Crown XTi2 6002

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Crown XTi2 6002(クラウン XTi2 6002、製品名: XTi 6002)は、Crown Audioが展開するXTi 2 Seriesの2チャンネルパワーアンプである。

4 Ω負荷で1チャンネルあたり2100 W、2 Ω負荷で1チャンネルあたり3000 Wの定格出力を持ち、Bridge-Monoでは4 Ω負荷で6000 W、8 Ω負荷で4200 Wを出力する。[1][2]

XTi 6002はパワーアンプ機能に加えて、クロスオーバー、EQ、ディレイ、リミッター、サブハーモニック・シンセサイザーなどのデジタル信号処理機能を内蔵する。

CrownはXTi 2 SeriesをポータブルPA用途向けのシリーズとして位置付けている。[1]

概要

XTi 6002はCrown AudioのXTi 2 Seriesに属する2チャンネル・パワーアンプである。

XTi 2 Seriesには、

が存在する。[3]

XTi 6002はシリーズ中で最大の出力を持つモデルで、2 Ω負荷で1チャンネルあたり3000 W、Bridge-Mono 4 Ωで6000 Wの定格出力を持つ。

2Uラックサイズの筐体にパワーアンプとDSPを統合し、PAシステムにおけるアンプ、クロスオーバー、EQ、ディレイ、スピーカー保護などの機能を一体化できる。

定格出力

XTi 6002の定格出力は次の通りである。[2]

動作条件 定格出力
Stereo / 8 Ω 1200 W × 2
Stereo / 4 Ω 2100 W × 2
Stereo / 2 Ω 3000 W × 2
Bridge-Mono / 8 Ω 4200 W × 1
Bridge-Mono / 4 Ω 6000 W × 1

2 Ω Stereoおよび4 Ω Bridge-Monoに対応するため、大きな出力を必要とするPAスピーカーやサブウーファーの駆動にも使用できる。

アンプとスピーカーを組み合わせる際には、スピーカーの公称インピーダンス、許容入力、アンプの出力設定を確認する。

動作モード

XTi 6002は、2つのアンプチャンネルを複数の構成で使用できる。

Stereo

Stereo動作では、Channel 1とChannel 2を独立した2系統として使用する。

Input 1 → Amplifier CH1 → Speaker 1
Input 2 → Amplifier CH2 → Speaker 2

左右のPAスピーカーや、異なる2系統のスピーカーを駆動する構成に使用できる。

Bridge-Mono

Bridge-Monoでは2つのアンプチャンネルを組み合わせ、1つのスピーカー負荷を駆動する。

Amplifier CH1 ──┐
                ├── Speaker
Amplifier CH2 ──┘

XTi 6002では、

  • 8 Ω: 4200 W
  • 4 Ω: 6000 W

のBridge-Mono出力が示されている。[2]

Bridge-Monoの動作原理についてはブリッジモノモードを参照。

内蔵DSP

XTi 6002の特徴のひとつが、アンプ内部に統合されたデジタル信号処理機能である。

DSPには、

  • Input EQ
  • Output EQ
  • Crossover
  • Delay
  • Peakx Plus Limiter
  • Subharmonic Synth
  • Level
  • Polarity

などの処理機能が含まれる。[4]

このため、単体のパワーアンプとして使用するだけでなく、スピーカーシステムの信号処理をアンプ内部で行うこともできる。

クロスオーバー

内蔵DSPにはクロスオーバー機能が搭載されている。

各チャンネルについてHigh-Pass FilterとLow-Pass Filterを設定でき、複数のフィルター特性を選択できる。[4]

対応するフィルターには、

  • Butterworth 6 dB/oct
  • Butterworth 12 dB/oct
  • Butterworth 18 dB/oct
  • Butterworth 24 dB/oct
  • Butterworth 48 dB/oct
  • Linkwitz-Riley 24 dB/oct
  • Linkwitz-Riley 48 dB/oct

などがある。

この機能を使用すると、例えばフルレンジスピーカーとサブウーファーの帯域分割をXTi 6002内部で行うことができる。

EQ

XTi 6002は入力および出力側にEQ機能を持つ。

出力EQでは、各チャンネルに対して複数のフィルターを設定でき、周波数、ゲイン、Qなどを調整できる。[4]

PAシステムの周波数特性補正、スピーカー特性の調整、システムチューニングなどに利用できる。

ディレイ

内蔵DSPには最大50 msのディレイ機能が用意されている。[4]

