フロレンティーン ターコイズ

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フロレンティーン ターコイズ(Florentine Turquoise)は、イギリスの陶磁器メーカーウェッジウッドが展開する装飾パターン「フロレンティーン」の代表的な配色である。鮮やかなターコイズブルーの帯地に、褐色から黒系の線描で神話上の生物、植物文様、渦巻き状の装飾を配した意匠を特徴とする。

本記事で確認したフロレンティーン ターコイズのカップ。2026年10月10日撮影。

ウェッジウッド日本公式サイトでは、フロレンティーンを19世紀後半から続く歴史的パターンとし、16世紀の「グロテスク文様」を基礎に、ギリシャ神話のグリフィンをモチーフとするデザインとして紹介している。[1]

意匠

フロレンティーンの装飾は、器の縁に沿って連続するボーダー状の構成を基本とする。

ターコイズ地の中には、

  • 翼や尾を持つ神話上の生物
  • 花や葉
  • 渦巻き状の植物文様
  • 小花を反復した細い帯
  • 黒または濃褐色の輪郭線

などが組み合わされる。

ウェッジウッドの公式資料は、この意匠の起源をイタリア中部ウルビーノのマジョリカ装飾に求めている。[2]

日本公式サイトでは、フロレンティーンに描かれた生物としてフェニックス、グリフィン、イルカと考えられるモチーフを挙げている。[3]

歴史

フロレンティーンの意匠は、ウェッジウッドのアーカイブに1874年の記録が残る。公式資料によれば、初期にはクイーンズウェアにも用いられ、その後ボーンチャイナ製品へ展開された。[3]

現在のウェッジウッド資料では、フロレンティーンとターコイズ配色の成立年代について複数の説明が見られる。

グローバル公式サイトでは、フロレンティーンのパターンが1931年に製品へ用いられ、その後、アートディレクターのVictor Skellernによって1935年に代表的なターコイズ配色がデザインされたとしている。[2]

一方、日本公式サイトには「フロレンティーン ターコイズ」を1931年発表とする記述がある。[4]

このため、1874年を意匠の起源、1930年代を現在につながるフロレンティーン ターコイズの成立期として捉えることができる。

素材

現行のフロレンティーン ターコイズはファイン ボーン チャイナで製造されている。

ウェッジウッド日本公式サイトの現行ティーカップ&ソーサー(リー)は、素材をファイン ボーン チャイナ、原産国をイギリスとしている。[5]

同社は現行フロレンティーンのファイン ボーン チャイナを、イギリスのストーク・オン・トレントにあるバーラストン工場で製造していると説明している。[3]

製品展開

フロレンティーン ターコイズは単一のカップだけを指す名称ではなく、同一意匠を複数の器種に展開したテーブルウェアの系列である。

現行製品には、

  • ティーカップ&ソーサー(リー)
  • ティーカップ&ソーサー(ピオニー)
  • マグ
  • コーヒーカップ&ソーサー(ボンド)
  • プレート
  • ボウル
  • ティーポット

などがある。[1]

リー形の現行ティーカップは容量200 mL、ピオニー形も200 mLとされる。[5][6]

確認したカップ個体

本記事作成時に確認したカップ個体は、白色のボーンチャイナ素地にフロレンティーン ターコイズの装飾を持つ。

外観上は、

  • 広めの口径を持つボウル状の胴部
  • 脚付きの高台
  • 白地のハンドル
  • 口縁と高台付近の黒色ライン
  • ターコイズ色のボーダー
  • グリフィン状の生物と植物文様
  • 内側上部の小花を反復した装飾帯

が確認できる。

現行の「リー」形と共通する特徴を持つが、この個体の器形名や製造時期を特定するには、型番、購入時期、製造管理記号などの追加資料が有用である。

バックスタンプ

底面のバックスタンプ。「WEDGWOOD」「BONE CHINA」「MADE IN ENGLAND」の表記が確認できる。

底面には、壺形の商標とともに、

WEDGWOOD®
BONE CHINA
MADE IN ENGLAND

の表記が確認できる。

このバックスタンプから、この個体がウェッジウッドのボーンチャイナ製品としてイングランドで製造されたことが読み取れる。

バックスタンプの意匠はウェッジウッド製品の年代推定にも利用されるが、同種のマークが長期間にわたって使用される場合があるため、厳密な製造年の特定には追加の刻印や製品資料を併用する。

現行品との意匠差

ウェッジウッドは現行のリー形ティーカップについて、カップ内側を白無地に変更した旨を案内している。[5]

本記事で確認した個体には、カップ内側の口縁近くに小花を連続させた装飾帯がある。この点は、少なくとも現在販売されている更新後のリー形とは外観上の差異となる。

この差は製造時期や仕様変更を検討する手掛かりになるが、個体の正確な年代を確定する情報としては、バックスタンプや型番など他の資料との照合が必要になる。

フロレンティーンの現在

ウェッジウッドは現在もフロレンティーンを継続展開しており、ターコイズに加えてシトロン、サーモン、マリン、ヴェルデなど複数の配色を展開している。[1]

ターコイズはその中でも長期にわたって継続してきた代表的配色であり、クラシカルなグロテスク文様と鮮やかな青緑色を組み合わせたウェッジウッドの主要パターンの一つとなっている。

関連項目

参考資料