Dbx 234XL

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dbx 234XL(ディービーエックス 234XL)は、dbx Professional Productsが製造していたアナログ式のクロスオーバーである。

Stereo 2-way、Stereo 3-way、Mono 4-wayの各動作モードに対応し、XLRによるバランス入出力、24 dB/octaveのLinkwitz-Rileyフィルター、40 Hzローカット、各出力の位相反転、低域のモノサミングなどの機能を備える。[1]

dbx公式では現在、生産終了製品として掲載されている。[1]

概要

234XLは、PAシステムで使用するための1Uラックマウント型アナログ・クロスオーバーである。

フルレンジの入力信号を複数の周波数帯域へ分割し、それぞれの帯域を対応するパワーアンプやスピーカーシステムへ送る。

例えばStereo 3-way構成では、

Left Input
   ├─ Low
   ├─ Mid
   └─ High

Right Input
   ├─ Low
   ├─ Mid
   └─ High

という6系統の出力を構成できる。

Mono 4-wayでは、1つの入力信号を4つの帯域へ分割できる。

Mono Input
   ├─ Low
   ├─ Low-Mid
   ├─ High-Mid
   └─ High

234XLはデジタル信号処理を使用するタイプではなく、フロントパネルのノブとスイッチによってクロスオーバー周波数、入力ゲイン、出力レベル、ローカット、位相反転などを直接設定する構成を持つ。

動作モード

234XLは3種類の主要動作モードを持つ。[2]

  • Stereo 2-way
  • Stereo 3-way
  • Mono 4-way

リアパネルのMode Switchによって動作モードを選択する。

選択したモードに応じて、フロントパネル上で使用するクロスオーバー周波数コントロールおよび各出力が変化する。

Stereo 2-way

Stereo 2-wayでは、左右それぞれの入力信号をLowとHighの2帯域へ分割する。

Left Input
   ├─ Low L
   └─ High L

Right Input
   ├─ Low R
   └─ High R

この構成では、左右各チャンネルにつき1つのクロスオーバー周波数を設定する。

典型的には、

Mixer L/R
   ↓
dbx 234XL
   ├─ Low L/R  → Low-frequency amplifiers
   └─ High L/R → High-frequency amplifiers

のように使用できる。

2-wayのパッシブまたはマルチアンプPAシステム、サブウーファーとトップスピーカーの帯域分割などに利用できる。

Stereo 3-way

Stereo 3-wayでは、左右それぞれの入力信号をLow、Mid、Highの3帯域へ分割する。

Left Input
   ├─ Low L
   ├─ Mid L
   └─ High L

Right Input
   ├─ Low R
   ├─ Mid R
   └─ High R

左右各チャンネルについて、

  • Low / Mid
  • Mid / High

の2つのクロスオーバー周波数を設定する。

3-wayスピーカーシステムを複数のパワーアンプで駆動する場合などに使用できる。

Mono 4-way

Mono 4-wayでは、Channel 1およびChannel 2のコントロールを組み合わせ、1系統の入力を4つの周波数帯域へ分割する。[2]

Mono Input
   ├─ Low
   ├─ Low-Mid
   ├─ High-Mid
   └─ High

4つの帯域をそれぞれ異なるアンプまたはスピーカードライバーへ送る構成を作ることができる。

大型PAや、複数帯域を個別にアンプ駆動するシステムに利用できる。

Linkwitz-Rileyフィルター

234XLは24 dB/octaveのLinkwitz-Rileyクロスオーバーフィルターを使用する。[1][3]

24 dB/octaveは4次フィルターに相当し、クロスオーバーポイントから1オクターブ離れた周波数で24 dBの減衰を持つ。

Linkwitz-Rileyフィルターは、隣接する帯域をクロスオーバーポイントで組み合わせた際の振幅特性を扱いやすくする目的でPAシステムなどに広く使用される。

234XLではクロスオーバー周波数をフロントパネルの連続可変ノブで調整する。

クロスオーバー周波数

234XLのクロスオーバー周波数範囲は、動作モードによって使用するコントロールが変化する。[1][3]

