Dbx: Difference between revisions
dbxの歴史、VCA技術、ダイナミクス、DriveRack、主要製品系列を詳説 |
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'''dbx'''(ディービーエックス)は、1971年にDavid E. Blackmer(デヴィッド・E・ブラックマー)が設立した米国発の[[<tvar name=1>Special:MyLanguage/プロオーディオ</tvar>|プロオーディオ]]機器ブランドである。現在は[[<tvar name=2>Special:MyLanguage/HARMAN</tvar>|HARMAN]] Professional Solutionsの一ブランドとして、[[<tvar name=3>Special:MyLanguage/コンプレッサー</tvar>|コンプレッサー]]/[[<tvar name=4>Special:MyLanguage/リミッター</tvar>|リミッター]]、[[<tvar name=5>Special:MyLanguage/イコライザー</tvar>|イコライザー]]、[[<tvar name=6>Special:MyLanguage/クロスオーバー</tvar>|クロスオーバー]]、マイクプリアンプ、フィードバック抑制、[[<tvar name=7>Special:MyLanguage/DSP</tvar>|DSP]]ベースのラウドスピーカー・マネジメント、設備音響用プロセッサーなどを展開している。 | '''dbx'''(ディービーエックス)は、1971年にDavid E. Blackmer(デヴィッド・E・ブラックマー)が設立した米国発の[[<tvar name=1>Special:MyLanguage/プロオーディオ</tvar>|プロオーディオ]]機器ブランドである。現在は[[<tvar name=2>Special:MyLanguage/HARMAN</tvar>|HARMAN]] Professional Solutionsの一ブランドとして、[[<tvar name=3>Special:MyLanguage/コンプレッサー</tvar>|コンプレッサー]]/[[<tvar name=4>Special:MyLanguage/リミッター</tvar>|リミッター]]、[[<tvar name=5>Special:MyLanguage/イコライザー</tvar>|イコライザー]]、[[<tvar name=6>Special:MyLanguage/クロスオーバー</tvar>|クロスオーバー]]、マイクプリアンプ、フィードバック抑制、[[<tvar name=7>Special:MyLanguage/DSP</tvar>|DSP]]ベースのラウドスピーカー・マネジメント、設備音響用プロセッサーなどを展開している。 | ||
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dbxは、Blackmerが開発した高精度なRMSレベル検出とVCA(Voltage Controlled Amplifier)を基礎に、ダイナミクス制御とノイズリダクションの両分野で大きな影響を与えた。とりわけ'''dbx 160'''に代表されるVCAコンプレッサー、'''dbx Type I / Type II'''ノイズリダクション、'''OverEasy'''コンプレッション、そして現代の'''DriveRack'''シリーズは、同社を特徴づける代表的な系譜である。 | dbxは、Blackmerが開発した高精度なRMSレベル検出とVCA(Voltage Controlled Amplifier)を基礎に、ダイナミクス制御とノイズリダクションの両分野で大きな影響を与えた。とりわけ'''dbx 160'''に代表されるVCAコンプレッサー、'''dbx Type I / Type II'''ノイズリダクション、'''OverEasy'''コンプレッション、そして現代の'''DriveRack'''シリーズは、同社を特徴づける代表的な系譜である。 | ||
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== 概要 == | == 概要 == | ||
dbxの製品群は大きく、録音/ミキシング向けのダイナミクス処理、PA向けのスピーカー・マネジメント、設備音響向けのゾーン制御、マイク入力段、イコライゼーション、フィードバック抑制、サブハーモニック生成などに分けられる。 | dbxの製品群は大きく、録音/ミキシング向けのダイナミクス処理、PA向けのスピーカー・マネジメント、設備音響向けのゾーン制御、マイク入力段、イコライゼーション、フィードバック抑制、サブハーモニック生成などに分けられる。 | ||
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現行のdbx公式サイトでは、主な製品カテゴリとしてDriveRack、500 Series、Microphone Preamps、Dynamics Processorsなどを掲げている。またサポート対象には、クロスオーバー、グラフィックEQ、ZonePRO、フィードバック抑制、ダイレクトボックス、測定用マイク、パッチベイなど多数の現行・旧製品が含まれる。 | 現行のdbx公式サイトでは、主な製品カテゴリとしてDriveRack、500 Series、Microphone Preamps、Dynamics Processorsなどを掲げている。またサポート対象には、クロスオーバー、グラフィックEQ、ZonePRO、フィードバック抑制、ダイレクトボックス、測定用マイク、パッチベイなど多数の現行・旧製品が含まれる。 | ||
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dbxの歴史的特徴は、単に製品数が多いことではなく、'''音量変化を電圧制御するVCA技術と、信号エネルギーを測るRMS検出技術を一貫して中心に置いてきたこと'''にある。この組み合わせはコンプレッサー、エキスパンダー、ノイズゲート、ノイズリダクションなど複数の機能へ展開された。 | dbxの歴史的特徴は、単に製品数が多いことではなく、'''音量変化を電圧制御するVCA技術と、信号エネルギーを測るRMS検出技術を一貫して中心に置いてきたこと'''にある。この組み合わせはコンプレッサー、エキスパンダー、ノイズゲート、ノイズリダクションなど複数の機能へ展開された。 | ||
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== 創業 == | == 創業 == | ||
dbxは1971年、エンジニアのDavid E. Blackmerによって設立された。HARMANの企業資料では、dbx創業時の目標を「ライブ・パフォーマンスのリアリズムにより近づくこと」と説明している。 | dbxは1971年、エンジニアのDavid E. Blackmerによって設立された。HARMANの企業資料では、dbx創業時の目標を「ライブ・パフォーマンスのリアリズムにより近づくこと」と説明している。 | ||
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Blackmerは、対数/指数特性を用いた高精度レベル検出とゲイン制御回路の研究を進め、1970年代初頭には後に'''Blackmer Gain Cell'''として知られるVCA技術を確立した。HARMANの年表では、1973年にBlackmer Gain Cellの特許取得をdbx史上の重要な出来事として位置づけている。 | Blackmerは、対数/指数特性を用いた高精度レベル検出とゲイン制御回路の研究を進め、1970年代初頭には後に'''Blackmer Gain Cell'''として知られるVCA技術を確立した。HARMANの年表では、1973年にBlackmer Gain Cellの特許取得をdbx史上の重要な出来事として位置づけている。 | ||
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この技術は、入力信号の振幅を制御電圧によって連続的に変化させる[[<tvar name=8>Special:MyLanguage/VCA</tvar>|VCA]]と、信号の実効値に近いレベルを検出する[[<tvar name=9>Special:MyLanguage/RMS</tvar>|RMS]]検出器を組み合わせることで、従来より予測しやすく精密なダイナミクス制御を可能にした。 | この技術は、入力信号の振幅を制御電圧によって連続的に変化させる[[<tvar name=8>Special:MyLanguage/VCA</tvar>|VCA]]と、信号の実効値に近いレベルを検出する[[<tvar name=9>Special:MyLanguage/RMS</tvar>|RMS]]検出器を組み合わせることで、従来より予測しやすく精密なダイナミクス制御を可能にした。 | ||
