JBL JRX225
JBL JRX225(ジェイビーエル JRX225)は、JBL Professionalが展開するJRX200 Seriesのデュアル15インチ2ウェイ・パッシブPAスピーカーである。
2基の15インチ低域ドライバーと1インチ・スロートのコンプレッションドライバーを組み合わせた2ウェイ構成を採用し、ライブ音楽、音源再生、PAシステムなどで使用される。[1]
公称インピーダンスは4 Ω、連続許容入力は500 W、Peakは2000 W、感度は100 dB SPL(1 W / 1 m)、最大音圧レベルは133 dB SPLである。[1]
概要
JRX225は、JBL ProfessionalのJRX200 Seriesに属するデュアル15インチ構成のパッシブPAスピーカーである。
JRX200 Seriesには、
- JBL JRX212
- JBL JRX215
- JBL JRX225
- JBL JRX218S
が用意される。[2]
JBLはJRX225を、ライブ音楽パフォーマンスおよび音楽再生用途向けのポータブル・デュアル15インチ2ウェイスピーカーとして位置付けている。[3]
デュアル15インチ構成により、サブウーファーを追加せずに低域の出力と再生帯域を拡張したい用途にも適する。
システム構成
JRX225は2ウェイ構成を採用する。
低域には2基の15インチJBL M115-8Aドライバーを使用し、高域にはJBL 2414H-Cコンプレッションドライバーを搭載する。[3]
概念的には、
Input ↓ Internal Crossover ├─ Low → 15" LF Driver ×2 └─ High → Compression Driver
という構成となる。
内部クロスオーバー周波数は2.2 kHzである。[1]
低域ドライバー
低域にはJBL M115-8A 15インチドライバーを2基搭載する。[1]
各ドライバーは64 mm(2.5インチ)径のエッジワウンド・リボン・ボイスコイルを備える。
JBLは、このボイスコイル構造について、丸線を使用した設計と比較してボイスコイルギャップ内の導体断面積を増やし、効率とパワーハンドリングを高める設計として説明している。[1]
デュアル15インチ構成は、ライブPAや音楽再生用途で高い低域出力を確保するために利用できる。
高域ドライバー
高域にはJBL 2414H-Cコンプレッションドライバーを搭載する。[1]
主な構成は、
1" Exit Compression Driver 25 mm Polymer Diaphragm Progressive Transition Waveguide
である。
高域ドライバーはJBLのProgressive Transition™ Waveguideへ接続される。
公称指向角は、
Horizontal: 90° Vertical: 50°
である。[1]
客席方向へ高域を広く放射しながら、垂直方向の拡散を抑えるPA向けの指向特性となっている。
クロスオーバー
JRX225は内部パッシブクロスオーバーを搭載する。
クロスオーバー周波数は、
2.2 kHz
である。[1]
JBLはJRX225のクロスオーバーネットワークについて、クロスオーバー領域で周波数特性と各ドライバーの合成を整える設計を採用している。[3]
また、高電圧コンデンサー、大型コアを持つインダクター、太い導体を使用し、高い入力電力に対応する構造となっている。[3]
SonicGuard
JRX225にはJBLのSonicGuard™保護回路が搭載されている。[1]
SonicGuardは高域ドライバーへ過大な電力が加わる状況で保護動作を行う。
JBLはSonicGuardについて、演奏を中断せずに高域ドライバーを過大入力から保護する仕組みとして説明している。[3]
PAシステムでは、SonicGuardに加えて、パワーアンプ側の出力、ゲイン構造、リミッターなども含めてスピーカー保護を設計する。
周波数特性
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| Frequency Range (-10 dB) | 42 Hz – 18 kHz |
| Frequency Response (±3 dB) | 62 Hz – 13 kHz |
JBLの仕様書では、Half-Space(2π)条件とFull-Space(4π)条件について個別の周波数特性も示されている。[3]
2π条件では、
Frequency Range (-10 dB): 42 Hz – 18 kHz Frequency Response (±3 dB): 62 Hz – 13 kHz
となる。
4π条件では、
Frequency Range (-10 dB): 56 Hz – 18 kHz Frequency Response (±3 dB): 83 Hz – 13 kHz
となる。
設置環境によって低域レスポンスが変化するため、壁面、床面、ステージ、屋外などの条件を考慮してシステムを調整する。
感度と最大音圧
JRX225の感度は、
100 dB SPL 1 W / 1 m
である。[1]
最大音圧レベルは、
133 dB SPL @ 1 m
とされる。[1]
感度100 dBという値は、PA用パッシブスピーカーとして比較的高い能率を持つことを示す。
実際の到達音圧は、アンプ出力、プログラム信号、スピーカー保護、配置、距離、室内音響などによって変化する。
許容入力
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| Continuous Power Capacity | 500 W |
