Dbx DriveRack PA2: Difference between revisions

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dbx DriveRack PA2の信号処理、入出力、AutoEQ、AFS、ネットワーク制御、PAシステムでの配置を詳説
 
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'''dbx DriveRack PA2'''(ディービーエックス・ドライブラック PA2)は、[[<tvar name=1>Special:MyLanguage/dbx</tvar>|dbx]]が製造する2入力・6出力のデジタル[[<tvar name=2>Special:MyLanguage/スピーカー・マネジメント・システム</tvar>|スピーカー・マネジメント・システム]]である。[[<tvar name=3>Special:MyLanguage/PAシステム</tvar>|PAシステム]]において、通常は[[<tvar name=4>Special:MyLanguage/ミキサー</tvar>|ミキサー]]と[[<tvar name=5>Special:MyLanguage/パワーアンプ</tvar>|パワーアンプ]]/[[<tvar name=6>Special:MyLanguage/パワードスピーカー</tvar>|パワードスピーカー]]の間に配置し、EQ、クロスオーバー、ディレイ、リミッター、フィードバック抑制などを統合して処理する。
'''dbx DriveRack PA2'''(ディービーエックス・ドライブラック PA2)は、[[<tvar name=1>Special:MyLanguage/dbx</tvar>|dbx]]が製造する2入力・6出力のデジタル[[<tvar name=2>Special:MyLanguage/スピーカー・マネジメント・システム</tvar>|スピーカー・マネジメント・システム]]である。[[<tvar name=3>Special:MyLanguage/PAシステム</tvar>|PAシステム]]において、通常は[[<tvar name=4>Special:MyLanguage/ミキサー</tvar>|ミキサー]]と[[<tvar name=5>Special:MyLanguage/パワーアンプ</tvar>|パワーアンプ]]/[[<tvar name=6>Special:MyLanguage/パワードスピーカー</tvar>|パワードスピーカー]]の間に配置し、EQ、クロスオーバー、ディレイ、リミッター、フィードバック抑制などを統合して処理する。


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DriveRack PA2は2013年に発表され、従来のDriveRack PA系を発展させたポータブルPA向けモデルである。AutoEQ、AFS(Advanced Feedback Suppression)、セットアップ・ウィザード、ネットワーク経由のリモート制御などを備える。
DriveRack PA2は2013年に発表され、従来のDriveRack PA系を発展させたポータブルPA向けモデルである。AutoEQ、AFS(Advanced Feedback Suppression)、セットアップ・ウィザード、ネットワーク経由のリモート制御などを備える。


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== 概要 ==
== 概要 ==
DriveRack PA2は、従来は複数の1Uラック機器へ分かれていた信号処理を単一の[[<tvar name=7>Special:MyLanguage/DSP</tvar>|DSP]]へ統合する。
DriveRack PA2は、従来は複数の1Uラック機器へ分かれていた信号処理を単一の[[<tvar name=7>Special:MyLanguage/DSP</tvar>|DSP]]へ統合する。


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代表的な処理は次の通り。
代表的な処理は次の通り。


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* 入力[[<tvar name=8>Special:MyLanguage/グラフィックイコライザー</tvar>|グラフィックEQ]]
* 入力[[<tvar name=8>Special:MyLanguage/グラフィックイコライザー</tvar>|グラフィックEQ]]
* AutoEQ
* AutoEQ
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* ドライバー・アライメント用[[<tvar name=13>Special:MyLanguage/ディレイ</tvar>|ディレイ]]
* ドライバー・アライメント用[[<tvar name=13>Special:MyLanguage/ディレイ</tvar>|ディレイ]]


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これにより、ステレオ・フルレンジ、2-way、3-way、サブウーファーを含む複数のPA構成を一台から管理できる。
これにより、ステレオ・フルレンジ、2-way、3-way、サブウーファーを含む複数のPA構成を一台から管理できる。


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== PAシステムでの位置 ==
== PAシステムでの位置 ==
典型的な接続順は次のようになる。
典型的な接続順は次のようになる。


