全休符
全休符(ぜんきゅうふ、英: whole rest、英: semibreve rest)は、休符の一種である。通常は、1小節全体が休止であることを示すために用いられる。 この用法では、実際の休止時間は固定された長さではなく、その小節の拍子記号によって決まる。
一方、長い拍子の小節内などでは、例外的に全音符に対応する固定的な相対音価、すなわち4分休符4個分の休止を表すために用いられることもある。
1小節全体の休止
全休符の最も一般的な用法は、その小節全体を休むことを示すことである。
この場合、全休符の長さは小節の長さに従う。たとえば、
の休止となる。
したがって、全休符を常に「4分休符4個分」と読み替えることはできない。3/4拍子の小節に単独で全休符が置かれていれば、通常は4拍分ではなく、その3/4小節全体の休止を意味する。
極端な思考例として、512/4拍子の1小節に全休符が置かれ、その小節全体の休止を示しているなら、その全休符は4分休符512個分に相当する。
Tom Gerou / Linda Luskの Essential Dictionary of Music Notation は、4/2および8/4を例外として、whole restをあらゆる拍子におけるcomplete measure of restの表示に用いるとしている。MuseScore Studioの記譜マニュアルも、whole restの形をしたmeasure restを小節中央に置き、小節全体またはその声部全体が無音であることを示すとしている。
全音符に対応する音価としての用法
全休符は、全音符に対応する休符として、
と同じ固定的な相対音価を表すこともできる。
ただし、実際の一般的な楽譜では、単独の全休符は1小節全体の休止を示す用法で現れることが多い。固定音価としての意味が明確になるのは、たとえば1小節が全音符より長い拍子の途中に全休符を置く場合などである。
4/2や8/4では1小節が全音符より長いため、記譜法の資料によっては「全休符=全小節休止」という通常の慣例の例外として扱われる。このような場合には、全休符を全音符相当の休止として使用する余地がある。
全音符との違い
全音符は、現代の通常の拍節記譜では4分音符4個分という固定的な相対音価として扱われるのが基本である。
これに対し全休符は、実際の記譜慣例において小節全体を休む記号としての用法が非常に強い。そのため、3/4や5/4などでは、全音符と全休符が同じ長さになるとは限らない。
この非対称性は、音符と休符を単純に一対一対応させて理解すると見落としやすい点である。
記譜
全休符は、通常、五線の第4線から下向きにぶら下がる長方形で表される。1小節全体の休止を表す場合には、小節の中央付近に配置される。
2分休符も長方形の記号だが、第3線の上に載せることで区別する。
複数声部が同一五線を共有する場合には、声部ごとに休符の上下位置を移動させることがある。
コンピュータ上の表現
楽譜データでは、見た目が同じ全休符であっても、「固定音価の休符」なのか「小節全体の休止」なのかを区別して保持することがある。
MusicXMLでは、<rest measure="yes"/> によってcomplete measure restであることを明示できる。公式チュートリアルには3/4拍子のwhole restを measure="yes" とし、その小節全体のdurationを与える例がある。
これは、全休符の見た目だけではなく、その休符が譜面上でどのような機能を担っているかをデータとして区別するための仕組みである。
関連する休符
より短い休符として、2分休符、4分休符、8分休符、16分休符、32分休符、64分休符などがある。
複数小節にわたる連続した休止には、複数小節休符(multi-measure rest)が用いられることがある。