ディレイは、

  • スピーカー間の時間整合
  • サブウーファーとメインスピーカーの位置補正
  • 複数のスピーカーシステム間のタイムアラインメント

などに使用できる。

制御ソフトウェアでは、ディレイ量を時間だけでなく距離として入力することもできる。

Peakx Plus Limiter

XTi 6002はPeakx Plus Limiterを搭載する。

Threshold、Attack、Releaseをユーザーが設定でき、アンプ出力およびスピーカーシステムの保護に利用できる。[1]

リミッターを適切に設定することで、過大入力によるクリッピングやスピーカーへの過大な電力供給を抑制できる。

Subharmonic Synth

XTi 2 SeriesにはSubharmonic Synth機能が搭載されている。

この機能では低域信号に対するサブハーモニック成分を生成し、周波数、ゲイン、フィルタータイプを調整できる。[1]

PAやDJシステムなどで低域の効果を調整する用途に使用できる。

プリセット

XTi 6002は最大50個のプリセットを扱い、そのうち49個をユーザーが設定できる。[1]

例えば、

  • Full-range speaker
  • Subwoofer
  • Bi-Amp
  • Bridge-Mono
  • 特定の会場用設定

など、用途ごとにDSP設定を保存して切り替える運用が可能である。

入力

XTi 6002は各チャンネルに3ピンXLR入力を備える。[4]

Channel 1 XLR Input
Channel 2 XLR Input

ミキサー、クロスオーバー、DSP、その他の業務用音響機器からバランスライン信号を入力できる。

入力インピーダンスは、

  • Balanced: 20 kΩ
  • Unbalanced: 10 kΩ

である。[2]

入力感度は定格出力時1.4 Vである。

Link / Out

XTi 6002には各チャンネルにXLR Link/Out端子が用意されている。[4]

Input
  ↓
XTi 6002
  ↓
Link / Out
  ↓
Next Amplifier

Link/Outを使用すると、入力信号を次のアンプへループスルーできる。

複数台のパワーアンプへ同一信号を分配するPAシステムでは、外部Yケーブルを使わずにアンプ間で信号を受け渡す構成が可能となる。

スピーカー出力

XTi 6002は、

  • 4極speakON
  • バインディングポスト

によるスピーカー出力を備える。[4]

speakON

リアパネルには2つの4極speakON出力コネクタがある。

Channel 1側のspeakONはChannel 1とChannel 2双方の出力にアクセスできるよう配線されており、

  • 通常のStereo接続
  • 4芯ケーブルを使用した2チャンネル伝送
  • Bridge-Mono接続

などに利用できる。[4]

通常の1チャンネル接続では、

1+ → Speaker +
1- → Speaker -

のような配線を使用する。

Bridge-MonoとspeakON

XTi 6002のChannel 1側speakONはBridge-Mono接続に使用できる。

Bridge-Monoでは、アンプ側から、

1+
2+

の2つの出力を利用する構成となる。[4]

通常の1+/1-入力を持つスピーカーへ専用ケーブルで接続する場合には、例えば、

AMPLIFIER END          SPEAKER END

1+  -----------------> 1+
2+  -----------------> 1-

というモノブリッジケーブルを構成できる。

この配線ではアンプ側とスピーカー側のピンアサインが異なるため、両端を識別できるコネクタ、ラベル、色分けなどを使用すると配線確認が容易になる。

実際の接続では、使用するスピーカーの入力ピンアサインも確認する。

4極speakONによる2チャンネル伝送

Channel 1側speakONにはChannel 1とChannel 2の両方の出力が存在するため、1本の4芯スピーカーケーブルを使用して2チャンネル分の出力を伝送する構成も可能である。[4]

概念的には、

1+ / 1- → Channel 1
2+ / 2- → Channel 2

となる。

この方式はBi-Ampシステムや、1本のマルチコンダクター・スピーカーケーブルで2系統を配線する場合などに利用できる。

バインディングポスト

XTi 6002は各チャンネルにバインディングポスト出力も備える。

バナナプラグや裸線などを使用したスピーカー接続に対応する。[4]

Bridge-Monoでバインディングポストを使用する場合には、マニュアルで指定された端子構成を使用する。

USBとソフトウェア制御

XTi 6002はUSB Type-B端子を備える。

USBをコンピューターへ接続し、Crown / HARMANの制御ソフトウェアからアンプおよびDSPを設定できる。[4]

CrownはXTi 2 Series向けのソフトウェアとして、

  • HiQnet Band Manager
  • HiQnet Audio Architect

を提供している。[5]

ソフトウェアからDSP設定やシステム状態を管理できる。

システムモニタリング

XTi 2 Seriesにはシステムモニタリング機能があり、ソフトウェアから、

  • ACライン電圧
  • 電源部温度

などを確認できる。[1]