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'''音源/マイク → ミキサー → DriveRack PA2 → パワーアンプ → パッシブスピーカー'''
'''音源/マイク → ミキサー → DriveRack PA2 → パワーアンプ → パッシブスピーカー'''


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または、
または、


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'''音源/マイク → ミキサー → DriveRack PA2 → パワードスピーカー'''
'''音源/マイク → ミキサー → DriveRack PA2 → パワードスピーカー'''


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DriveRack PA2はミキサーそのものではなく、ミキサーから完成したミックス信号を受け、スピーカーシステムに合わせて処理・分配する後段プロセッサーである。
DriveRack PA2はミキサーそのものではなく、ミキサーから完成したミックス信号を受け、スピーカーシステムに合わせて処理・分配する後段プロセッサーである。


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例えば[[<tvar name=14>Special:MyLanguage/Soundcraft EPM</tvar>|Soundcraft EPM]]のようなアナログミキサーと組み合わせる場合、EPMのMIX L/R出力をPA2のINPUT 1/2へ送り、PA2の出力をパワーアンプまたはパワードスピーカーへ接続する構成を取ることができる。
例えば[[<tvar name=14>Special:MyLanguage/Soundcraft EPM</tvar>|Soundcraft EPM]]のようなアナログミキサーと組み合わせる場合、EPMのMIX L/R出力をPA2のINPUT 1/2へ送り、PA2の出力をパワーアンプまたはパワードスピーカーへ接続する構成を取ることができる。


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== 入力 ==
== 入力 ==
アナログ音声入力は2系統で、[[<tvar name=15>Special:MyLanguage/XLR</tvar>|XLR]] femaleコネクターを使用する。入力は電子バランス/RFフィルター付きで、入力インピーダンスは50 kΩ超、最大入力レベルは+20 dBu超とされる。
アナログ音声入力は2系統で、[[<tvar name=15>Special:MyLanguage/XLR</tvar>|XLR]] femaleコネクターを使用する。入力は電子バランス/RFフィルター付きで、入力インピーダンスは50 kΩ超、最大入力レベルは+20 dBu超とされる。


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リアパネルには入力感度を切り替える'''+4 dBu / -10 dBV'''スイッチがあり、接続する機器の公称出力レベルに合わせて設定する。
リアパネルには入力感度を切り替える'''+4 dBu / -10 dBV'''スイッチがあり、接続する機器の公称出力レベルに合わせて設定する。


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これとは別に、AutoEQ測定用の'''RTA MIC INPUT'''を1系統備える。この入力もXLR femaleだが、通常の音声入力チャンネルではなく、測定用[[<tvar name=16>Special:MyLanguage/RTA</tvar>|RTA]]マイクを接続するための専用入力である。RTAマイク入力には+15 V DCのファンタム電源が供給される。
これとは別に、AutoEQ測定用の'''RTA MIC INPUT'''を1系統備える。この入力もXLR femaleだが、通常の音声入力チャンネルではなく、測定用[[<tvar name=16>Special:MyLanguage/RTA</tvar>|RTA]]マイクを接続するための専用入力である。RTAマイク入力には+15 V DCのファンタム電源が供給される。


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== 出力 ==
== 出力 ==
アナログ出力は6系統で、XLR maleコネクターを使用する。各出力は電子バランス/RFフィルター付きで、出力インピーダンスは120 Ω、最大出力レベルは+20 dBuである。
アナログ出力は6系統で、XLR maleコネクターを使用する。各出力は電子バランス/RFフィルター付きで、出力インピーダンスは120 Ω、最大出力レベルは+20 dBuである。


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6出力を利用することで、例えば次のような構成が可能である。
6出力を利用することで、例えば次のような構成が可能である。


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* ステレオ・フルレンジ
* ステレオ・フルレンジ
* ステレオ2-way
* ステレオ2-way
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* 高域/中域/低域を個別のアンプ系統へ送る構成
* 高域/中域/低域を個別のアンプ系統へ送る構成


