XLR

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XLRは、音響機器、映像機器、照明機器などで使用されるロック機構付きの丸形電気コネクタである。プロフェッショナルオーディオでは特に3極XLRが広く使用され、マイクロフォン、ミキシングコンソール、オーディオインターフェース、マイクプリアンプ、パワーアンプ、アクティブスピーカーなどの接続に用いられる。[1]

XLRはコネクタの形式を示す名称であり、それ自体がバランス接続、マイクレベル、ラインレベルなど特定の信号形式を意味するわけではない。同じXLRコネクタでも、用途によってアナログオーディオ、デジタルオーディオ、制御信号など異なる信号を伝送できる。

概要

XLRコネクタにはオス(male)とメス(female)があり、ケーブル用コネクタと機器パネルに取り付けるレセプタクルが存在する。

多くのXLRコネクタは、接続時にコネクタを保持するラッチを備える。これにより、演奏、録音、PAなどでケーブルに力が加わった場合でも、不意に抜けにくい構造となっている。

XLRには複数の極数が存在し、Neutrikの一般的なXLRシリーズでは3極、4極、5極、6極、7極などが製造されている。[2]

音響用途では3極XLRが最も一般的である。

3極XLR

プロフェッショナルオーディオで一般的な3極XLRでは、IEC 60268-12に基づき、各ピンは次のように使用される。[1]

ピン 一般的な用途
1 シールド / グラウンド
2 正極性信号(Hot、+)
3 逆極性信号(Cold、−)

バランス接続のアナログオーディオでは、Pin 2とPin 3に極性の異なる信号を伝送し、受信側で両者の差を取り出す差動伝送が用いられる。

Pin 1 = Shield / Ground
Pin 2 = Hot / +
Pin 3 = Cold / -

現在の標準的な音響配線ではPin 2 Hotが用いられる。過去にはPin 2とPin 3の極性について複数の慣習が存在したが、AES14ではPin 2を正極性とする配線が規定されている。[3]

バランス接続

3極XLRはバランス接続に広く用いられる。

典型的なマイクケーブルまたはバランスケーブルでは、2本の信号導体とシールドを使用し、

  • Pin 1 → シールド
  • Pin 2 → 信号導体1
  • Pin 3 → 信号導体2

として配線する。

バランス伝送では、受信側がPin 2とPin 3の電位差を信号として扱う。2本の信号線に共通して混入したノイズはコモンモードノイズとして除去されやすく、長距離伝送に適している。

この性能はコモンモード除去比(CMRR)、送信回路、受信回路、ケーブル構造、接地状態などにも依存する。

XLRコネクタを使用していることだけで、その接続が必ずバランス接続になるわけではない。機器内部の回路や配線方法によっては、XLRを用いたアンバランス接続も技術的には可能である。

マイクロフォンとの接続

多くのプロフェッショナル用マイクロフォンは3極XLR出力を備える。

典型的な接続は次のようになる。

マイクロフォン
    ↓
XLRケーブル
    ↓
マイクプリアンプ / ミキサー / オーディオインターフェース

一般的なXLRマイクケーブルでは、マイクロフォン側にXLRメス、機器入力側にXLRオスを備えるケーブルではなく、マイクロフォンの出力がXLRオスであるため、ケーブルのマイク側はXLRメス、入力機器側はXLRオスとなる。

このため、市販の標準的なXLRマイクケーブルは、

XLR Female → XLR Male

の構成が一般的である。

ファンタム電源

3極XLRによるバランス接続では、コンデンサーマイクなどへファンタム電源を供給できる。

一般的な48 Vファンタム電源では、Pin 1を基準としてPin 2とPin 3の双方に同じ直流電圧が加えられる。[4]