アンプラック内で複数台を運用する場合、動作状態の確認やシステム管理に利用できる。

冷却

XTi 6002は強制空冷方式を採用する。

前面から背面へ空気を流すファンを備え、ファン動作には、

  • Normal
  • Early
  • Full Speed

の3種類のユーザー設定モードが用意されている。[1]

設置時にはラック前後の通気経路を確保する。

保護機能

XTi 2 Seriesには、アンプおよび接続機器の保護を目的とした各種保護回路が搭載されている。

また、Peakx Plus LimiterをDSP上で設定することで、スピーカーへ供給する信号レベルを管理できる。

高出力システムでは、アンプの最大出力だけでなく、スピーカーの許容入力および負荷インピーダンスを含めて設定することが重要となる。

主な仕様

項目 Crown XTi 6002
シリーズ XTi 2 Series
アンプチャンネル数 2
8 Ω Stereo 1200 W × 2
4 Ω Stereo 2100 W × 2
2 Ω Stereo 3000 W × 2
8 Ω Bridge-Mono 4200 W × 1
4 Ω Bridge-Mono 6000 W × 1
入力感度 1.4 V
入力インピーダンス 20 kΩ Balanced / 10 kΩ Unbalanced
周波数特性 20 Hz – 20 kHz, +0 / -1 dB(1 W)
THD < 0.5%
S/N比 103 dB(A-weighted)
Crosstalk >70 dB(20 Hz – 1 kHz)
Damping Factor >500(20 Hz – 1 kHz)
入力 XLR ×2
Link / Out XLR ×2
スピーカー出力 4-pole speakON、Binding Post
コンピューター接続 USB Type-B
DSP EQ、Crossover、Delay、Limiter、Subharmonic Synthなど
プリセット 50(49ユーザー設定可能)
高さ 3.5 in / 8.9 cm(2U)
幅 19 in / 48.3 cm
奥行 16.2 in / 41.1 cm
重量 24 lb / 10.9 kg
電源コネクタ IEC 20 A

仕様値はCrown公式製品情報およびXTi 2 Seriesデータシートに基づく。[1][2]

XLi 3500との違い

Crown XLi 3500とXTi 6002は、どちらも2チャンネルのPA用パワーアンプとして使用できる。

XTi 6002はアンプ内部にDSPを搭載し、

  • クロスオーバー
  • EQ
  • ディレイ
  • リミッター
  • プリセット
  • USBによるコンピューター制御
  • システムモニタリング

などの機能を統合している。

また、XTi 6002にはXLR Link/Outがあり、複数アンプへの信号分配にも利用できる。

一方、XLi 3500はよりシンプルなアナログ中心の構成を採用し、外部クロスオーバーやスピーカープロセッサーと組み合わせるシステムを構築できる。

用途やシステム設計に応じて、外部プロセッシング中心の構成と、アンプ内DSPを活用する構成を選択できる。

PAシステムでの使用例

XTi 6002は、ミキサーや外部クロスオーバーから信号を受けてパッシブスピーカーを駆動できる。

Mixer
  ↓
Crossover / Speaker Processor
  ↓
Crown XTi 6002
  ↓
Passive Speaker

また、内蔵DSPを利用して、

Mixer
  ↓
Crown XTi 6002
  ├─ Internal Crossover
  ├─ EQ
  ├─ Delay
  └─ Limiter
       ↓
Passive Speaker

という構成も可能である。

システムによっては、外部クロスオーバーと内蔵DSPを組み合わせることもできる。

ケーブル選定

XTi 6002へのラインレベル入力にはXLRバランスケーブルを使用できる。

Link/OutもXLRであるため、複数台のアンプを接続する場合にはXLRケーブルでアンプ間を接続できる。

パワーアンプからパッシブスピーカーへの接続には、十分な導体断面積を持つスピーカーケーブルを使用する。

XTi 6002は最大6000 WのBridge-Mono出力を持つため、高出力または長距離のスピーカー配線では、

  • ケーブル長
  • 導体断面積
  • スピーカーインピーダンス
  • 電圧降下
  • ケーブルでの電力損失

を考慮してケーブルを選択する。

Bridge-Mono接続では専用のピンアサインを使用するため、モノブリッジケーブルの内部配線を確認する。

XTi 2 Series

XTi 2 Seriesは複数の出力クラスで構成される。

モデル 4 Ω Stereo / ch
Crown XTi 1002 500 W
Crown XTi 2002 800 W
Crown XTi 4002 1200 W
Crown XTi 6002 2100 W

シリーズ全体でDSP、プリセット、Peakx Plus Limiter、USBによる制御などの機能を共有する。[3]

脚注

外部リンク

関連項目