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== Blackmer VCAとRMS検出 == | == Blackmer VCAとRMS検出 == | ||
VCAはVoltage Controlled Amplifierの略で、制御電圧によってゲインを変化させる増幅器である。コンプレッサーでは、入力信号が設定されたスレッショルドを超えたとき、検出回路がVCAにゲインを下げる制御信号を送り、[[<tvar name=10>Special:MyLanguage/ダイナミックレンジ</tvar>|ダイナミックレンジ]]を狭める。 | VCAはVoltage Controlled Amplifierの略で、制御電圧によってゲインを変化させる増幅器である。コンプレッサーでは、入力信号が設定されたスレッショルドを超えたとき、検出回路がVCAにゲインを下げる制御信号を送り、[[<tvar name=10>Special:MyLanguage/ダイナミックレンジ</tvar>|ダイナミックレンジ]]を狭める。 | ||
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dbxの初期設計で重要だったのは、単なるピーク検出ではなくRMSに近い方式で信号レベルを捉えた点である。dbx自身も、dbx 160がスタジオ標準として広まった理由の一つとして「VCAとRMS detection」の組み合わせを挙げている。 | dbxの初期設計で重要だったのは、単なるピーク検出ではなくRMSに近い方式で信号レベルを捉えた点である。dbx自身も、dbx 160がスタジオ標準として広まった理由の一つとして「VCAとRMS detection」の組み合わせを挙げている。 | ||
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Blackmer Gain Cellはその後、IC化されたdbx 2150などへ発展した。Blackmer由来のVCA回路はdbx製品内部にとどまらず、後年のTHAT Corporationを通じて多くのプロオーディオ機器へ広がった。 | Blackmer Gain Cellはその後、IC化されたdbx 2150などへ発展した。Blackmer由来のVCA回路はdbx製品内部にとどまらず、後年のTHAT Corporationを通じて多くのプロオーディオ機器へ広がった。 | ||
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== dbx 160とVCAコンプレッサー == | == dbx 160とVCAコンプレッサー == | ||
'''[[<tvar name=11>Special:MyLanguage/dbx 160</tvar>|dbx 160]]'''は、dbxを代表するコンプレッサー/リミッターである。1970年代に登場し、VCAとRMS検出を組み合わせた設計によって、レコーディング・スタジオのダイナミクス処理に大きな影響を与えた。 | '''[[<tvar name=11>Special:MyLanguage/dbx 160</tvar>|dbx 160]]'''は、dbxを代表するコンプレッサー/リミッターである。1970年代に登場し、VCAとRMS検出を組み合わせた設計によって、レコーディング・スタジオのダイナミクス処理に大きな影響を与えた。 | ||
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初期160は、後の多機能コンプレッサーと比較すると操作系が簡潔で、スレッショルド、圧縮比、出力レベルを中心に制御する。アタック/リリースを個別に手動設定しない設計であり、検出回路と時定数の動作そのものが製品の挙動を特徴づける。 | 初期160は、後の多機能コンプレッサーと比較すると操作系が簡潔で、スレッショルド、圧縮比、出力レベルを中心に制御する。アタック/リリースを個別に手動設定しない設計であり、検出回路と時定数の動作そのものが製品の挙動を特徴づける。 | ||
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160系はその後、160X、160XT、160A、160SL、160AD、160Xなど複数世代へ展開した。モデルごとに回路、I/O、メーター、機能、製造時期は異なるが、「dbx 160」は単一機種名であると同時に、長期にわたり継続したコンプレッサー系譜を指す名称でもある。 | 160系はその後、160X、160XT、160A、160SL、160AD、160Xなど複数世代へ展開した。モデルごとに回路、I/O、メーター、機能、製造時期は異なるが、「dbx 160」は単一機種名であると同時に、長期にわたり継続したコンプレッサー系譜を指す名称でもある。 | ||
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dbxの現行・近年製品では、同系統の考え方を引き継ぐ[[<tvar name=12>Special:MyLanguage/dbx 560A</tvar>|560A]]が500 Seriesフォーマットで提供されている。 | dbxの現行・近年製品では、同系統の考え方を引き継ぐ[[<tvar name=12>Special:MyLanguage/dbx 560A</tvar>|560A]]が500 Seriesフォーマットで提供されている。 | ||
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== OverEasy == | == OverEasy == | ||
'''OverEasy'''はdbxが広く普及させたソフトニー型コンプレッションの名称である。一般的なハードニーでは、信号がスレッショルドを超えた地点から設定レシオが明確に適用されるのに対し、OverEasyではスレッショルド周辺で圧縮比が徐々に変化する。 | '''OverEasy'''はdbxが広く普及させたソフトニー型コンプレッションの名称である。一般的なハードニーでは、信号がスレッショルドを超えた地点から設定レシオが明確に適用されるのに対し、OverEasyではスレッショルド周辺で圧縮比が徐々に変化する。 | ||
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これにより、コンプレッションの開始が比較的滑らかになり、ボーカル、ベース、ミックスバス、PAなどで急激なゲイン変化を避けたい場合に利用される。dbx自身もOverEasyを「soft knee」と説明している。 | これにより、コンプレッションの開始が比較的滑らかになり、ボーカル、ベース、ミックスバス、PAなどで急激なゲイン変化を避けたい場合に利用される。dbx自身もOverEasyを「soft knee」と説明している。 | ||
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OverEasyはdbxの多くのダイナミクス製品で採用され、ブランドを象徴する技術名称の一つとなった。 | OverEasyはdbxの多くのダイナミクス製品で採用され、ブランドを象徴する技術名称の一つとなった。 | ||
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== ノイズリダクション == | == ノイズリダクション == | ||
dbxはコンプレッサーだけでなく、アナログ録音向け[[<tvar name=13>Special:MyLanguage/ノイズリダクション</tvar>|ノイズリダクション]]でも歴史的に重要な企業である。 | dbxはコンプレッサーだけでなく、アナログ録音向け[[<tvar name=13>Special:MyLanguage/ノイズリダクション</tvar>|ノイズリダクション]]でも歴史的に重要な企業である。 | ||
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dbxのノイズリダクションは、録音時に信号のダイナミックレンジを圧縮し、再生時に逆方向へ拡張する'''コンパンディング'''(compression + expanding)を基本原理とする。テープ録音におけるヒスノイズの影響を相対的に小さくすることが目的である。 | dbxのノイズリダクションは、録音時に信号のダイナミックレンジを圧縮し、再生時に逆方向へ拡張する'''コンパンディング'''(compression + expanding)を基本原理とする。テープ録音におけるヒスノイズの影響を相対的に小さくすることが目的である。 | ||
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代表的な方式には'''dbx Type I'''と'''dbx Type II'''がある。Type Iは主としてプロフェッショナルなオープンリール/マルチトラック録音を想定し、Type IIはカセットや比較的帯域・特性に制約のある媒体を含む用途を想定した方式として展開された。 | 代表的な方式には'''dbx Type I'''と'''dbx Type II'''がある。Type Iは主としてプロフェッショナルなオープンリール/マルチトラック録音を想定し、Type IIはカセットや比較的帯域・特性に制約のある媒体を含む用途を想定した方式として展開された。 | ||
