DDJ-SB2
DDJ-SB2(ディーディージェイ・エスビーツー)は、Pioneer DJ(パイオニアDJ)が2015年に発売した2チャンネルDJコントローラーである。DDJ-SBの後継機として開発され、Serato DJ Intro(セラートDJイントロ)およびSerato DJに対応した。
DDJ-SBで採用されたPerformance Pads、Big Jog、Filter Fadeを継承しつつ、各チャンネルのTRIMノブ、レベルメーター、Pad Trans、4デッキ制御を追加したことが主要な特徴である。後継機は2018年のDDJ-SB3。
概要
DDJ-SB2は、PC/Mac上のDJソフトウェアをUSB経由で操作するエントリー〜中級向けの2チャンネルコントローラーである。
物理ミキサー部は2チャンネルだが、左右デッキにDECK 3/DECK 4切替ボタンを持ち、ソフトウェア上では最大4デッキを切り替えて操作できる。
本体にはUSBオーディオインターフェースを内蔵し、USBバスパワーで動作する。マスター出力、ヘッドホンモニター、マイク入力を本体へ集約できるため、ノートPCとDDJ-SB2を中心にコンパクトなDJシステムを構成できる。
DDJ-SBからの発展
DDJ-SB2は、初代DDJ-SBの基本構成を大きく変更せず、ミキサーとしての基本操作とパフォーマンス機能を強化したモデルである。
主要な追加点は以下。
- 各チャンネルのTRIMノブ
- 各チャンネルのレベルメーター
- Pad Trans
- DECK 3 / DECK 4切替
- Serato DJ Introでの4デッキ制御
初代SBではチャンネルごとのゲイン調整をソフトウェア側へ依存する部分があった。SB2ではTRIMとレベルメーターを本体へ追加したことで、入力ゲインとチャンネルレベルをハードウェア上で確認・調整しやすくなった。
操作部
Performance Pads
各デッキに8個のラバーパッドを備える。
Hot Cue、Auto Loop、Manual Loop、Samplerなどを直接トリガーでき、下段にはPlay、Cue、Sync、Shift等が割り当てられる。後継のDDJ-SB3では専用PLAY/CUEボタンが独立配置されるため、SB2は初代SB由来の「パッド内に基本トランスポートを含める」世代に属する。
Big Jog
大型ジョグホイールを左右に搭載する。
スクラッチ、サーチ、ピッチベンドなどに利用できる。アルミ素材を用いたジョグプレートは、上位DDJ系列の視覚的デザインを入門価格帯へ取り込んだものである。
TRIMとレベルメーター
DDJ-SB2では、各チャンネルにTRIMノブとレベルメーターが追加された。
TRIMはDJソフトウェア上のチャンネル入力ゲインを調整し、レベルメーターで各チャンネルの信号レベルを確認する。DJミキサーの基本的なゲインステージングをハードウェア上で学べるため、初代SBよりもミキサーとしての操作体系が明確になった。
Manual Filter
各チャンネルに独立したFILTERノブを備える。
中央付近を基準として、回転方向に応じてローパス/ハイパス系のフィルター処理を操作する。この形式はPioneer DJの多数のDJミキサー/コントローラーに見られる。
Filter Fade
初代SBからFilter Fadeを継承する。
クロスフェーダーとハイパスフィルターを連動させ、フェーダー操作だけで音量と低域成分を同時に処理する。初心者が2曲間の低域衝突を避けながらトランジションを作りやすくするための補助機能である。
Pad Trans
Pad TransはSB2で追加された代表的な機能である。
Performance Padを押している間、BPMへ同期した周期で音量を断続的にカットする。ゲート/トランス系エフェクトに近いリズミックな効果を、パッド操作で簡単に得られる。
4デッキ制御
DDJ-SB2の物理ミキサー部は2チャンネルだが、ソフトウェア上では4デッキを扱える。
左デッキ部のDECK 3、右デッキ部のDECK 4ボタンで操作対象を切り替える。これにより、2つの物理デッキでDeck 1/3およびDeck 2/4を切り替える構成となる。
この方式では4つのデッキを同時に物理表示するわけではなく、2つのデッキ操作部を切り替えて共用する。そのため、4デッキ利用時は現在どのソフトウェアデッキを操作しているかを把握する必要がある。
ソフトウェア
Serato DJ Intro
発売時にはSerato DJ Introが標準ソフトウェアとして位置づけられた。
Hot Cue、Sampler、ループ、FX、4デッキ制御などを本体から操作できる。