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実際の出力割り当てはセットアップ・ウィザードとクロスオーバー設定によって決まる。誤った帯域をドライバーへ送るとスピーカーを損傷する可能性があるため、パッシブ・マルチアンプ構成では特にクロスオーバー設定と配線を確認する必要がある。
実際の出力割り当てはセットアップ・ウィザードとクロスオーバー設定によって決まる。誤った帯域をドライバーへ送るとスピーカーを損傷する可能性があるため、パッシブ・マルチアンプ構成では特にクロスオーバー設定と配線を確認する必要がある。


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== クロスオーバー ==
== クロスオーバー ==
DriveRack PA2は内蔵デジタルクロスオーバーにより、入力されたフルレンジ信号を複数の周波数帯域へ分割できる。
DriveRack PA2は内蔵デジタルクロスオーバーにより、入力されたフルレンジ信号を複数の周波数帯域へ分割できる。


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クロスオーバーは、サブウーファーとトップスピーカーの帯域分担や、マルチウェイ・スピーカーシステムの各ドライバーへ適切な帯域を送るために使用される。
クロスオーバーは、サブウーファーとトップスピーカーの帯域分担や、マルチウェイ・スピーカーシステムの各ドライバーへ適切な帯域を送るために使用される。


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アナログ[[<tvar name=17>Special:MyLanguage/dbx 234XL</tvar>|dbx 234XL]]や[[<tvar name=18>Special:MyLanguage/dbx 223xs</tvar>|dbx 223xs]]のような単機能クロスオーバーと異なり、PA2ではクロスオーバーとEQ、リミッター、ディレイ等を同一DSP内で設定できる。
アナログ[[<tvar name=17>Special:MyLanguage/dbx 234XL</tvar>|dbx 234XL]]や[[<tvar name=18>Special:MyLanguage/dbx 223xs</tvar>|dbx 223xs]]のような単機能クロスオーバーと異なり、PA2ではクロスオーバーとEQ、リミッター、ディレイ等を同一DSP内で設定できる。


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== AutoEQ ==
== AutoEQ ==
'''AutoEQ'''は、測定用RTAマイクを使用してスピーカー/会場の周波数応答を測定し、補正用EQの設定を支援する機能である。
'''AutoEQ'''は、測定用RTAマイクを使用してスピーカー/会場の周波数応答を測定し、補正用EQの設定を支援する機能である。


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PA2では測定結果に基づき、出力側の8バンド・パラメトリックEQを自動調整する。セットアップ・ウィザードと組み合わせることで、手動で周波数応答を追い込む作業を補助する。
PA2では測定結果に基づき、出力側の8バンド・パラメトリックEQを自動調整する。セットアップ・ウィザードと組み合わせることで、手動で周波数応答を追い込む作業を補助する。


<!--T:25-->
ただしAutoEQは、スピーカー配置、室内反射、[[<tvar name=19>Special:MyLanguage/ルームモード</tvar>|ルームモード]]、残響時間などの物理的な音響条件そのものを変更する機能ではない。測定位置と目標カーブに対する電気的補正であり、音響設計や適切な設置を代替するものではない。
ただしAutoEQは、スピーカー配置、室内反射、[[<tvar name=19>Special:MyLanguage/ルームモード</tvar>|ルームモード]]、残響時間などの物理的な音響条件そのものを変更する機能ではない。測定位置と目標カーブに対する電気的補正であり、音響設計や適切な設置を代替するものではない。


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== AFS ==
== AFS ==
'''AFS(Advanced Feedback Suppression)'''は、[[<tvar name=20>Special:MyLanguage/ハウリング</tvar>|フィードバック/ハウリング]]を検出し、狭帯域のノッチフィルターを配置して抑制する機能である。
'''AFS(Advanced Feedback Suppression)'''は、[[<tvar name=20>Special:MyLanguage/ハウリング</tvar>|フィードバック/ハウリング]]を検出し、狭帯域のノッチフィルターを配置して抑制する機能である。