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これらは[[<tvar name=14>Special:MyLanguage/Dolby NR</tvar>|Dolby NR]]とは原理・動作・互換性が異なる。dbxの公式マニュアルも、他方式のコンパンディングとdbx Type I / IIを単純に互換とみなすべきではないと説明している。 | これらは[[<tvar name=14>Special:MyLanguage/Dolby NR</tvar>|Dolby NR]]とは原理・動作・互換性が異なる。dbxの公式マニュアルも、他方式のコンパンディングとdbx Type I / IIを単純に互換とみなすべきではないと説明している。 | ||
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デジタル録音が一般化した後、テープ向けdbxノイズリダクションの重要性は低下したが、同技術を支えたRMS検出・VCA・コンパンディングの考え方は、dbxのダイナミクス製品史を理解する上で重要である。 | デジタル録音が一般化した後、テープ向けdbxノイズリダクションの重要性は低下したが、同技術を支えたRMS検出・VCA・コンパンディングの考え方は、dbxのダイナミクス製品史を理解する上で重要である。 | ||
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== ダイナミクス・プロセッサー == | == ダイナミクス・プロセッサー == | ||
dbxは160系以外にも、2chコンプレッサー/ゲート、チャンネルストリップ、マイクプロセッサーなど多数のダイナミクス製品を展開してきた。 | dbxは160系以外にも、2chコンプレッサー/ゲート、チャンネルストリップ、マイクプロセッサーなど多数のダイナミクス製品を展開してきた。 | ||
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代表的な現行・近年製品には次がある。 | 代表的な現行・近年製品には次がある。 | ||
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{| class="wikitable" | {| class="wikitable" | ||
! 製品 !! 種別 !! 主な特徴 | ! 製品 !! 種別 !! 主な特徴 | ||
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これらの製品は、[[<tvar name=20>Special:MyLanguage/レコーディング</tvar>|レコーディング]]、配信、放送、ライブPAなどで使用される。 | これらの製品は、[[<tvar name=20>Special:MyLanguage/レコーディング</tvar>|レコーディング]]、配信、放送、ライブPAなどで使用される。 | ||
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== 500 Series == | == 500 Series == | ||
dbxはAPI 500 Series互換フォーマットのモジュールも展開している。現行の主要500 Series製品には以下がある。 | dbxはAPI 500 Series互換フォーマットのモジュールも展開している。現行の主要500 Series製品には以下がある。 | ||
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{| class="wikitable" | {| class="wikitable" | ||
! 製品 !! 機能 | ! 製品 !! 機能 | ||
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|} | |} | ||
<!--T:30--> | |||
500 Seriesは、複数の処理モジュールを共通のシャーシと電源で運用する[[<tvar name=26>Special:MyLanguage/モジュラー</tvar>|モジュラー]]方式であり、スタジオのアウトボード構成を用途ごとに組み替えやすい。 | 500 Seriesは、複数の処理モジュールを共通のシャーシと電源で運用する[[<tvar name=26>Special:MyLanguage/モジュラー</tvar>|モジュラー]]方式であり、スタジオのアウトボード構成を用途ごとに組み替えやすい。 | ||
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== マイクプリアンプとチャンネルストリップ == | == マイクプリアンプとチャンネルストリップ == | ||
dbxはVCAコンプレッション以外にも[[<tvar name=27>Special:MyLanguage/マイクプリアンプ</tvar>|マイクプリアンプ]]を長年製造している。 | dbxはVCAコンプレッション以外にも[[<tvar name=27>Special:MyLanguage/マイクプリアンプ</tvar>|マイクプリアンプ]]を長年製造している。 | ||
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[[<tvar name=28>Special:MyLanguage/dbx 286s</tvar>|286s]]はその代表例で、マイクプリアンプの後段にコンプレッサー、ディエッサー、低域/高域エンハンサー、エキスパンダー/ゲートを統合した1chチャンネルストリップである。単一ラックユニットで音声入力の基本処理をまとめられるため、録音、放送、ナレーション、配信などで用いられる。 | [[<tvar name=28>Special:MyLanguage/dbx 286s</tvar>|286s]]はその代表例で、マイクプリアンプの後段にコンプレッサー、ディエッサー、低域/高域エンハンサー、エキスパンダー/ゲートを統合した1chチャンネルストリップである。単一ラックユニットで音声入力の基本処理をまとめられるため、録音、放送、ナレーション、配信などで用いられる。 | ||
<!--T:33--> | |||
[[<tvar name=29>Special:MyLanguage/dbx 580</tvar>|580]]は500 Series形式のマイクプリアンプであり、[[<tvar name=30>Special:MyLanguage/dbx 676</tvar>|676]]は真空管入力段を含むチャンネルストリップとして位置づけられる。 | [[<tvar name=29>Special:MyLanguage/dbx 580</tvar>|580]]は500 Series形式のマイクプリアンプであり、[[<tvar name=30>Special:MyLanguage/dbx 676</tvar>|676]]は真空管入力段を含むチャンネルストリップとして位置づけられる。 | ||
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== イコライザー == | == イコライザー == | ||
dbxは[[<tvar name=31>Special:MyLanguage/グラフィックイコライザー</tvar>|グラフィックイコライザー]]も長年製造しており、PA、設備音響、スタジオ、モニターシステムで使用されてきた。 | dbxは[[<tvar name=31>Special:MyLanguage/グラフィックイコライザー</tvar>|グラフィックイコライザー]]も長年製造しており、PA、設備音響、スタジオ、モニターシステムで使用されてきた。 | ||
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代表的な製品には以下がある。 | 代表的な製品には以下がある。 | ||
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* [[<tvar name=32>Special:MyLanguage/dbx 131s</tvar>|131s]] - 31バンド・モノラル・グラフィックEQ。 | * [[<tvar name=32>Special:MyLanguage/dbx 131s</tvar>|131s]] - 31バンド・モノラル・グラフィックEQ。 | ||
* [[<tvar name=33>Special:MyLanguage/dbx 215s</tvar>|215s]] - 15バンド×2chグラフィックEQ。 | * [[<tvar name=33>Special:MyLanguage/dbx 215s</tvar>|215s]] - 15バンド×2chグラフィックEQ。 | ||