Serato DJ Introは後にSerato DJ Liteへ名称変更されたため、現在の公式アーカイブではSerato DJ Liteという名称で説明される場合がある。
Serato DJ
有償版Serato DJへアップグレードすると、Slip Mode、録音、追加エフェクト、より多くのCueやSampler等を利用できた。
現在の名称ではSerato DJ Proに相当する系譜である。
rekordbox
DDJ-SB2は後年、rekordbox djにも対応した。
SB/SB2はrekordbox本格展開以前にSerato向けとして開発されたモデルだが、MIDIコントローラーとしてrekordbox側から利用できるようになった。この点は、Serato専用性がより強いDDJ-SB3との違いの一つである。
オーディオと接続
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 物理ミキサーチャンネル | 2 |
| デッキ制御 | 最大4デッキ |
| サウンドカード | 24 bit / 44.1 kHz |
| 周波数特性 | 20 Hz - 20 kHz |
| 全高調波歪率 | 0.005 %以下 |
| S/N比 | 90 dB |
| MIC入力 | 1/4インチTS ×1 |
| MASTER出力 | RCAステレオ ×1 |
| ヘッドホン出力 | 1/4インチ ×1、3.5 mmステレオミニ ×1 |
| USB | USB Type-B ×1 |
| 電源 | USBバスパワー |
| 外形寸法 | 487 × 271.2 × 58.5 mm |
| 質量 | 2.1 kg |
外部プレーヤー用のLINE/PHONO入力は持たず、USB接続したDJソフトウェアを中心に使用する。
DJシステムとしての性格
DDJ-SB2は、CDJ+DJMのような独立型DJシステムを小型化したものというより、DJソフトウェアの操作面とオーディオ入出力を一体化したPC DJコントローラーとして設計されている。
マスター出力はRCAアンバランスであり、ブース出力やバランスXLR出力を備える上位機とは用途が異なる。自宅、練習、小規模イベント、持ち運びを重視したシステムに適する。
一方、TRIM、レベルメーター、EQ、FILTER、チャンネルフェーダー、クロスフェーダーなどDJミキサーの基本操作を本体上で学べるため、単純な玩具的コントローラーよりも本格的なDJ操作へ接続しやすい。
DDJ-SB3との違い
2018年のDDJ-SB3はSB2の後継機で、レイアウトを再設計した。
SB3では専用PLAY/CUEボタン、独立Auto Loop、FX Fade、Pad Scratchなどが追加され、上位DDJ-S系列に近い視覚構成へ整理された。
一方、SB2の特徴であるTRIM、レベルメーター、4デッキ制御は、SB系列が単なる最小構成ではなく、ある程度踏み込んだDJ操作を学べる製品へ進化した段階を示している。
歴史的位置づけ
DDJ-SB2は、Pioneer DJが2015年にパイオニア株式会社から独立した直後の製品である。
したがって、初代DDJ-SBがパイオニア株式会社時代の製品であるのに対し、DDJ-SB2はPioneer DJ株式会社として展開された初期のエントリーコントローラーに当たる。
また同じ2015年にはrekordbox djが登場し、DDJ-RZ、DDJ-RXなどrekordbox専用系列も始まった。SB2はSerato系DDJとrekordbox系DDJが並行展開される時期の製品である。
中古機として使用する場合
DDJ-SB2は公式製品サイトでアーカイブ扱いとなっている。
現在使用する場合は、以下を確認するとよい。
- OSとSerato DJ Lite/Proの互換性
- rekordboxの対応状況
- Windows用ドライバー
- ファームウェア
- USB給電
- フェーダー、TRIM、ジョグ、パッドの状態
- RCAマスター出力
- 1/4インチ/3.5 mmヘッドホン出力
- MIC入力
古いDJコントローラーでは、本体が正常でもOSやDJソフトウェア更新により互換性が変化するため、ハードウェア状態とソフトウェア対応を分けて確認することが重要である。
関連項目
- Pioneer DJ
- DDJ
- DDJ-SB
- DDJ-SB3
- Serato DJ Lite
- Serato DJ Pro
- rekordbox
- DJコントローラー
- ゲインステージング
- ジョグホイール
- クロスフェーダー