| Peak Power Capacity | 2000 W |
JBLはJRX225に対して、
500 W – 1000 W into 4 Ω
のパワーアンプ出力を推奨している。[1]
スピーカーとパワーアンプを組み合わせる際には、
- スピーカーの公称インピーダンス
- アンプの4 Ω時出力
- 使用するアンプの動作モード
- 信号のクレストファクター
- リミッター設定
- 使用するスピーカーの台数
などを合わせて確認する。
公称インピーダンス
JRX225の公称インピーダンスは4 Ωである。[1]
1台を1つのパワーアンプチャンネルへ接続する場合、アンプは4 Ω負荷に対応する必要がある。
同一アンプ出力へ複数のJRX225を並列接続する場合、合成インピーダンスは低下する。
例えば、
4 Ω || 4 Ω = 2 Ω
となる。
複数台を同一チャンネルへ接続する際には、パワーアンプの最低負荷インピーダンスを確認する。
パワーアンプとの接続
JRX225はパッシブスピーカーであり、外部パワーアンプを使用して駆動する。
基本的な信号経路は、
Mixer ↓ Crossover / Speaker Processor ↓ Power Amplifier ↓ JBL JRX225
となる。
例えばCrown XLi 3500やCrown XTi2 6002のような業務用パワーアンプと組み合わせる場合には、
- 4 Ω負荷時の定格出力
- Stereo / Parallel / Bridge-Mono
- JRX225の500 W Continuous
- JBL推奨アンプ出力 500–1000 W @ 4 Ω
- リミッター設定
などを確認する。
Bridge-Monoとの関係
JRX225の公称インピーダンスは4 Ωである。
ブリッジモノモードで駆動する場合、使用するパワーアンプがBridge-Mono 4 Ω動作に対応しているかを確認する。
Bridge-Monoでは2つのアンプチャンネルを組み合わせ、1つのスピーカー負荷を駆動する。
Amplifier CH1 ──┐
├── JRX225
Amplifier CH2 ──┘
Bridge-Mono時にはアンプ出力が大きくなる場合があるため、JRX225の許容入力とアンプ出力の関係を確認し、必要に応じてリミッターを設定する。
speakONでBridge-Mono接続を行う場合には、アンプ側のピンアサインに適合したモノブリッジケーブルを使用することがある。
入力コネクタ
JRX225は次の入力コネクタを備える。[1]
- Neutrik speakON NL4 ×1
- 1/4インチTS Phone Jack ×1
2つの端子はパラレル接続されている。
speakON │ ├── Internal Crossover │ 1/4" TS
用途や使用するスピーカーケーブルに応じて、どちらかのコネクタを使用できる。
PAシステムではロック機構を持つspeakONを使用すると、スピーカーケーブルを確実に固定しやすい。
speakONのピンアサイン
JBLのJRX225仕様書にはspeakON入力の信号経路として、
1+ 1-
が示されている。[3]
通常の2芯スピーカー接続では、
1+ → Speaker + 1- → Speaker -
として使用する。
JRX225の入力speakONはNL4であるため4極コネクタを使用できるが、通常のスピーカー入力で使用する主な接点は1+ / 1-である。
アンプ側で特殊なBridge-Mono出力配線を使用する場合には、アンプ側の出力ピンをJRX225側の1+ / 1-へ変換する専用ケーブルを構成できる。
1/4インチTS入力
JRX225は1/4インチTSスピーカー入力も備える。
この端子はラインレベル入力ではなく、パワーアンプのスピーカーレベル出力を接続するために使用する。
Tip = Speaker + Sleeve = Speaker -
speakONと1/4インチTS入力はパラレル接続されるため、システム構成によってリンク接続にも利用できる。
高出力PAシステムでは、接点容量、ロック機構、誤抜去防止などの点からspeakONが便利な場合が多い。
スピーカーケーブル
JRX225とパワーアンプの間には十分な導体断面積を持つスピーカーケーブルを使用する。
ケーブル選定では、
- ケーブル長
- 導体断面積
- JRX225の4 Ωインピーダンス
- パワーアンプ出力
- 許容できる電圧降下
- コネクタ定格
を考慮する。
4 Ω負荷では8 Ω負荷より同じ出力電力に対して多くの電流が流れるため、長距離配線では導体断面積の影響が大きくなる。
14 AWG、12 AWGなどのスピーカーケーブルを、距離と必要出力に応じて選択できる。
CVi-252との比較
Cerwin-Vega CVi-252とJRX225はいずれもデュアル15インチ構成の大型パッシブPAスピーカーである。
代表的な仕様を比較すると次のようになる。
| 項目 | JBL JRX225 | Cerwin-Vega CVi-252 |
|---|---|---|
| 構成 | Dual 15" 2-Way | Dual 15" Quasi 3-Way |
| 公称インピーダンス | 4 Ω | 4 Ω |
| Continuous / RMS | 500 W | 500 W |
| Peak | 2000 W | 2000 W |
| 感度 | 100 dB | 99 dB |
| 最大音圧 | 133 dB SPL | 132 dB SPL |