<!--T:27-->
ライブPAでは、マイクとスピーカー間の音響結合によって特定周波数が自己発振することがある。AFSはその周波数を検出して抑えることで、フィードバックが発生するまでのゲイン余裕を確保することを目的とする。
ライブPAでは、マイクとスピーカー間の音響結合によって特定周波数が自己発振することがある。AFSはその周波数を検出して抑えることで、フィードバックが発生するまでのゲイン余裕を確保することを目的とする。


<!--T:28-->
AFSも、マイクとスピーカーの不適切な位置関係や過大なゲイン設定を根本的に解決するものではない。まず物理配置とゲイン構造を適切にした上で補助機能として使用する。
AFSも、マイクとスピーカーの不適切な位置関係や過大なゲイン設定を根本的に解決するものではない。まず物理配置とゲイン構造を適切にした上で補助機能として使用する。


<!--T:29-->
== EQ ==
== EQ ==
PA2は入力側と出力側に異なるEQ処理を備える。
PA2は入力側と出力側に異なるEQ処理を備える。


<!--T:30-->
入力側のグラフィックEQは、システム全体の音色補正に使用できる。AutoEQによる補正は出力側パラメトリックEQと連携する。
入力側のグラフィックEQは、システム全体の音色補正に使用できる。AutoEQによる補正は出力側パラメトリックEQと連携する。


<!--T:31-->
出力側には各帯域のスピーカー特性を調整する8バンド・パラメトリックEQがあり、クロスオーバー後の個別出力を調整できる。
出力側には各帯域のスピーカー特性を調整する8バンド・パラメトリックEQがあり、クロスオーバー後の個別出力を調整できる。


<!--T:32-->
この二段構成により、「システム全体の補正」と「各スピーカー/帯域の補正」を分けて扱える。
この二段構成により、「システム全体の補正」と「各スピーカー/帯域の補正」を分けて扱える。


<!--T:33-->
== リミッター ==
== リミッター ==
各出力系統にはdbxリミッターを設定できる。
各出力系統にはdbxリミッターを設定できる。


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[[<tvar name=21>Special:MyLanguage/リミッター</tvar>|リミッター]]は、設定した閾値を超えるレベルを抑制し、パワーアンプやスピーカーへ過大な信号が送られるのを防ぐために使用される。
[[<tvar name=21>Special:MyLanguage/リミッター</tvar>|リミッター]]は、設定した閾値を超えるレベルを抑制し、パワーアンプやスピーカーへ過大な信号が送られるのを防ぐために使用される。


<!--T:35-->
ただし、リミッターを有効にするだけでスピーカーが完全に保護されるわけではない。スピーカーの許容入力、アンプの出力、負荷インピーダンス、ゲイン構造、リミッターのスレッショルド等を含めて設計する必要がある。
ただし、リミッターを有効にするだけでスピーカーが完全に保護されるわけではない。スピーカーの許容入力、アンプの出力、負荷インピーダンス、ゲイン構造、リミッターのスレッショルド等を含めて設計する必要がある。


<!--T:36-->
== アライメント・ディレイ ==
== アライメント・ディレイ ==
PA2は出力チャンネル・ペアごとに最大10 msのアライメント・ディレイを設定できる。
PA2は出力チャンネル・ペアごとに最大10 msのアライメント・ディレイを設定できる。


<!--T:37-->
これは、異なるドライバーやスピーカー間の音響中心の位置差を補正したり、サブウーファーとトップスピーカーの到達時間を調整したりする用途に使用する。
これは、異なるドライバーやスピーカー間の音響中心の位置差を補正したり、サブウーファーとトップスピーカーの到達時間を調整したりする用途に使用する。


<!--T:38-->
10 msは大規模会場の長距離ディレイスピーカーを補正する用途には短い場合があり、PA2のディレイは主としてドライバー/近距離スピーカー間のアライメント用途として理解するのが適切である。
10 msは大規模会場の長距離ディレイスピーカーを補正する用途には短い場合があり、PA2のディレイは主としてドライバー/近距離スピーカー間のアライメント用途として理解するのが適切である。


