 |
| 104 | 1 Series | 4.5インチ同軸、パワード・ステレオペア | 小型デスクトップ・リファレンス |
| 104-BT | 1 Series | 4.5インチ同軸、Bluetooth対応パワード・ステレオペア | 小型制作・デスクトップ用途 |
| LSR305 | 初代3 Series | 5インチ、2ウェイ、バイアンプ | 生産終了 |
| LSR308 | 初代3 Series | 8インチ、2ウェイ、バイアンプ | 生産終了 |
| LSR2325P | LSR2300 Series | 5インチ、2ウェイ、バイアンプ | 生産終了 |
| LSR2328P | LSR2300 Series | 8インチ、2ウェイ、バイアンプ | 生産終了 |
この一覧はJBL Professionalの全ラウドスピーカーを列挙するものではなく、主として録音・制作・放送用途のアクティブ/パワード・モニター系を示す。ライブ用途のEON、PRX、SRXなどのパワードPA製品は別系統として扱う。
ライブ/ポータブルPA
JBL Professionalはパッシブ型のPAスピーカーだけでなく、アンプやDSPを内蔵したパワードスピーカーも展開している。
1995年に登場したEONシリーズは、その代表例である。JBLの技術資料によれば、初代EONは軽量な樹脂エンクロージャー、内蔵アンプ、専用トランスデューサーなどを統合したポータブル・パワードPAとして開発された。EONはその後複数世代へ発展し、現行のEON700シリーズではDSP、Bluetooth、アプリ制御なども統合されている。
一方でJRX、PRX、SRXなどには用途や価格帯に応じたパッシブ/パワード製品が存在する。たとえばJRX200シリーズは比較的シンプルなポータブルPA向けパッシブシステムで、JRX218Sのようなパッシブサブウーファーも含む。
ツアーサウンドと大規模音響
大規模コンサートやツアー用途では、JBL Professionalはラインアレイ、ポイントソース、サブウーファー、ステージモニターを展開している。
2000年代にはVerTecラインアレイが代表的なツアーサウンド製品群となった。Recording Academyは2005年にJBL ProfessionalへTechnical GRAMMY Awardを授与した際、VerTecラインアレイをJBLの業務用音響技術の一例として挙げている。
その後はVTXシリーズなどへ発展し、トランスデューサー、ウェーブガイド、アレイ設計、DSP、アンプ制御を統合した大規模音響システムが展開されている。
シネマサウンド
映画館音響はJBLの創業以前から続く技術的背景の一つであり、JBL Professionalの主要分野として現在まで残っている。
JBLのCinema Sound System Manualによれば、1981年にはJBLがAcademy of Motion Picture Arts and Sciencesでフラットなパワーレスポンスを志向した映画館用ラウドスピーカーシステムを実演した。1983年にLucasfilmがTHXスクリーンシステム認証を導入した時期にも、JBLは映画館用システムの開発に関与した。
2002年のAcademy Scientific and Technical Awardsでは、JBLに関係したJohn Eargle、Don Keele、Mark Engebretsonが、現代的な定指向性・ダイレクトラジエーター低域型映画館ラウドスピーカーシステムの設計・工学への貢献によりScientific and Engineering Awardを受賞している。
現在のJBL Professional Cinema製品にはスクリーンチャンネル、サラウンド、サブウーファーなどがあり、HARMANは2026年のJBL創立80周年発表で、JBL Professionalのシネマシステムが世界の映画館の40%以上で使用されているとしている。
設備音響
JBL Professionalはコンサートやスタジオ以外にも、商業施設、教育施設、企業設備、ホスピタリティ、宗教施設、スポーツ施設などの固定設備向け製品を展開する。
設備音響では、天井埋込型、壁面設置型、コラム型、サブウーファー、全天候型、大規模施設用ポイントソースなど、多様な指向性・出力・外形の製品が存在する。Controlシリーズはこの分野で長く展開されてきた代表的な名称の一つである。
技術
JBL Professionalはラウドスピーカーを単なるドライバーと箱の組合せとしてではなく、トランスデューサー、磁気回路、ボイスコイル、ホーン/ウェーブガイド、キャビネット、ネットワーク、DSPを含むシステムとして設計している。
代表的な技術名称には次のようなものがある。
- Differential Drive - 軽量化と高出力を両立することを目的としたJBLの低域トランスデューサー技術。
- D2 Dual-Diaphragm Dual Voice-Coil Compression Driver - 2枚のダイアフラムと2つのボイスコイルを用いる高域コンプレッションドライバー。
- Image Control Waveguide - M2のために開発され、スタジオモニターにも展開された指向性制御技術。
- Progressive Transition Waveguide - 複数のPA/設備用スピーカーで使用されるウェーブガイド技術。
- Slip Stream Port - 主に低域ポートの動作最適化を目的としたポート設計。
- Radiation Boundary Integrator - ドライバー間の音響的統合と指向性制御を目的とする構造。
これらの名称は世代や製品カテゴリによって採用状況が異なり、すべてのJBL Professional製品に共通するわけではない。
JBLとJBL Professional