基本的な可変範囲として、

45 Hz – 960 Hz

があり、x10スイッチを使用すると、

450 Hz – 9.6 kHz

として使用できる。

Stereo 3-wayおよびMono 4-wayでは、上位帯域間のクロスオーバーとして450 Hz – 9.6 kHzのレンジも使用する。

例えばStereo 3-wayでは、

クロスオーバー 周波数範囲
Low / Mid 45 Hz – 960 Hz、またはx10時 450 Hz – 9.6 kHz
Mid / High 450 Hz – 9.6 kHz

となる。

x10レンジスイッチ

リアパネルには各チャンネル用のx10スイッチがある。

このスイッチを有効にすると、対応するクロスオーバー周波数ノブのレンジが10倍になる。

例えば、

45 – 960 Hz

のコントロールは、

450 Hz – 9.6 kHz

として動作する。

この機能によって、低域のクロスオーバーから中高域の帯域分割まで、同じコントロール構成で幅広い周波数範囲を扱える。

入力ゲイン

各入力チャンネルにはInput Gainコントロールがある。

調整範囲は、

-12 dB ~ +12 dB

である。[2]

ミキサーや前段機器から入力される信号レベルを調整し、クロスオーバー内部および後段のパワーアンプとのレベル関係を整えるために使用する。

出力レベル

各周波数帯域には独立した出力レベルコントロールが用意されている。

出力ゲイン範囲は、

-∞ ~ +6 dB

である。[3]

例えばStereo 3-wayでは、

  • Low Output
  • Mid Output
  • High Output

を個別に調整できる。

この機能を使用すると、スピーカードライバーの感度差や、各帯域を担当するパワーアンプのゲイン差を調整できる。

40 Hz Low Cut

各入力チャンネルには40 Hz Low Cutスイッチが用意されている。

有効にすると、

40 Hz
12 dB/octave
Butterworth High-Pass Filter

が挿入される。[1]

極低域成分を抑えることで、スピーカーの不要な低域変位や、可聴帯域外に近い低周波成分によるアンプ負荷を抑える用途に利用できる。

PAシステムでは、使用するサブウーファーやスピーカーの再生帯域に応じて設定する。

位相反転

234XLは各出力にPhase Invertスイッチを備える。

スイッチを有効にすると、対応する出力の極性が反転する。[1]

Normal
↓
0°

Invert
↓
180°

各帯域のスピーカーシステム、ホーン、ドライバーなどの極性関係を調整する場合に使用できる。

位相反転が有効な出力はLEDで確認できる。

LF Sum

234XLはLow Frequency Sum機能を備える。[1]

Stereo動作時の左右低域信号を合算し、モノラルの低域信号として使用できる。

概念的には、

Low L ─┐
       ├─ SUM → Mono Low Frequency
Low R ─┘

となる。

左右のメイン信号をStereoで保持しながら、サブウーファー系統のみをモノラルで構成する場合などに利用できる。

Main High/Mid = Stereo
Subwoofer     = Mono

というPA構成を作ることができる。

XLR入出力

234XLの入出力コネクタにはXLRを使用する。[1]

入力は電子バランス方式で、バランスまたはアンバランス信号を受けられる。

出力はインピーダンスバランス方式である。

一般的なXLRバランス配線は、

Pin 1 = Ground / Shield
Pin 2 = Hot / +
Pin 3 = Cold / -

となる。

PAシステムでは、

Mixer
  ↓ XLR
dbx 234XL
  ↓ XLR
Power Amplifiers

という構成で使用できる。

長距離配線や電磁ノイズが存在する環境では、バランス接続を使用することで外来ノイズの影響を抑えやすくなる。

入力仕様

234XLの主な入力仕様は次の通りである。[1]

項目 仕様
コネクタ XLR
入力方式 Electronically balanced / unbalanced、RF filtered
入力インピーダンス Balanced >50 kΩ
入力インピーダンス Unbalanced >25 kΩ
最大入力レベル > +21 dBu
CMRR >40 dB、typ. >50 dB @ 1 kHz

出力仕様

主な出力仕様は次の通りである。[1]

項目 仕様
コネクタ XLR
出力方式 Impedance-balanced / unbalanced、RF filtered
出力インピーダンス Balanced 200 Ω
出力インピーダンス Unbalanced 100 Ω
最大出力レベル > +21 dBu、2 kΩ以上の負荷

オーディオ特性

234XLの主なオーディオ仕様は次の通りである。[1][3]