<!--T:39-->
== Subharmonic Synthesis ==
== Subharmonic Synthesis ==
PA2にはdbxの'''Subharmonic Synthesis'''を搭載する。
PA2にはdbxの'''Subharmonic Synthesis'''を搭載する。


<!--T:40-->
これは入力信号の低域成分からさらに低い周波数成分を生成し、低域感を追加する処理である。単純な低域EQブーストとは異なり、元信号に含まれない下位倍音成分を合成する。
これは入力信号の低域成分からさらに低い周波数成分を生成し、低域感を追加する処理である。単純な低域EQブーストとは異なり、元信号に含まれない下位倍音成分を合成する。


<!--T:41-->
使用時はサブウーファーの再生能力、許容入力、アンプのヘッドルームを考慮する必要がある。過剰な低域生成はシステムの余裕を消費し、必ずしも音質改善につながらない。
使用時はサブウーファーの再生能力、許容入力、アンプのヘッドルームを考慮する必要がある。過剰な低域生成はシステムの余裕を消費し、必ずしも音質改善につながらない。


<!--T:42-->
== ネットワークとリモート制御 ==
== ネットワークとリモート制御 ==
PA2はリアパネルに[[<tvar name=22>Special:MyLanguage/Ethernet</tvar>|Ethernet]]端子(RJ45)を備え、ネットワーク経由でDriveRack PA2 Control Appから設定できる。
PA2はリアパネルに[[<tvar name=22>Special:MyLanguage/Ethernet</tvar>|Ethernet]]端子(RJ45)を備え、ネットワーク経由でDriveRack PA2 Control Appから設定できる。


<!--T:43-->
重要なのは、'''PA2本体にWi-Fi無線機能が内蔵されているわけではない'''点である。PA2をEthernetケーブルでDHCP対応ルーター/スイッチへ接続し、PC、タブレット、スマートフォン等の操作端末を同じネットワークへ接続する。
重要なのは、'''PA2本体にWi-Fi無線機能が内蔵されているわけではない'''点である。PA2をEthernetケーブルでDHCP対応ルーター/スイッチへ接続し、PC、タブレット、スマートフォン等の操作端末を同じネットワークへ接続する。


<!--T:44-->
操作端末がWi-Fiでルーターへ接続すれば、結果として無線でPA2を遠隔操作できる。このためdbxの製品案内では「Wi-Fi control」と表現される場合があるが、PA2本体とネットワーク機器の物理接続はEthernetである。
操作端末がWi-Fiでルーターへ接続すれば、結果として無線でPA2を遠隔操作できる。このためdbxの製品案内では「Wi-Fi control」と表現される場合があるが、PA2本体とネットワーク機器の物理接続はEthernetである。


<!--T:45-->
この方式により、ステージ付近のラックにPA2を設置したまま客席側からEQ、クロスオーバー、レベル、ウィザード等を操作できる。
この方式により、ステージ付近のラックにPA2を設置したまま客席側からEQ、クロスオーバー、レベル、ウィザード等を操作できる。


<!--T:46-->
== USB ==
== USB ==
リアパネルにはUSB端子も備えるが、これは通常のUSBオーディオ入出力ではなく、主としてファームウェア更新に使用される。
リアパネルにはUSB端子も備えるが、これは通常のUSBオーディオ入出力ではなく、主としてファームウェア更新に使用される。


<!--T:47-->
したがってPA2へ音声を送る基本経路はアナログXLR入力であり、USBケーブルをオーディオインターフェースのように使用する機器ではない。
したがってPA2へ音声を送る基本経路はアナログXLR入力であり、USBケーブルをオーディオインターフェースのように使用する機器ではない。


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== デジタル処理 ==
== デジタル処理 ==
主なデジタル仕様は次の通り。
主なデジタル仕様は次の通り。