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* [[<tvar name=36>Special:MyLanguage/dbx iEQ15</tvar>|iEQ15]] / [[<tvar name=37>Special:MyLanguage/dbx iEQ31</tvar>|iEQ31]] - デジタル機能を統合したグラフィックEQ。 | * [[<tvar name=36>Special:MyLanguage/dbx iEQ15</tvar>|iEQ15]] / [[<tvar name=37>Special:MyLanguage/dbx iEQ31</tvar>|iEQ31]] - デジタル機能を統合したグラフィックEQ。 | ||
<!--T:37--> | |||
デジタル・ラウドスピーカー・プロセッサーの普及後は、グラフィックEQやパラメトリックEQがDriveRack等の内部機能として統合される場面も増えたが、専用EQは単機能機器として依然利用されている。 | デジタル・ラウドスピーカー・プロセッサーの普及後は、グラフィックEQやパラメトリックEQがDriveRack等の内部機能として統合される場面も増えたが、専用EQは単機能機器として依然利用されている。 | ||
<!--T:38--> | |||
== クロスオーバー == | == クロスオーバー == | ||
dbxはアナログ[[<tvar name=38>Special:MyLanguage/クロスオーバー</tvar>|クロスオーバー]]も代表的な製品分野として持つ。クロスオーバーは周波数帯域を分割し、各帯域を対応するパワーアンプ/スピーカー系統へ送る装置である。 | dbxはアナログ[[<tvar name=38>Special:MyLanguage/クロスオーバー</tvar>|クロスオーバー]]も代表的な製品分野として持つ。クロスオーバーは周波数帯域を分割し、各帯域を対応するパワーアンプ/スピーカー系統へ送る装置である。 | ||
<!--T:39--> | |||
主なモデルとして以下がある。 | 主なモデルとして以下がある。 | ||
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* [[<tvar name=39>Special:MyLanguage/dbx 223s</tvar>|223s]] | * [[<tvar name=39>Special:MyLanguage/dbx 223s</tvar>|223s]] | ||
* [[<tvar name=40>Special:MyLanguage/dbx 223xs</tvar>|223xs]] | * [[<tvar name=40>Special:MyLanguage/dbx 223xs</tvar>|223xs]] | ||
| Line 124: | Line 164: | ||
* [[<tvar name=42>Special:MyLanguage/dbx 234xs</tvar>|234xs]] | * [[<tvar name=42>Special:MyLanguage/dbx 234xs</tvar>|234xs]] | ||
<!--T:41--> | |||
223系は2-way stereo / 3-way mono、234系は2-way / 3-way stereoや4-way monoを含む、より多くの分割構成に対応する。製品末尾の「s」「xs」などは世代・接続仕様を示し、モデルごとに入出力端子や細部仕様が異なる。 | 223系は2-way stereo / 3-way mono、234系は2-way / 3-way stereoや4-way monoを含む、より多くの分割構成に対応する。製品末尾の「s」「xs」などは世代・接続仕様を示し、モデルごとに入出力端子や細部仕様が異なる。 | ||
<!--T:42--> | |||
デジタルDriveRackがクロスオーバー、EQ、ディレイ、リミッターなどを統合する一方で、アナログクロスオーバーは構成が明快で、単機能システムを組む場合に引き続き用いられる。 | デジタルDriveRackがクロスオーバー、EQ、ディレイ、リミッターなどを統合する一方で、アナログクロスオーバーは構成が明快で、単機能システムを組む場合に引き続き用いられる。 | ||
<!--T:43--> | |||
== DriveRack == | == DriveRack == | ||
'''[[<tvar name=43>Special:MyLanguage/dbx DriveRack</tvar>|DriveRack]]'''は、dbxのデジタル・ラウドスピーカー・マネジメント製品群である。[[<tvar name=44>Special:MyLanguage/ミキサー</tvar>|ミキサー]]と[[<tvar name=45>Special:MyLanguage/パワーアンプ</tvar>|パワーアンプ]]/パワードスピーカーの間に配置し、複数の処理を一体化する。 | '''[[<tvar name=43>Special:MyLanguage/dbx DriveRack</tvar>|DriveRack]]'''は、dbxのデジタル・ラウドスピーカー・マネジメント製品群である。[[<tvar name=44>Special:MyLanguage/ミキサー</tvar>|ミキサー]]と[[<tvar name=45>Special:MyLanguage/パワーアンプ</tvar>|パワーアンプ]]/パワードスピーカーの間に配置し、複数の処理を一体化する。 | ||
<!--T:44--> | |||
代表的なDriveRack製品は次のとおり。 | 代表的なDriveRack製品は次のとおり。 | ||
<!--T:45--> | |||
{| class="wikitable" | {| class="wikitable" | ||
! 製品 !! 入出力 !! 制御 !! 主な用途 | ! 製品 !! 入出力 !! 制御 !! 主な用途 | ||
| Line 143: | Line 188: | ||
|} | |} | ||
<!--T:46--> | |||
DriveRack PA2は、グラフィックEQ、パラメトリックEQ、AutoEQ、AFS、コンプレッション、クロスオーバー、出力EQ、リミッター、ドライバー・アライメント・ディレイなどを統合する。 | DriveRack PA2は、グラフィックEQ、パラメトリックEQ、AutoEQ、AFS、コンプレッション、クロスオーバー、出力EQ、リミッター、ドライバー・アライメント・ディレイなどを統合する。 | ||
<!--T:47--> | |||
VENU360は3入力/6出力構成で、最大モノ6-wayまでのクロスオーバー、入力/出力EQ、AFS、AutoEQ、コンプレッション、AGC、ノイズゲート、サブハーモニック生成、最大1000 msの出力ディレイなど、より高度なルーティングと処理を備える。 | VENU360は3入力/6出力構成で、最大モノ6-wayまでのクロスオーバー、入力/出力EQ、AFS、AutoEQ、コンプレッション、AGC、ノイズゲート、サブハーモニック生成、最大1000 msの出力ディレイなど、より高度なルーティングと処理を備える。 | ||
<!--T:48--> | |||
DriveRackシリーズの重要性は、従来は複数のラック機器に分かれていたEQ、クロスオーバー、リミッター、ディレイ、フィードバック抑制などを、単一DSPプラットフォームへ統合した点にある。 | DriveRackシリーズの重要性は、従来は複数のラック機器に分かれていたEQ、クロスオーバー、リミッター、ディレイ、フィードバック抑制などを、単一DSPプラットフォームへ統合した点にある。 | ||
<!--T:49--> | |||
== AutoEQとAFS == | == AutoEQとAFS == | ||
DriveRackシリーズでは、dbx独自の自動化機能も重要である。 | DriveRackシリーズでは、dbx独自の自動化機能も重要である。 | ||
<!--T:50--> | |||
'''AutoEQ'''は、RTA用測定マイクを使用してスピーカー/室内応答を測定し、EQ補正を支援する機能である。DriveRack PA2やVENU360では、セットアップ・ウィザードと組み合わせて使用される。 | '''AutoEQ'''は、RTA用測定マイクを使用してスピーカー/室内応答を測定し、EQ補正を支援する機能である。DriveRack PA2やVENU360では、セットアップ・ウィザードと組み合わせて使用される。 | ||
<!--T:51--> | |||
'''AFS(Advanced Feedback Suppression)'''は、ハウリング/フィードバック周波数を検出し、狭帯域ノッチフィルターで抑制する機能である。専用機[[<tvar name=49>Special:MyLanguage/dbx AFS2</tvar>|AFS2]]としても展開されている。 | '''AFS(Advanced Feedback Suppression)'''は、ハウリング/フィードバック周波数を検出し、狭帯域ノッチフィルターで抑制する機能である。専用機[[<tvar name=49>Special:MyLanguage/dbx AFS2</tvar>|AFS2]]としても展開されている。 | ||
