スターカッド (Star Quad): Difference between revisions

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スターカッドの構造とノイズ耐性について解説を作成
 
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== 構造 ==
== 構造 ==
断面上で4本の導体をほぼ正方形状に配置し、対角線上にある2本を同じ極性として使用する。たとえば青・白・青・白の4心ケーブルでは、2本の青を一方の信号線、2本の白をもう一方の信号線としてまとめて接続する。
断面上で4本の導体をほぼ正方形状に配置し、対角線上にある2本を同じ極性として使用する。たとえば青・白・青・白の4芯ケーブルでは、2本の青を一方の信号線、2本の白をもう一方の信号線としてまとめて接続する。


結果として、外部磁界に対して2組の電流ループが対称に配置され、誘導されるノイズを相互に打ち消しやすくなる。通常、この4心構造全体をさらにシールドで覆う。
結果として、外部磁界に対して2組の電流ループが対称に配置され、誘導されるノイズを相互に打ち消しやすくなる。通常、この4芯構造全体をさらにシールドで覆う。


== ツイストペアとの違い ==
== ツイストペアとの違い ==
一般的な[[ツイストペア]]は2本の導体で1組を構成するのに対し、スターカッドは4本を使って実質的な2線回路を構成する。
一般的な[[ツイストペア]]は2本の導体で1組を構成するのに対し、スターカッドは4本を使って実質的な2線回路を構成する。


スターカッドの利点は、特に50/60 Hzの電源配線やトランスなどが作る磁界に対するノイズ除去性能にある。CanareはL-4E6Sなどのスターカッド系について、一般的な2心シールド線に比べノイズレベルを1/10程度まで低減できるとしている。Mogamiも2534について、同等のツイストペアに対して10〜20 dBのS/N改善を示している。
スターカッドの利点は、特に[[50/60 Hz]]の電源配線やトランスなどが作る磁界に対するノイズ除去性能にある。[[CanareはL-4E6S]]などのスターカッド系について、一般的な2心シールド線に比べノイズレベルを1/10程度まで低減できるとしている。[[Mogamiも2534]]について、同等のツイストペアに対して10〜20 dBのS/N改善を示している。


== 配線方法 ==
== 配線方法 ==
バランス音声に使用する場合、対角位置にある同色または指定された2導体をまとめてHOT側へ、残る2導体をCOLD側へ接続する。シールドは別に接続する。
バランス音声に使用する場合、対角位置にある同色または指定された2導体をまとめて[[ホット|HOT]]側へ、残る2導体を[[コールド|COLD]]側へ接続する。シールドは別に接続する。


4本をそれぞれ独立した4信号線として扱うと、スターカッドとして意図されたノイズキャンセルの構造にはならない。製品ごとの色分けとメーカー指定の結線を確認する必要がある。
4本をそれぞれ独立した4信号線として扱うと、スターカッドとして意図されたノイズキャンセルの構造にはならない。製品ごとの色分けとメーカー指定の結線を確認する必要がある。


== 静電容量とのトレードオフ ==
== 静電容量とのトレードオフ ==
スターカッドでは、複数導体を並列に使用し、導体同士が近接するため、一般的な2心ツイストペアより線間容量が大きくなる傾向がある。
スターカッドでは、複数導体を並列に使用し、導体同士が近接するため、一般的な[[2芯]][[ツイストペア]]より線間容量が大きくなる傾向がある。


たとえばMogami 2534はスターカッド接続時の導体間容量を97 pF/mとしている。ケーブル長が長い場合や、特定の高インピーダンス回路・高周波用途では、この容量増加を考慮する必要がある。
たとえば[[Mogami 2534]]はスターカッド接続時の導体間容量を97 [[pF/m]]としている。ケーブル長が長い場合や、特定の高インピーダンス回路・高周波用途では、この容量増加を考慮する必要がある。


したがって、スターカッドが常に通常の2心ケーブルより優れているわけではない。強い電磁ノイズ環境や微小信号では利点が大きい一方、通常のラインレベル配線では2心ケーブルの方が低容量・細径などの面で適する場合もある。
したがって、スターカッドが常に通常の2心ケーブルより優れているわけではない。強い電磁ノイズ環境や微小信号では利点が大きい一方、通常のラインレベル配線では2心ケーブルの方が低容量・細径などの面で適する場合もある。

Revision as of 20:01, 25 September 2026

スターカッド(英: star quad)は、4本の絶縁導体を対称に配置し、向かい合う2本ずつを電気的に並列接続して1組の信号線として使用するケーブル構造である。主にマイクや低レベルのバランス音声信号で、外来電磁ノイズへの耐性を高める目的で用いられる。

構造

断面上で4本の導体をほぼ正方形状に配置し、対角線上にある2本を同じ極性として使用する。たとえば青・白・青・白の4芯ケーブルでは、2本の青を一方の信号線、2本の白をもう一方の信号線としてまとめて接続する。

結果として、外部磁界に対して2組の電流ループが対称に配置され、誘導されるノイズを相互に打ち消しやすくなる。通常、この4芯構造全体をさらにシールドで覆う。

ツイストペアとの違い

一般的なツイストペアは2本の導体で1組を構成するのに対し、スターカッドは4本を使って実質的な2線回路を構成する。

スターカッドの利点は、特に50/60 Hzの電源配線やトランスなどが作る磁界に対するノイズ除去性能にある。CanareはL-4E6Sなどのスターカッド系について、一般的な2心シールド線に比べノイズレベルを1/10程度まで低減できるとしている。Mogamiも2534について、同等のツイストペアに対して10〜20 dBのS/N改善を示している。

配線方法

バランス音声に使用する場合、対角位置にある同色または指定された2導体をまとめてHOT側へ、残る2導体をCOLD側へ接続する。シールドは別に接続する。

4本をそれぞれ独立した4信号線として扱うと、スターカッドとして意図されたノイズキャンセルの構造にはならない。製品ごとの色分けとメーカー指定の結線を確認する必要がある。

静電容量とのトレードオフ

スターカッドでは、複数導体を並列に使用し、導体同士が近接するため、一般的な2芯ツイストペアより線間容量が大きくなる傾向がある。

たとえばMogami 2534はスターカッド接続時の導体間容量を97 pF/mとしている。ケーブル長が長い場合や、特定の高インピーダンス回路・高周波用途では、この容量増加を考慮する必要がある。

したがって、スターカッドが常に通常の2心ケーブルより優れているわけではない。強い電磁ノイズ環境や微小信号では利点が大きい一方、通常のラインレベル配線では2心ケーブルの方が低容量・細径などの面で適する場合もある。

音響での用途

代表的な用途はマイクケーブル、ステージ配線、放送、スタジオ設備などである。特に長いマイク回線や、電源ケーブル・照明・トランスなどの近くを通る回線ではスターカッドの利点が出やすい。

代表例としてCanare L-4E6S、Mogami 2534、Mogami 2893などがある。

参考資料