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{| class="wikitable"
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! 項目 !! 仕様
! 項目 !! 仕様
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PA2はアナログ入出力を持つデジタルプロセッサーであるため、信号は入力でA/D変換され、DSP処理後にD/A変換されて出力される。
PA2はアナログ入出力を持つデジタルプロセッサーであるため、信号は入力でA/D変換され、DSP処理後にD/A変換されて出力される。


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== 入出力仕様 ==
== 入出力仕様 ==
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== 外形・電源 ==
== 外形・電源 ==
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== DriveRackシリーズ ==
== DriveRackシリーズ ==
[[<tvar name=23>Special:MyLanguage/dbx DriveRack</tvar>|DriveRack]]はdbxのラウドスピーカー・マネジメント製品群である。
[[<tvar name=23>Special:MyLanguage/dbx DriveRack</tvar>|DriveRack]]はdbxのラウドスピーカー・マネジメント製品群である。


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代表的な機種にはPA2のほか、[[<tvar name=24>Special:MyLanguage/dbx DriveRack 260</tvar>|DriveRack 260]]、[[<tvar name=25>Special:MyLanguage/dbx DriveRack VENU360</tvar>|DriveRack VENU360]]などがある。
代表的な機種にはPA2のほか、[[<tvar name=24>Special:MyLanguage/dbx DriveRack 260</tvar>|DriveRack 260]]、[[<tvar name=25>Special:MyLanguage/dbx DriveRack VENU360</tvar>|DriveRack VENU360]]などがある。


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PA2は2入力/6出力でポータブルPAやライブ用途を主な対象とし、VENU360は3入力/6出力とより高度な処理・ルーティングを備える。260は設備音響等でも長く用いられてきた。
PA2は2入力/6出力でポータブルPAやライブ用途を主な対象とし、VENU360は3入力/6出力とより高度な処理・ルーティングを備える。260は設備音響等でも長く用いられてきた。


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== 関連項目 ==
== 関連項目 ==
* [[<tvar name=26>Special:MyLanguage/dbx</tvar>|dbx]]
* [[<tvar name=26>Special:MyLanguage/dbx</tvar>|dbx]]
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* [[<tvar name=39>Special:MyLanguage/Ethernet</tvar>|Ethernet]]
* [[<tvar name=39>Special:MyLanguage/Ethernet</tvar>|Ethernet]]


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== 参考資料 ==
== 参考資料 ==
* [https://dbxpro.com/en-US/products/driverack-pa2 dbx Professional - DriveRack PA2]
* [https://dbxpro.com/en-US/products/driverack-pa2 dbx Professional - DriveRack PA2]

Latest revision as of 04:05, 8 October 2026

dbx DriveRack PA2(ディービーエックス・ドライブラック PA2)は、dbxが製造する2入力・6出力のデジタルスピーカー・マネジメント・システムである。PAシステムにおいて、通常はミキサーとパワーアンプ/パワードスピーカーの間に配置し、EQ、クロスオーバー、ディレイ、リミッター、フィードバック抑制などを統合して処理する。

DriveRack PA2は2013年に発表され、従来のDriveRack PA系を発展させたポータブルPA向けモデルである。AutoEQ、AFS(Advanced Feedback Suppression)、セットアップ・ウィザード、ネットワーク経由のリモート制御などを備える。

概要

DriveRack PA2は、従来は複数の1Uラック機器へ分かれていた信号処理を単一のDSPへ統合する。

代表的な処理は次の通り。

これにより、ステレオ・フルレンジ、2-way、3-way、サブウーファーを含む複数のPA構成を一台から管理できる。

PAシステムでの位置

典型的な接続順は次のようになる。

音源/マイク → ミキサー → DriveRack PA2 → パワーアンプ → パッシブスピーカー

または、

音源/マイク → ミキサー → DriveRack PA2 → パワードスピーカー

DriveRack PA2はミキサーそのものではなく、ミキサーから完成したミックス信号を受け、スピーカーシステムに合わせて処理・分配する後段プロセッサーである。

例えばSoundcraft EPMのようなアナログミキサーと組み合わせる場合、EPMのMIX L/R出力をPA2のINPUT 1/2へ送り、PA2の出力をパワーアンプまたはパワードスピーカーへ接続する構成を取ることができる。