Pin 2 ── +48 V DC
Pin 3 ── +48 V DC
Pin 1 ── Reference / Shield

Pin 2とPin 3には同じ直流電圧が印加されるため、差動オーディオ信号と電源を同じケーブル上で共存させることができる。

ファンタム電源はXLRコネクタ固有の機能ではなく、対応する送受信回路と配線によって実現される。

ラインレベル信号

XLRはマイクレベルだけでなく、ラインレベルのアナログオーディオにも広く使用される。

例えば、

ミキサー
  ↓
XLR
  ↓
DSP / クロスオーバー
  ↓
XLR
  ↓
パワーアンプ

のようなPAシステムでは、機器間のバランスライン接続としてXLRが使用される。

オーディオインターフェース、ミキシングコンソール、モニターコントローラー、アクティブモニタースピーカーなどでもXLRライン入出力は一般的である。

オスとメス

XLRでは、接点がピン状のものをオス(male)、接点がソケット状のものをメス(female)と呼ぶ。

音響機器では一般に、

  • 出力 → XLRオス
  • 入力 → XLRメス

という構成が多い。

例えば、多くのマイクロフォンはXLRオス出力を持ち、多くのマイクプリアンプやミキサーはXLRメス入力を持つ。

ただし、XLRのオス・メスはコネクタの物理的な性別を表すものであり、信号方向そのものを定義するものではない。用途によって異なる構成も存在する。

ケーブル用XLRとパネル用XLR

XLRコネクタは大きく、

などに分けられる。

ケーブル用XLRでは、ケーブルを内部の端子へはんだ付けまたはその他の方式で接続し、ストレインリリーフによってケーブル外被を保持する。

パネル用XLRは、ミキサー、オーディオインターフェース、パワーアンプ、スピーカーなどの筐体に取り付けられる。

製品によって、コネクタシェルとPin 1、シャーシグラウンドの接続方法は異なる。NeutrikのXLR製品にも、シェル、Pin 1、フロントパネル間の接地方法が異なる複数の仕様が存在する。[5]

XLRケーブル

一般に「XLRケーブル」と呼ばれるものは、両端にXLRコネクタを取り付けたケーブルアセンブリを指す。

アナログバランスオーディオ用の一般的な3極XLRケーブルでは、2芯+シールド構造のマイクケーブルが使用される。

代表的なケーブルには、

などがある。

XLRはコネクタ規格であり、「XLRケーブル」という名称だけでは内部の線材、導体数、特性インピーダンス、シールド構造、用途などは決まらない。

したがって、同じXLRコネクタを使用していても、用途に適したケーブルを選択する必要がある。

AES3

XLRはAES3デジタルオーディオの伝送にも使用される。

AES3では一般に3極XLRを使用し、110 Ωの特性インピーダンスを持つバランスデジタルケーブルが用いられる。

外観上はアナログXLRケーブルと同じ3極XLRであっても、デジタル伝送ではケーブルの電気的特性が重要となる。

そのため、

XLRコネクタが同じであることと、ケーブルの用途が同じであることは別である。

DMX512

XLR形状のコネクタはDMX512にも使用される。

現在のANSI E1.11(DMX512-A)では、携帯型機器の標準コネクタとして5極XLRが規定されている。[6]

標準的な5極XLRのDMX512配線では、

ピン DMX512
1 Data Link Common
2 Data 1−
3 Data 1+
4 Data 2−(optional)
5 Data 2+(optional)

となる。[7]

DMX512はEIA-485系のデジタルデータ伝送であり、アナログオーディオ用XLRケーブルとは要求される電気的特性が異なる。

XLRとTRS

バランスアナログオーディオでは、XLRのほかにTRSフォンコネクタも広く使用される。

一般的な3極XLRとTRSによるバランス接続は、概念的には次のように対応する。

XLR TRS 用途
Pin 1 Sleeve Shield / Ground
Pin 2 Tip Hot / +
Pin 3 Ring Cold / −

この対応を利用し、XLR-TRSケーブルによってXLRバランス入出力とTRSバランス入出力を接続できる。

ただし、接続する機器の配線仕様は必ず確認する必要がある。

XLRとスピーカー接続

XLRは主としてマイクレベルやラインレベルなどの信号接続に使用される。

パワーアンプからパッシブスピーカーへ送るスピーカーレベルの接続には、一般にspeakON、バインディングポスト、その他のスピーカー用端子が使用される。

一方、アクティブスピーカーには内部にパワーアンプが搭載されているため、XLRによるラインレベル入力を備える製品が多い。

したがって、

ミキサー
  ↓ XLR(ラインレベル)
パワーアンプ
  ↓ speakON等(スピーカーレベル)
パッシブスピーカー

と、

ミキサー
  ↓ XLR(ラインレベル)
アクティブスピーカー

では、XLRが使用される位置が異なる。

コネクタメーカー

XLRコネクタは多数のメーカーによって製造されている。

代表的なメーカーには、

などがある。

音響用ケーブルアセンブリでは、コネクタの接点材質、メッキ、ケーブル保持構造、ハウジング、耐久性などが製品によって異なる。

関連項目

脚注