Sn30Pb70 (ハンダ)
Sn30Pb70は、質量比で錫(Sn)30%、鉛(Pb)70%からなる鉛比率の高いSn-Pb系はんだ合金である。30/70、Sn30/Pb70などとも表記される。
溶融範囲
Sn30Pb70は非共晶合金で、代表的な固相線/液相線は約183〜255°Cである。Sn60Pb40やSn50Pb50よりも非常に広いペースト状温度域を持つ。
約183°Cから一部が溶け始める一方、完全に液体になるのは約255°Cである。この長い半固体状態は、接合部を成形しながら作業する伝統的なwiping solderなどでは利用価値があるが、電子部品の細かな手はんだには一般に不向きである。
Sn-Pb合金内での位置
Sn63Pb37は約183°Cで急に溶融する共晶組成、Sn60Pb40は183〜190°C、Sn50Pb50は183〜212°C程度の範囲を持つ。
錫の割合を30%まで下げると液相線が大きく上昇し、Sn30Pb70では約255°Cまで広がる。この違いは、はんだ付け時の流動性や冷却中の扱いに直接影響する。
具体的な製品
MetaconceptはSn30Pb70 Solid Wireとして、solidus 183°C / liquidus 255°Cの製品を供給している。
Ansol TigerにもSn30Pb70 Solder Wireがあり、RAタイプのフラックスを使用した製品として183〜255°Cの溶融範囲が示されている。
一方、Kester 44の現在の製品一覧ではSn63Pb37、Sn60Pb40、Sn50Pb50、Sn40Pb60などは確認できるが、Sn30Pb70は掲載されていない。したがって「Sn30Pb70」と「Kester 44」は別々の属性として考える必要がある。
電子・音響配線での位置づけ
XLRやTS、RCAなどの細かなコネクタ端子では、Sn30Pb70より低い液相線と狭いペースト状範囲を持つ60/40や63/37の方が通常扱いやすい。
Sn30Pb70は、低融点はんだという大分類には入るものの、183°Cという固相線だけを見て63/37と同じ感覚で扱うことはできない。完全溶融温度と広いペースト状領域を考慮する必要がある。
安全性
70%の鉛を含むため、他のSn-Pbはんだ以上に鉛含有材料として明確に管理する必要がある。作業後の手洗い、切れ端・粉塵・残渣の管理、飲食物との隔離を行う。