<!--T:52--> | |||
これらの機能は、適切なスピーカー配置、ゲイン構造、マイク運用を不要にするものではない。特にAutoEQは室内音響そのものを物理的に変更する機能ではなく、測定地点における電気的補正を支援する処理である。 | これらの機能は、適切なスピーカー配置、ゲイン構造、マイク運用を不要にするものではない。特にAutoEQは室内音響そのものを物理的に変更する機能ではなく、測定地点における電気的補正を支援する処理である。 | ||
<!--T:53--> | |||
== ZonePROと設備音響 == | == ZonePROと設備音響 == | ||
dbxは商業施設・会議施設・飲食店・礼拝施設などの[[<tvar name=50>Special:MyLanguage/設備音響</tvar>|設備音響]]向けに'''ZonePRO'''シリーズを展開してきた。 | dbxは商業施設・会議施設・飲食店・礼拝施設などの[[<tvar name=50>Special:MyLanguage/設備音響</tvar>|設備音響]]向けに'''ZonePRO'''シリーズを展開してきた。 | ||
<!--T:54--> | |||
ZonePROは複数入力を複数ゾーンへ分配し、ゾーンごとの音量、EQ、ダイナミクス、ルーティングなどを管理するDSPである。壁面コントローラーZCシリーズと組み合わせ、一般スタッフが限定された操作だけを行うような設備構成にも対応する。 | ZonePROは複数入力を複数ゾーンへ分配し、ゾーンごとの音量、EQ、ダイナミクス、ルーティングなどを管理するDSPである。壁面コントローラーZCシリーズと組み合わせ、一般スタッフが限定された操作だけを行うような設備構成にも対応する。 | ||
<!--T:55--> | |||
ライブPA向けのDriveRackが「スピーカーシステムを調整・保護する」用途を中心とするのに対し、ZonePROは「複数エリアへ音声を分配・管理する」用途を中心とする。 | ライブPA向けのDriveRackが「スピーカーシステムを調整・保護する」用途を中心とするのに対し、ZonePROは「複数エリアへ音声を分配・管理する」用途を中心とする。 | ||
<!--T:56--> | |||
== フィードバック抑制 == | == フィードバック抑制 == | ||
dbxはAFS技術をDriveRackへ統合するだけでなく、[[<tvar name=51>Special:MyLanguage/dbx AFS2</tvar>|AFS2]]のような専用フィードバック・サプレッサーも製造している。 | dbxはAFS技術をDriveRackへ統合するだけでなく、[[<tvar name=51>Special:MyLanguage/dbx AFS2</tvar>|AFS2]]のような専用フィードバック・サプレッサーも製造している。 | ||
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AFSはフィードバック周波数付近へ狭帯域のノッチフィルターを自動配置する方式であり、音声信号全体を大幅に変化させずにハウリング余裕を確保することを目的とする。 | AFSはフィードバック周波数付近へ狭帯域のノッチフィルターを自動配置する方式であり、音声信号全体を大幅に変化させずにハウリング余裕を確保することを目的とする。 | ||
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ただし、AFSは不適切なマイク/スピーカー位置、過剰なゲイン、室内反射などの根本原因を解消するものではなく、あくまでシステム運用を補助するプロセッシングである。 | ただし、AFSは不適切なマイク/スピーカー位置、過剰なゲイン、室内反射などの根本原因を解消するものではなく、あくまでシステム運用を補助するプロセッシングである。 | ||
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== サブハーモニック・シンセシス == | == サブハーモニック・シンセシス == | ||
dbxは'''Subharmonic Synthesis'''も長期間にわたり製品化している。これは入力信号の低域成分を解析し、1オクターブ下などの成分を生成・付加することで低域感を拡張するエフェクト/プロセッサーである。 | dbxは'''Subharmonic Synthesis'''も長期間にわたり製品化している。これは入力信号の低域成分を解析し、1オクターブ下などの成分を生成・付加することで低域感を拡張するエフェクト/プロセッサーである。 | ||
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代表的な専用機には[[<tvar name=52>Special:MyLanguage/dbx 120A</tvar>|120A]]があり、500 Seriesでは[[<tvar name=53>Special:MyLanguage/dbx 510</tvar>|510]]として展開されている。またDriveRack PA2やVENU360にも関連処理が統合されている。 | 代表的な専用機には[[<tvar name=52>Special:MyLanguage/dbx 120A</tvar>|120A]]があり、500 Seriesでは[[<tvar name=53>Special:MyLanguage/dbx 510</tvar>|510]]として展開されている。またDriveRack PA2やVENU360にも関連処理が統合されている。 | ||
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この処理は単なるEQブーストとは異なり、入力に存在しない低い周波数成分を合成する。そのため、スピーカー/サブウーファーの再生能力やヘッドルームを考慮して使用する必要がある。 | この処理は単なるEQブーストとは異なり、入力に存在しない低い周波数成分を合成する。そのため、スピーカー/サブウーファーの再生能力やヘッドルームを考慮して使用する必要がある。 | ||
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== DI・測定・周辺機器 == | == DI・測定・周辺機器 == | ||
dbxは信号処理本体以外にも、[[<tvar name=54>Special:MyLanguage/DI</tvar>|DI]]、測定用マイク、パッチベイ、ケーブルテスターなどを展開する。 | dbxは信号処理本体以外にも、[[<tvar name=54>Special:MyLanguage/DI</tvar>|DI]]、測定用マイク、パッチベイ、ケーブルテスターなどを展開する。 | ||
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主な製品には以下がある。 | 主な製品には以下がある。 | ||
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* [[<tvar name=55>Special:MyLanguage/dbx db10</tvar>|db10]] - パッシブDI。 | * [[<tvar name=55>Special:MyLanguage/dbx db10</tvar>|db10]] - パッシブDI。 | ||
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* [[<tvar name=62>Special:MyLanguage/dbx CT-2</tvar>|CT-2]] / [[<tvar name=63>Special:MyLanguage/dbx CT-3</tvar>|CT-3]] - ケーブルテスター。 | * [[<tvar name=62>Special:MyLanguage/dbx CT-2</tvar>|CT-2]] / [[<tvar name=63>Special:MyLanguage/dbx CT-3</tvar>|CT-3]] - ケーブルテスター。 | ||
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== 所有関係と企業史 == | == 所有関係と企業史 == | ||
1979年、dbxはBirmingham Sound Reproducers(BSR)に買収された。この時期にはdbxブランドがコンシューマー向けオーディオ製品にも使用された。 | 1979年、dbxはBirmingham Sound Reproducers(BSR)に買収された。この時期にはdbxブランドがコンシューマー向けオーディオ製品にも使用された。 | ||