JBLは現在、ポータブルBluetoothスピーカー、ヘッドホン、ホームオーディオ、カーオーディオなど幅広いコンシューマー製品にも使用されるブランドである。一方、JBL Professionalは業務用オーディオ製品を扱うブランド区分である。
両者はJames B. Lansingに始まる歴史と技術的系譜を共有するが、製品の用途、販売経路、システム設計、接続方式、保守要件などは異なる。そのため、JBL Professional製品を単純に「JBLの上位版」とみなすのは適切ではなく、業務用途に合わせて設計された別の製品群として理解する方が正確である。
HARMANおよびSamsungとの関係
HARMANの企業史によれば、HARMANは1969年にJBLを取得した。現在、JBL ProfessionalはHARMAN Professional Solutionsのブランド群の一つとして位置付けられている。
Samsung Electronicsは2016年にHARMAN買収を発表し、2017年3月に約80億米ドルの取引を完了した。HARMANはSamsung傘下で独立した事業体として運営され、JBLを含むコンシューマーおよびプロフェッショナルオーディオブランドを保持している。
したがって、現在の企業関係を簡略化すると、Samsung Electronics → HARMAN → JBL / JBL Professionalという構造になる。ただし、JBL Professionalの製品開発・販売はHARMANのプロフェッショナルオーディオ事業として行われている。
受賞
2005年、Recording AcademyはJBL ProfessionalにTechnical GRAMMY Awardを授与した。同賞は、録音・音楽産業に長期的かつ重要な技術的貢献を行った個人・企業へ授与される特別功労賞である。
また、2002年にはJohn Eargle、Don Keele、Mark Engebretsonが映画館用ラウドスピーカー技術への貢献でAcademy of Motion Picture Arts and SciencesのScientific and Engineering Awardを受賞している。これはJBL Professionalという法人・ブランドそのものへの賞ではなく、JBLに関係する技術者の具体的な映画館音響技術に対する受賞であるため、Technical GRAMMYとは区別する必要がある。
主な年表
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1927 | James B. LansingらがLansing Manufacturing Companyを設立。 |
| 1941 | Lansing Manufacturing CompanyがAltec Service Corporationに買収され、Altec Lansingとなる。 |
| 1946 | Lansing Sound, Incorporated設立。ほどなくJames B. Lansing Sound, Incorporatedへ改称。 |
| 1947 | D130 15インチ・トランスデューサーを導入。 |
| 1949 | James B. Lansing死去。William H. Thomasが経営を引き継ぐ。 |
| 1962 | JBL 4320スタジオモニターを導入。 |
| 1969 | WoodstockのPAにJBLトランスデューサーが使用される。同年HARMANがJBLを取得。 |
| 1981 | 映画館用フラット・パワーレスポンス・ラウドスピーカーシステムをAcademy of Motion Picture Arts and Sciencesで実演。 |
| 1995 | EONパワードPAシリーズを導入。 |
| 2005 | JBL ProfessionalがTechnical GRAMMY Awardを受賞。 |
| 2017 | Samsung ElectronicsによるHARMAN買収が完了。 |
| 2026 | JBLブランド創立80周年。 |
関連項目
参考資料
- JBL Professional
- JBL Professional: Innovation
- JBL Professional: ライブポータブル
- JBL Professional: 設置型
- JBL Professional: レコーディング・放送
- JBL Professional: シネマサウンド
- JBL Professional: Cinema Sound System Manual
- JBL Professional: M2 Master Reference Monitor
- JBL Professional: EON Generation2 Development Strategies and Implementation
- JBL: Our Story
- JBL: JBLストーリー
- HARMAN: Company
- HARMAN: JBL Celebrates 80 Years of Powering Voices
- Samsung Global Newsroom: Samsung Electronics Completes Acquisition of HARMAN
- Recording Academy: Technical GRAMMY Award
- Academy of Motion Picture Arts and Sciences: Scientific & Technical Awards 2002
- Lansing Heritage: A Brief History of James B. Lansing and JBL
- Lansing Heritage: Founding JBL