項目 仕様
Bandwidth 20 Hz – 20 kHz、±0.5 dB
Frequency Response <3 Hz – >90 kHz、+0 / -3 dB
Dynamic Range >114 dB、unweighted
THD+Noise <0.004% @ +4 dBu、1 kHz
THD+Noise <0.04% @ +20 dBu、1 kHz
Interchannel Crosstalk < -80 dB、20 Hz – 20 kHz
Crossover Filter Linkwitz-Riley、24 dB/octave

電源

234XLは本体内部に電源回路を持ち、IEC電源コネクタからAC電源を供給する。

dbx公式は、外部ACアダプターを使用せず、本体内に電源を組み込んだ構造を特徴のひとつとして説明している。[1]

消費電力は15 Wである。

対応電源電圧は市場仕様によって、

  • 100–120 VAC 50/60 Hz
  • 120 VAC 60 Hz
  • 230 VAC 50/60 Hz

などが用意される。[2]

外形寸法

項目 仕様
高さ 1.75 in / 4.4 cm
幅 19 in / 48.3 cm
奥行 6.9 in / 17.5 cm
ラックサイズ 1U
本体重量 4.0 lb / 1.8 kg
出荷重量 5.8 lb / 2.6 kg

外形寸法および重量はdbxのOperation Manualに基づく。[2]

234との違い

dbx 234と234XLは、基本的なクロスオーバー機能とフロントパネル構成を共有する。

大きな違いのひとつが入出力コネクタである。

モデル 入出力
dbx 234 1/4インチTRS
dbx 234XL XLR

234XLはXLRバランス入出力を採用するため、XLRを標準とするミキサー、パワーアンプ、PA設備との接続を構成しやすい。

dbxのOperation Manualでは、234と234XLのフロントパネル機能は共通として説明されている。[2]

234xsとの関係

dbx 234xsもStereo 2-way / 3-way、Mono 4-wayに対応し、XLR入出力を備えるアナログクロスオーバーである。

dbxの現行クロスオーバー製品群では、234xsがXLR仕様のStereo 2/3-way・Mono 4-wayモデルとして掲載されている。[4]

234XLと234xsは基本的な用途と操作思想を共有する一方、世代や仕様値には差がある。

詳細はdbx 234xsを参照。

PAシステムでの使用例

234XLは、ミキサーと複数のパワーアンプの間に配置できる。

例えばStereo 3-wayでは、

Mixer L/R
   ↓
dbx 234XL
   ├─ Low L/R  → Low Amplifier  → Woofers / Subwoofers
   ├─ Mid L/R  → Mid Amplifier  → Mid Drivers
   └─ High L/R → High Amplifier → High Drivers

という構成を作ることができる。

Stereo 2-wayでは、

Mixer
  ↓
dbx 234XL
  ├─ Low  → Amplifier → Subwoofer / Low Section
  └─ High → Amplifier → Top / High Section

という構成も可能である。

アンプおよびスピーカーの台数、各ドライバーの再生帯域、クロスオーバー周波数、極性、ゲインを確認してシステムを設定する。

ケーブル構成

234XLはXLRバランス入出力を採用するため、一般的なPAシステムではXLR Female-to-Maleケーブルを使用できる。

例えば、

Mixer XLR OUT
   ↓
XLR Female → Male
   ↓
dbx 234XL INPUT

および、

dbx 234XL OUTPUT
   ↓
XLR Female → Male
   ↓
Power Amplifier INPUT

という配線になる。

Stereo 2-wayでは最大4系統、Stereo 3-wayでは最大6系統の帯域出力を使用するため、システム規模に応じて複数本のXLRケーブルが必要になる。

複数の帯域を同時に配線するシステムでは、Low、Mid、High、Left、Rightなどを色分けすると接続確認が容易になる。

現在の製品状態

dbx公式では234XLを「生産終了」として掲載している。[1]

一方で、公式サイトでは現在も、

  • 製品仕様
  • Owner's Manual
  • Cut Sheet
  • 前面CAD図
  • 背面CAD図

などの技術資料が公開されている。

そのため、中古機器の運用、既設PAシステムの保守、配線仕様の確認などに必要な情報を公式資料から確認できる。

脚注

外部リンク

関連項目