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1980年代末の企業再編を経て、dbxのプロフェッショナル製品部門はAKGへ売却された。AKGは1994年にHARMAN International傘下となり、dbx ProfessionalもHARMANのプロオーディオブランド群へ組み込まれた。 | 1980年代末の企業再編を経て、dbxのプロフェッショナル製品部門はAKGへ売却された。AKGは1994年にHARMAN International傘下となり、dbx ProfessionalもHARMANのプロオーディオブランド群へ組み込まれた。 | ||
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また、旧dbxの技術者らによってTHAT Corporationが設立され、Blackmer系VCAやRMS検出回路の技術系譜を引き継いだ。dbxの歴史は、現在のHARMANブランドとしての系譜と、THAT Corporationを通じたコンポーネント技術の系譜に分岐している。 | また、旧dbxの技術者らによってTHAT Corporationが設立され、Blackmer系VCAやRMS検出回路の技術系譜を引き継いだ。dbxの歴史は、現在のHARMANブランドとしての系譜と、THAT Corporationを通じたコンポーネント技術の系譜に分岐している。 | ||
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HARMANは2017年にSamsung Electronicsの傘下となったため、現在のdbxは企業関係としては'''Samsung Electronics → HARMAN → dbx Professional'''という位置づけにある。 | HARMANは2017年にSamsung Electronicsの傘下となったため、現在のdbxは企業関係としては'''Samsung Electronics → HARMAN → dbx Professional'''という位置づけにある。 | ||
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== 主な製品系列 == | == 主な製品系列 == | ||
dbxは半世紀以上にわたり多数の製品を展開しており、以下は代表的な系列である。 | dbxは半世紀以上にわたり多数の製品を展開しており、以下は代表的な系列である。 | ||
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! 分野 !! 代表製品/シリーズ | ! 分野 !! 代表製品/シリーズ | ||
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== 技術的影響 == | == 技術的影響 == | ||
dbxの技術的影響は、個々の製品より広い。 | dbxの技術的影響は、個々の製品より広い。 | ||
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第一に、Blackmer VCAとRMS検出技術は、VCAコンプレッサーというカテゴリの発展に大きく寄与した。後の多くのミキシングコンソール、バスコンプレッサー、チャンネルストリップ、オートメーション回路でもVCA方式が採用されている。 | 第一に、Blackmer VCAとRMS検出技術は、VCAコンプレッサーというカテゴリの発展に大きく寄与した。後の多くのミキシングコンソール、バスコンプレッサー、チャンネルストリップ、オートメーション回路でもVCA方式が採用されている。 | ||
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第二に、dbx 160系は「高速で明確なダイナミクス制御」というVCAコンプレッサーの代表例として、レコーディング技術の歴史上重要な位置を占める。 | 第二に、dbx 160系は「高速で明確なダイナミクス制御」というVCAコンプレッサーの代表例として、レコーディング技術の歴史上重要な位置を占める。 | ||
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第三に、DriveRackシリーズは、EQ、クロスオーバー、ディレイ、リミッティング、測定支援などを統合したDSPベースの[[<tvar name=93>Special:MyLanguage/スピーカー・マネジメント・システム</tvar>|スピーカー・マネジメント・システム]]を広く普及させた。 | 第三に、DriveRackシリーズは、EQ、クロスオーバー、ディレイ、リミッティング、測定支援などを統合したDSPベースの[[<tvar name=93>Special:MyLanguage/スピーカー・マネジメント・システム</tvar>|スピーカー・マネジメント・システム]]を広く普及させた。 | ||
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このためdbxは、'''スタジオ用アウトボード'''と'''PAシステム・プロセッシング'''の双方に長い系譜を持つ点で特徴的なブランドである。 | このためdbxは、'''スタジオ用アウトボード'''と'''PAシステム・プロセッシング'''の双方に長い系譜を持つ点で特徴的なブランドである。 | ||
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== 主な年表 == | == 主な年表 == | ||
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== 関連項目 == | == 関連項目 == | ||
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== 参考資料 == | == 参考資料 == | ||
* [https://dbxpro.com/ dbx Professional Audio] | * [https://dbxpro.com/ dbx Professional Audio] | ||
Latest revision as of 06:33, 30 September 2026
dbx(ディービーエックス)は、1971年にDavid E. Blackmer(デヴィッド・E・ブラックマー)が設立した米国発のプロオーディオ機器ブランドである。現在はHARMAN Professional Solutionsの一ブランドとして、コンプレッサー/リミッター、イコライザー、クロスオーバー、マイクプリアンプ、フィードバック抑制、DSPベースのラウドスピーカー・マネジメント、設備音響用プロセッサーなどを展開している。
dbxは、Blackmerが開発した高精度なRMSレベル検出とVCA(Voltage Controlled Amplifier)を基礎に、ダイナミクス制御とノイズリダクションの両分野で大きな影響を与えた。とりわけdbx 160に代表されるVCAコンプレッサー、dbx Type I / Type IIノイズリダクション、OverEasyコンプレッション、そして現代のDriveRackシリーズは、同社を特徴づける代表的な系譜である。
概要
dbxの製品群は大きく、録音/ミキシング向けのダイナミクス処理、PA向けのスピーカー・マネジメント、設備音響向けのゾーン制御、マイク入力段、イコライゼーション、フィードバック抑制、サブハーモニック生成などに分けられる。
現行のdbx公式サイトでは、主な製品カテゴリとしてDriveRack、500 Series、Microphone Preamps、Dynamics Processorsなどを掲げている。またサポート対象には、クロスオーバー、グラフィックEQ、ZonePRO、フィードバック抑制、ダイレクトボックス、測定用マイク、パッチベイなど多数の現行・旧製品が含まれる。
dbxの歴史的特徴は、単に製品数が多いことではなく、音量変化を電圧制御するVCA技術と、信号エネルギーを測るRMS検出技術を一貫して中心に置いてきたことにある。この組み合わせはコンプレッサー、エキスパンダー、ノイズゲート、ノイズリダクションなど複数の機能へ展開された。
創業
dbxは1971年、エンジニアのDavid E. Blackmerによって設立された。HARMANの企業資料では、dbx創業時の目標を「ライブ・パフォーマンスのリアリズムにより近づくこと」と説明している。
Blackmerは、対数/指数特性を用いた高精度レベル検出とゲイン制御回路の研究を進め、1970年代初頭には後にBlackmer Gain Cellとして知られるVCA技術を確立した。HARMANの年表では、1973年にBlackmer Gain Cellの特許取得をdbx史上の重要な出来事として位置づけている。
この技術は、入力信号の振幅を制御電圧によって連続的に変化させるVCAと、信号の実効値に近いレベルを検出するRMS検出器を組み合わせることで、従来より予測しやすく精密なダイナミクス制御を可能にした。
Blackmer VCAとRMS検出