入力

アナログ音声入力は2系統で、XLR femaleコネクターを使用する。入力は電子バランス/RFフィルター付きで、入力インピーダンスは50 kΩ超、最大入力レベルは+20 dBu超とされる。

リアパネルには入力感度を切り替える+4 dBu / -10 dBVスイッチがあり、接続する機器の公称出力レベルに合わせて設定する。

これとは別に、AutoEQ測定用のRTA MIC INPUTを1系統備える。この入力もXLR femaleだが、通常の音声入力チャンネルではなく、測定用RTAマイクを接続するための専用入力である。RTAマイク入力には+15 V DCのファンタム電源が供給される。

出力

アナログ出力は6系統で、XLR maleコネクターを使用する。各出力は電子バランス/RFフィルター付きで、出力インピーダンスは120 Ω、最大出力レベルは+20 dBuである。

6出力を利用することで、例えば次のような構成が可能である。

  • ステレオ・フルレンジ
  • ステレオ2-way
  • ステレオ3-way
  • メインL/R+サブウーファー
  • 高域/中域/低域を個別のアンプ系統へ送る構成

実際の出力割り当てはセットアップ・ウィザードとクロスオーバー設定によって決まる。誤った帯域をドライバーへ送るとスピーカーを損傷する可能性があるため、パッシブ・マルチアンプ構成では特にクロスオーバー設定と配線を確認する必要がある。

クロスオーバー

DriveRack PA2は内蔵デジタルクロスオーバーにより、入力されたフルレンジ信号を複数の周波数帯域へ分割できる。

クロスオーバーは、サブウーファーとトップスピーカーの帯域分担や、マルチウェイ・スピーカーシステムの各ドライバーへ適切な帯域を送るために使用される。

アナログdbx 234XLやdbx 223xsのような単機能クロスオーバーと異なり、PA2ではクロスオーバーとEQ、リミッター、ディレイ等を同一DSP内で設定できる。

AutoEQ

AutoEQは、測定用RTAマイクを使用してスピーカー/会場の周波数応答を測定し、補正用EQの設定を支援する機能である。

PA2では測定結果に基づき、出力側の8バンド・パラメトリックEQを自動調整する。セットアップ・ウィザードと組み合わせることで、手動で周波数応答を追い込む作業を補助する。

ただしAutoEQは、スピーカー配置、室内反射、ルームモード、残響時間などの物理的な音響条件そのものを変更する機能ではない。測定位置と目標カーブに対する電気的補正であり、音響設計や適切な設置を代替するものではない。

AFS

AFS(Advanced Feedback Suppression)は、フィードバック/ハウリングを検出し、狭帯域のノッチフィルターを配置して抑制する機能である。

ライブPAでは、マイクとスピーカー間の音響結合によって特定周波数が自己発振することがある。AFSはその周波数を検出して抑えることで、フィードバックが発生するまでのゲイン余裕を確保することを目的とする。

AFSも、マイクとスピーカーの不適切な位置関係や過大なゲイン設定を根本的に解決するものではない。まず物理配置とゲイン構造を適切にした上で補助機能として使用する。

EQ

PA2は入力側と出力側に異なるEQ処理を備える。

入力側のグラフィックEQは、システム全体の音色補正に使用できる。AutoEQによる補正は出力側パラメトリックEQと連携する。

出力側には各帯域のスピーカー特性を調整する8バンド・パラメトリックEQがあり、クロスオーバー後の個別出力を調整できる。

この二段構成により、「システム全体の補正」と「各スピーカー/帯域の補正」を分けて扱える。

リミッター

各出力系統にはdbxリミッターを設定できる。

リミッターは、設定した閾値を超えるレベルを抑制し、パワーアンプやスピーカーへ過大な信号が送られるのを防ぐために使用される。

ただし、リミッターを有効にするだけでスピーカーが完全に保護されるわけではない。スピーカーの許容入力、アンプの出力、負荷インピーダンス、ゲイン構造、リミッターのスレッショルド等を含めて設計する必要がある。