| 公称指向角 | 90° × 50° | 80° × 50° |
両モデルは同じシステム内でも使用できるが、周波数特性、指向性、感度、クロスオーバー設計などが異なる。
同一の左右メインスピーカーとして使用する場合には、左右で異なる音響特性となるため、用途と配置を考慮する。
サブウーファーとの組み合わせ
JRX225はデュアル15インチ構成により比較的広い低域再生能力を持つ。
さらに深い低域や高い低域音圧を必要とする場合には、JBL JRX218Sや他のサブウーファーと組み合わせることができる。
例えば外部クロスオーバーを使用して、
Mixer
↓
Crossover
├─ HIGH
│ ↓
│ Amplifier
│ ↓
│ JRX225
│
└─ LOW
↓
Amplifier
↓
Subwoofer
という構成を作ることができる。
異なるメーカーのサブウーファーを使用する場合にも、クロスオーバー周波数、極性、位相、ディレイ、感度を調整してシステムを構成する。
エンクロージャー
JRX225のエンクロージャーは19 mm(3/4インチ)MDFで構成される。[3]
接着および機械的締結を組み合わせた構造を採用し、外装はブラックカーペット仕上げとなっている。
前面には18 gaugeのパウダーコート・スチールグリルを備え、内部のドライバーを保護する。[3]
筐体にはオールスチール製のハンドルを備え、ポータブルPA用途での運搬を想定した構造となっている。
寸法と重量
JRX225の主な外形寸法は次の通りである。[1]
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 高さ | 1092 mm / 43 in |
| 幅 | 464 mm / 18.3 in |
| 奥行 | 426 mm / 16.8 in |
| 重量 | 42.6 kg / 94 lb |
JBLの仕様書では奥行432 mmと記載される版もあり、製品ページでは426 mmが掲載されている。[3][1]
運搬および設置時には約43 kgの重量を考慮する。
主な仕様
| 項目 | JBL JRX225 |
|---|---|
| 製品種別 | パッシブPAスピーカー |
| System Type | Dual 15" 2-Way |
| LF Driver | JBL M115-8A ×2 |
| LF Voice Coil | 64 mm / 2.5 in |
| HF Driver | JBL 2414H-C Compression Driver |
| HF Exit | 1 in |
| Nominal Dispersion | 90° H × 50° V |
| Crossover Frequency | 2.2 kHz |
| Frequency Range (-10 dB) | 42 Hz – 18 kHz |
| Frequency Response (±3 dB) | 62 Hz – 13 kHz |
| Nominal Impedance | 4 Ω |
| Sensitivity | 100 dB SPL(1 W / 1 m) |
| Maximum SPL | 133 dB SPL |
| Continuous Power Capacity | 500 W |
| Peak Power Capacity | 2000 W |
| Recommended Amplifier Power | 500–1000 W @ 4 Ω |
| Inputs | Neutrik speakON NL4 ×1、1/4" TS ×1 |
| Enclosure | 19 mm MDF |
| Finish | Black Carpet |
| Grille | 18-gauge powder-coated steel |
| Dimensions | 1092 × 464 × 426 mm |
| Weight | 42.6 kg |
仕様値はJBL Professional公式製品ページおよび公式Specification Sheetに基づく。[1][3]
JRX200 Series
JRX200 SeriesはJBL ProfessionalのポータブルPAスピーカーシリーズである。
代表的なラインアップは次の通りである。[2]
| モデル | 構成 |
|---|---|
| JBL JRX212 | 12インチ2ウェイ・ステージモニター |
| JBL JRX215 | 15インチ2ウェイ・フルレンジ |
| JBL JRX225 | Dual 15インチ2ウェイ・フルレンジ |
| JBL JRX218S | 18インチ・サブウーファー |
シリーズ全体でライブサウンド、音楽再生、ポータブルPAなどの用途を想定している。
PAシステムでの使用例
JRX225は外部パワーアンプを使用するPAシステムへ組み込むことができる。
例えば、
Microphones / Instruments
↓
Mixer
↓
[[dbx 234xs]]
↓
[[Crown XLi 3500]]
↓
speakON Cable
↓
JBL JRX225
という構成を作ることができる。
複数のJRX225やサブウーファーを使用する場合には、アンプ負荷、スピーカーインピーダンス、クロスオーバー設定、ケーブル長などを含めてシステムを設計する。
脚注
外部リンク
- JBL Professional - JRX225
- JBL Professional - JRX225 Specification Sheet
- JBL Professional - JRX200 SERIES
- JBL - JRX225