VCAはVoltage Controlled Amplifierの略で、制御電圧によってゲインを変化させる増幅器である。コンプレッサーでは、入力信号が設定されたスレッショルドを超えたとき、検出回路がVCAにゲインを下げる制御信号を送り、ダイナミックレンジを狭める。
dbxの初期設計で重要だったのは、単なるピーク検出ではなくRMSに近い方式で信号レベルを捉えた点である。dbx自身も、dbx 160がスタジオ標準として広まった理由の一つとして「VCAとRMS detection」の組み合わせを挙げている。
Blackmer Gain Cellはその後、IC化されたdbx 2150などへ発展した。Blackmer由来のVCA回路はdbx製品内部にとどまらず、後年のTHAT Corporationを通じて多くのプロオーディオ機器へ広がった。
dbx 160とVCAコンプレッサー
dbx 160は、dbxを代表するコンプレッサー/リミッターである。1970年代に登場し、VCAとRMS検出を組み合わせた設計によって、レコーディング・スタジオのダイナミクス処理に大きな影響を与えた。
初期160は、後の多機能コンプレッサーと比較すると操作系が簡潔で、スレッショルド、圧縮比、出力レベルを中心に制御する。アタック/リリースを個別に手動設定しない設計であり、検出回路と時定数の動作そのものが製品の挙動を特徴づける。
160系はその後、160X、160XT、160A、160SL、160AD、160Xなど複数世代へ展開した。モデルごとに回路、I/O、メーター、機能、製造時期は異なるが、「dbx 160」は単一機種名であると同時に、長期にわたり継続したコンプレッサー系譜を指す名称でもある。
dbxの現行・近年製品では、同系統の考え方を引き継ぐ560Aが500 Seriesフォーマットで提供されている。
OverEasy
OverEasyはdbxが広く普及させたソフトニー型コンプレッションの名称である。一般的なハードニーでは、信号がスレッショルドを超えた地点から設定レシオが明確に適用されるのに対し、OverEasyではスレッショルド周辺で圧縮比が徐々に変化する。
これにより、コンプレッションの開始が比較的滑らかになり、ボーカル、ベース、ミックスバス、PAなどで急激なゲイン変化を避けたい場合に利用される。dbx自身もOverEasyを「soft knee」と説明している。
OverEasyはdbxの多くのダイナミクス製品で採用され、ブランドを象徴する技術名称の一つとなった。
ノイズリダクション
dbxはコンプレッサーだけでなく、アナログ録音向けノイズリダクションでも歴史的に重要な企業である。
dbxのノイズリダクションは、録音時に信号のダイナミックレンジを圧縮し、再生時に逆方向へ拡張するコンパンディング(compression + expanding)を基本原理とする。テープ録音におけるヒスノイズの影響を相対的に小さくすることが目的である。
代表的な方式にはdbx Type Iとdbx Type IIがある。Type Iは主としてプロフェッショナルなオープンリール/マルチトラック録音を想定し、Type IIはカセットや比較的帯域・特性に制約のある媒体を含む用途を想定した方式として展開された。
これらはDolby NRとは原理・動作・互換性が異なる。dbxの公式マニュアルも、他方式のコンパンディングとdbx Type I / IIを単純に互換とみなすべきではないと説明している。
デジタル録音が一般化した後、テープ向けdbxノイズリダクションの重要性は低下したが、同技術を支えたRMS検出・VCA・コンパンディングの考え方は、dbxのダイナミクス製品史を理解する上で重要である。
ダイナミクス・プロセッサー
dbxは160系以外にも、2chコンプレッサー/ゲート、チャンネルストリップ、マイクプロセッサーなど多数のダイナミクス製品を展開してきた。
代表的な現行・近年製品には次がある。
| 製品 | 種別 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 166xs | 2ch compressor / limiter / gate | OverEasy、PeakStopリミッティング、ゲートを備える2chダイナミクス・プロセッサー |
| 266xs | 2ch compressor / gate | 2chコンプレッションとゲートを組み合わせた標準的なラック型モデル |
| 286s | microphone preamp / channel strip | マイクプリアンプ、コンプレッサー、ディエッサー、エンハンサー、エキスパンダー/ゲートを統合 |
| 560A | 500 Series compressor / limiter | dbx 160系の思想を500 Seriesへ展開 |
| 676 | tube microphone preamp channel strip | 真空管マイクプリアンプとEQ、コンプレッション等を統合 |
これらの製品は、レコーディング、配信、放送、ライブPAなどで使用される。
500 Series
dbxはAPI 500 Series互換フォーマットのモジュールも展開している。現行の主要500 Series製品には以下がある。
| 製品 | 機能 |
|---|---|
| 510 | Subharmonic Synthesizer |
| 520 | De-Esser |
| 530 | Parametric EQ |
| 560A | Compressor / Limiter |
| 580 | Microphone Preamp |
500 Seriesは、複数の処理モジュールを共通のシャーシと電源で運用するモジュラー方式であり、スタジオのアウトボード構成を用途ごとに組み替えやすい。
マイクプリアンプとチャンネルストリップ
dbxはVCAコンプレッション以外にもマイクプリアンプを長年製造している。
286sはその代表例で、マイクプリアンプの後段にコンプレッサー、ディエッサー、低域/高域エンハンサー、エキスパンダー/ゲートを統合した1chチャンネルストリップである。単一ラックユニットで音声入力の基本処理をまとめられるため、録音、放送、ナレーション、配信などで用いられる。
580は500 Series形式のマイクプリアンプであり、676は真空管入力段を含むチャンネルストリップとして位置づけられる。
イコライザー
dbxはグラフィックイコライザーも長年製造しており、PA、設備音響、スタジオ、モニターシステムで使用されてきた。
代表的な製品には以下がある。
- 131s - 31バンド・モノラル・グラフィックEQ。
- 215s - 15バンド×2chグラフィックEQ。
- 231s - 31バンド×2chグラフィックEQ。
- 1231 - 31バンド×2chグラフィックEQ。
- iEQ15 / iEQ31 - デジタル機能を統合したグラフィックEQ。
デジタル・ラウドスピーカー・プロセッサーの普及後は、グラフィックEQやパラメトリックEQがDriveRack等の内部機能として統合される場面も増えたが、専用EQは単機能機器として依然利用されている。
クロスオーバー
dbxはアナログクロスオーバーも代表的な製品分野として持つ。クロスオーバーは周波数帯域を分割し、各帯域を対応するパワーアンプ/スピーカー系統へ送る装置である。
主なモデルとして以下がある。
223系は2-way stereo / 3-way mono、234系は2-way / 3-way stereoや4-way monoを含む、より多くの分割構成に対応する。製品末尾の「s」「xs」などは世代・接続仕様を示し、モデルごとに入出力端子や細部仕様が異なる。
デジタルDriveRackがクロスオーバー、EQ、ディレイ、リミッターなどを統合する一方で、アナログクロスオーバーは構成が明快で、単機能システムを組む場合に引き続き用いられる。
DriveRack
DriveRackは、dbxのデジタル・ラウドスピーカー・マネジメント製品群である。ミキサーとパワーアンプ/パワードスピーカーの間に配置し、複数の処理を一体化する。
代表的なDriveRack製品は次のとおり。
| 製品 | 入出力 | 制御 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| DriveRack PA2 | 2入力 / 6出力 | Ethernet経由のモバイル/PC制御 | ポータブルPA、ライブ |
| DriveRack 260 | 2入力 / 6出力 | USB / RS-232 | 固定設備、PA |
| DriveRack VENU360 | 3入力 / 6出力 | Ethernet | ツアー、設備、より複雑なPA |
DriveRack PA2は、グラフィックEQ、パラメトリックEQ、AutoEQ、AFS、コンプレッション、クロスオーバー、出力EQ、リミッター、ドライバー・アライメント・ディレイなどを統合する。
VENU360は3入力/6出力構成で、最大モノ6-wayまでのクロスオーバー、入力/出力EQ、AFS、AutoEQ、コンプレッション、AGC、ノイズゲート、サブハーモニック生成、最大1000 msの出力ディレイなど、より高度なルーティングと処理を備える。