アライメント・ディレイ

PA2は出力チャンネル・ペアごとに最大10 msのアライメント・ディレイを設定できる。

これは、異なるドライバーやスピーカー間の音響中心の位置差を補正したり、サブウーファーとトップスピーカーの到達時間を調整したりする用途に使用する。

10 msは大規模会場の長距離ディレイスピーカーを補正する用途には短い場合があり、PA2のディレイは主としてドライバー/近距離スピーカー間のアライメント用途として理解するのが適切である。

Subharmonic Synthesis

PA2にはdbxのSubharmonic Synthesisを搭載する。

これは入力信号の低域成分からさらに低い周波数成分を生成し、低域感を追加する処理である。単純な低域EQブーストとは異なり、元信号に含まれない下位倍音成分を合成する。

使用時はサブウーファーの再生能力、許容入力、アンプのヘッドルームを考慮する必要がある。過剰な低域生成はシステムの余裕を消費し、必ずしも音質改善につながらない。

ネットワークとリモート制御

PA2はリアパネルにEthernet端子(RJ45)を備え、ネットワーク経由でDriveRack PA2 Control Appから設定できる。

重要なのは、PA2本体にWi-Fi無線機能が内蔵されているわけではない点である。PA2をEthernetケーブルでDHCP対応ルーター/スイッチへ接続し、PC、タブレット、スマートフォン等の操作端末を同じネットワークへ接続する。

操作端末がWi-Fiでルーターへ接続すれば、結果として無線でPA2を遠隔操作できる。このためdbxの製品案内では「Wi-Fi control」と表現される場合があるが、PA2本体とネットワーク機器の物理接続はEthernetである。

この方式により、ステージ付近のラックにPA2を設置したまま客席側からEQ、クロスオーバー、レベル、ウィザード等を操作できる。

USB

リアパネルにはUSB端子も備えるが、これは通常のUSBオーディオ入出力ではなく、主としてファームウェア更新に使用される。

したがってPA2へ音声を送る基本経路はアナログXLR入力であり、USBケーブルをオーディオインターフェースのように使用する機器ではない。

デジタル処理

主なデジタル仕様は次の通り。

項目 仕様
A/D変換 24-bit、dbx Type IV Conversion System
D/A変換 24-bit
内部演算 32-bit floating point
サンプリング周波数 48 kHz
システム・ダイナミックレンジ 110 dB(A-weighted)/ 107 dB(unweighted)
周波数特性 20 Hz–20 kHz、+0 / -0.5 dB
THD+N 0.003% typical(+4 dBu、1 kHz、0 dB input gain)
入力→出力レイテンシー 1.847 ms

PA2はアナログ入出力を持つデジタルプロセッサーであるため、信号は入力でA/D変換され、DSP処理後にD/A変換されて出力される。

入出力仕様

項目 仕様
ライン入力 2 × XLR female、電子バランス
RTAマイク入力 1 × XLR female、+15 V DC phantom
ライン出力 6 × XLR male、電子バランス
入力インピーダンス >50 kΩ
最大ライン入力 >+20 dBu
出力インピーダンス 120 Ω
最大出力 +20 dBu
アライメント・ディレイ 最大10 ms / output channel pair

外形・電源

項目 仕様
ラックサイズ 1U
外形寸法 482.6 × 44 × 146 mm(W × H × D)
質量 2.4 kg
消費電力 22 W
電源 100–120 VAC 50/60 Hz または 220–240 VAC 50/60 Hz

DriveRackシリーズ

DriveRackはdbxのラウドスピーカー・マネジメント製品群である。

代表的な機種にはPA2のほか、DriveRack 260、DriveRack VENU360などがある。

PA2は2入力/6出力でポータブルPAやライブ用途を主な対象とし、VENU360は3入力/6出力とより高度な処理・ルーティングを備える。260は設備音響等でも長く用いられてきた。

関連項目

参考資料