DriveRackシリーズの重要性は、従来は複数のラック機器に分かれていたEQ、クロスオーバー、リミッター、ディレイ、フィードバック抑制などを、単一DSPプラットフォームへ統合した点にある。
AutoEQとAFS
DriveRackシリーズでは、dbx独自の自動化機能も重要である。
AutoEQは、RTA用測定マイクを使用してスピーカー/室内応答を測定し、EQ補正を支援する機能である。DriveRack PA2やVENU360では、セットアップ・ウィザードと組み合わせて使用される。
AFS(Advanced Feedback Suppression)は、ハウリング/フィードバック周波数を検出し、狭帯域ノッチフィルターで抑制する機能である。専用機AFS2としても展開されている。
これらの機能は、適切なスピーカー配置、ゲイン構造、マイク運用を不要にするものではない。特にAutoEQは室内音響そのものを物理的に変更する機能ではなく、測定地点における電気的補正を支援する処理である。
ZonePROと設備音響
dbxは商業施設・会議施設・飲食店・礼拝施設などの設備音響向けにZonePROシリーズを展開してきた。
ZonePROは複数入力を複数ゾーンへ分配し、ゾーンごとの音量、EQ、ダイナミクス、ルーティングなどを管理するDSPである。壁面コントローラーZCシリーズと組み合わせ、一般スタッフが限定された操作だけを行うような設備構成にも対応する。
ライブPA向けのDriveRackが「スピーカーシステムを調整・保護する」用途を中心とするのに対し、ZonePROは「複数エリアへ音声を分配・管理する」用途を中心とする。
フィードバック抑制
dbxはAFS技術をDriveRackへ統合するだけでなく、AFS2のような専用フィードバック・サプレッサーも製造している。
AFSはフィードバック周波数付近へ狭帯域のノッチフィルターを自動配置する方式であり、音声信号全体を大幅に変化させずにハウリング余裕を確保することを目的とする。
ただし、AFSは不適切なマイク/スピーカー位置、過剰なゲイン、室内反射などの根本原因を解消するものではなく、あくまでシステム運用を補助するプロセッシングである。
サブハーモニック・シンセシス
dbxはSubharmonic Synthesisも長期間にわたり製品化している。これは入力信号の低域成分を解析し、1オクターブ下などの成分を生成・付加することで低域感を拡張するエフェクト/プロセッサーである。
代表的な専用機には120Aがあり、500 Seriesでは510として展開されている。またDriveRack PA2やVENU360にも関連処理が統合されている。
この処理は単なるEQブーストとは異なり、入力に存在しない低い周波数成分を合成する。そのため、スピーカー/サブウーファーの再生能力やヘッドルームを考慮して使用する必要がある。
DI・測定・周辺機器
dbxは信号処理本体以外にも、DI、測定用マイク、パッチベイ、ケーブルテスターなどを展開する。
主な製品には以下がある。
- db10 - パッシブDI。
- db12 - アクティブDI。
- Di1 - アクティブDI。
- DJDI - 2chパッシブDI。
- DI4 - 4chアクティブDI/ラインミキサー。
- RTA-M - AutoEQ等で使用される無指向性測定マイク。
- PB48 - 48ポイント・パッチベイ。
- CT-2 / CT-3 - ケーブルテスター。
所有関係と企業史
1979年、dbxはBirmingham Sound Reproducers(BSR)に買収された。この時期にはdbxブランドがコンシューマー向けオーディオ製品にも使用された。
1980年代末の企業再編を経て、dbxのプロフェッショナル製品部門はAKGへ売却された。AKGは1994年にHARMAN International傘下となり、dbx ProfessionalもHARMANのプロオーディオブランド群へ組み込まれた。
また、旧dbxの技術者らによってTHAT Corporationが設立され、Blackmer系VCAやRMS検出回路の技術系譜を引き継いだ。dbxの歴史は、現在のHARMANブランドとしての系譜と、THAT Corporationを通じたコンポーネント技術の系譜に分岐している。
HARMANは2017年にSamsung Electronicsの傘下となったため、現在のdbxは企業関係としてはSamsung Electronics → HARMAN → dbx Professionalという位置づけにある。
主な製品系列
dbxは半世紀以上にわたり多数の製品を展開しており、以下は代表的な系列である。
| 分野 | 代表製品/シリーズ |
|---|---|
| コンプレッサー/リミッター | 160、166xs、266xs、560A |
| マイク/チャンネル処理 | 286s、580、676 |
| 500 Series | 510、520、530、560A、580 |
| グラフィックEQ | 131s、215s、231s、1231 |
| クロスオーバー | 223s、223xs、234s、234xs |
| ラウドスピーカー管理 | DriveRack PA2、DriveRack 260、DriveRack VENU360 |
| フィードバック抑制 | AFS2 |
| 設備音響 | ZonePRO、ZCシリーズ |
| サブハーモニック生成 | 120A、510 |
| 周辺機器 | RTA-M、PB48、DIシリーズ、CTシリーズ |
技術的影響
dbxの技術的影響は、個々の製品より広い。
第一に、Blackmer VCAとRMS検出技術は、VCAコンプレッサーというカテゴリの発展に大きく寄与した。後の多くのミキシングコンソール、バスコンプレッサー、チャンネルストリップ、オートメーション回路でもVCA方式が採用されている。
第二に、dbx 160系は「高速で明確なダイナミクス制御」というVCAコンプレッサーの代表例として、レコーディング技術の歴史上重要な位置を占める。
第三に、DriveRackシリーズは、EQ、クロスオーバー、ディレイ、リミッティング、測定支援などを統合したDSPベースのスピーカー・マネジメント・システムを広く普及させた。
このためdbxは、スタジオ用アウトボードとPAシステム・プロセッシングの双方に長い系譜を持つ点で特徴的なブランドである。
主な年表
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 1971 | David E. Blackmerがdbxを設立。 |
| 1973 | Blackmer Gain Cell関連技術が特許化される。 |
| 1970年代 | dbx Type I / Type IIノイズリダクションとVCAダイナミクス製品が普及。 |
| 1970年代後半 | dbx 160がスタジオ用VCAコンプレッサーとして定着。 |
| 1979 | dbxがBirmingham Sound Reproducers(BSR)に買収される。 |
| 1980年代 | 160X / 160XTなど後継ダイナミクス製品が展開。 |
| 1989年前後 | 旧dbx事業の再編が進み、プロフェッショナル製品部門がAKGへ移る。 |
| 1994 | AKGがHARMAN International傘下となり、dbx ProfessionalもHARMANのブランド群へ入る。 |
| 1990年代後半〜2000年代 | DriveRackシリーズが展開され、デジタル・ラウドスピーカー・マネジメントが主要分野となる。 |
| 2017 | Samsung ElectronicsによるHARMAN買収が完了。 |
関連項目
- VCA
- コンプレッサー
- リミッター
- ノイズゲート
- エキスパンダー
- ノイズリダクション
- クロスオーバー
- グラフィックイコライザー
- DSP
- PAシステム
- パワーアンプ
- Crown
- JBL Professional
- HARMAN
参考資料
- dbx Professional Audio
- dbx Professional Audio: Products
- dbx Professional Audio: DriveRack
- dbx Professional Audio: DriveRack PA2
- dbx Professional Audio: DriveRack VENU360
- dbx Professional Audio: Product Downloads
- dbx Professional Audio: Compression and dbx History
- dbx Professional Audio: Model 150X Type I Owner's Manual
- dbx Professional Audio: Live & Touring PA
- dbx Professional Audio: Portable Products
- HARMAN/dbx: Installed & Hospitality Brochure
- dbx-tv / THAT Corporation: Who We Are
- Mix: Birth of a Classic — The dbx 160 Compressor